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#怪異
イキリ火の玉
812
耐え内
233
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怪異を見た
珍しいことではない
日本では怪異の存在はずっと昔から知られている
幽霊、妖怪、都市伝説、七不思議
呼び方は色々あるけれど、全部まとめて「怪異」
テレビでも時々、怪異による被害がニュースになる
だから怪異を見たからと言って誰かに笑われることもない
驚かれることはある
怖がられることもある
でもそれだけだ
怪異はこの世界に普通に存在している
そして怪異を見つけたら
怪異現象対策管理局
通称怪異調査ガカリ
そこへ通報する
それがこの国の決まり
午後十一時四十分
私は仕事帰りにいつもの道を歩いていた
駅から自宅まで十五分
コンビニを過ぎて交差点を渡る
その先に小さな公園がある
いつもの帰り道
いつもの夜
だから最初は何も気にしていなかった
公園の入り口に、人が立っていた
白い服を着た、女の人
顔は俯いていて、よく見えない
こんな時間に公園にいるなんて珍しいな
そう思っただけだった
私はそのまま通り過ぎようとした
そのとき
女の首が、動いた
身体は動いていない
首だけが、こちらを向いた
ゆっくり
ゆっくりと
人間なら絶対に曲がらない角度まで
そして顔が見えた
目がない
鼻もない
口もない
真っ白な顔
私は立ち止まった
怖かった
でも、驚きはしなかった
怪異だ
そうすぐに理解した
問題は____
なんの怪異か分からないことだった
怪異は、人間の噂や認識によって性質が変化することがある
だから知らない怪異には近づかない
話しかけない
名前をつけない
刺激しない
これは小学生でも知っている。怪異との基本的な接し方だ
私はスマートフォンを取り出した
怪異調査ガカリに通報する
それだけ
…………のはずだった
画面を開いた瞬間
女が消えた
公園には誰もいない
私は周囲を見渡した
いない
逃げたのか
それとも最初から____
考えるのをやめた
通報する
私は怪異現象対策管理局の番号を選んだ
落ち着いた女の人の声がした
住所を伝える
それだけだった
淡々としていた
でも、それでいい
怪異が出た
だから通報した
怪異調査ガカリが来る
それがこの国では当たり前なのだから
二十分後
家の前に一台の車が止まった
車体には、怪異現象対策管理局の紋章
降りてきたのは二人
若い女性と、少し年上の男性だった
どちらも普通のスーツだった
警察官のような制服ではない
女性が私に手帳を見せる
2人は公園を見る
男性が周囲を確認し、女性は手帳に何かを書き込んでいく
女性は頷いた
私が聞くと、女性は少しだけ笑った
その答えは知っていた
怪異調査ガカリは、怪異を何でも救う組織ではない
危険な怪異
人間との共存ができない怪異
放置すれば大きな被害を生む怪異
そういう怪異には、最終処置が行われる
だから私は、それ以上聞かなかった
女性が公園へ向かう
その背中を見ながら、私は思った
怪異調査ガカリ
怪異から人間を守ってくれる人たち
そして同時に、
怪異を守ってくれる人たち
私たちは、そう教えられている
だから
その夜、公園の奥で
調査員の男性が女性に言った言葉を、私は聞き逃した
二人は公園の奥へ消えていった
私は何も知らない
ただ
怪異調査ガカリが来てくれた
それだけで安心して、家の中へ戻った
____この国では、それが普通だった
コメント
3件
ファンアートかかさていただけないでしょうか?物語と言うよりかは主さんのになるのですが
この世界観、一気に引き込まれました。「怪異を見たら通報するのが当たり前」っていう日常の描き方がすごく自然で、逆にゾッとしますね。主人公がパニックにならず淡々と通報するところに、この国の常識がちゃんと浸透してる感じが出てて好きです。あと調査員の最後のやり取り「研究部が興味持ちそう」「保護申請、出す?」で一気に組織の裏側が見えた気がして…これ、ただの退治屋じゃないんですね。続きが気になります!