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君とはじめて会ったのは、寒い寒い雨の日

 

失恋したばかりの俺は悲しくて悲しくて

雨に濡れるのも気にせず

ただ歩いていく人々を眺めていた

......さむいよぉ、

、?

突然雨が止んだ

と思って空を見上げると、真っ赤な傘と黄色に輝く髪

きみ、どうしたの?

こんなとこで...

だれッ、(震

怖い、?(ナデナデ

寒いでしょ、おいで

ん、

優しい顔と暖かい手が心地よくて、俺はこの人に身を任せることにした

家に入るやいなやお風呂へ連れていかれる

本当はお風呂は苦手だけど、今は体が暖まるのが心地好い

あったか、

気持ちいい?

うんっ、

お風呂から出ると、ドライヤーを取り出して俺に向ける

やっ、やだっ!

あっ!ちょっと待って待って!

 

 

結局捕まって乾かされた

......(ムスーッ

ねぇ、?ごめんね?

困ったように眉を下げる君

あ、僕の名前教えてなかった

僕は黄

よろしくね

黄、くん

ふふっ、可愛い

かわッ、

今日から僕の家に住んでくれる?

え、いいの、?

住みたいっ!

ふふふっ(ニコッ

一緒に寝よっか笑

うんっ

おやすみ、

......赤

おやすみ、黄くん

ずっと前から一緒だったみたいに安心できた

君が優しい人だって分かるから

初めて君の友達が家に来た時

おっ、君が赤やね

こんに、ちは(プルプル

おーおーそんなびびらんでも笑

赤、大丈夫だよ

ほんと、?

君が優しく頭を撫でてくれたから、安心できたんだ

...よろしくね、

可愛ええなぁ!

でしょ?

いつも可愛いって言ってくれること、なんだか小っ恥ずかしかったけど、嬉しかったよ

離して〜、仕事遅れちゃうよ(汗

行かないでッ、!

すぐ帰ってくるから、ね?

...わかった、

君が出かけていく時、いなくなってしまうんじゃないかって心配で

いつも引き止めちゃってごめんね

俺は君が大好きだけど

ねぇ、これあげる

えっ、ほんとですか?!

嬉しい、

良かった笑

......

俺以外と話す君を見るのは嫌いだった

黄くんは俺のっ!

赤?どうしたの?

赤くんは黄くんのことほんとに大好きだね笑

俺が1番黄くんのこと好きだからねっ

青ちゃんは?

赤くんには敵わないなぁ笑

えー?笑

...ッ

ねぇ、俺を見てよ

君はお寝坊さんだから、毎朝俺が起こしてたね

おきて!

おーきーてーっ!

ん゛〜、もうちょっと、

だめーっ!

黄に飛び乗る

う゛ッ、赤重い〜、

起きないのが悪いんだよ〜

も〜、起きるかぁ

暖かい君が向けてくれる優しい眼差しが大好きだったよ

赤ッ、(ポロポロ

君が大好きで良かったよ

君と生きられて良かったよ

黄くん、

お布団汚しちゃってごめんね

たくさん心配かけてごめんね

赤ッ、苦しい、?

大丈夫だよ

涙で濡れた君の頬を舐める

ねえ、黄くん

短い間だったけど、君がいたから楽しかったよ

ありがとう

君とはじめて会ったのは、寒い雨の日だった

雨に濡れ、泥に汚れた君は小さくうずくまっていて

とても見捨てることなんて出来なかった

きみ、どうしたの?

こんなとこで...

くぅ、ん

怖い、?

小刻みに震える君は今にも消えてしまいそうなくらい頼りなくて

寒いでしょ、こっちおいで

助けなきゃ、って思った

お風呂に入れると不服そうながらも大人しくしてくれた

もしかしたら、暴れる元気もなかったのかもしれない

気持ちいい?

くぅ、くぅぅ、

か細い声で寂しげに鳴く君

(返事、してくれてるの?)

話しかけると返事をするように鳴いてくれるのがなんだか嬉しかった

体が暖まると少し元気が出てきたみたいで

ドライヤーを向けるとすぐに逃げ出してしまった

嫌がる君を追いかけ回すのは少し心が痛んだけど

君が風邪をひいたら悲しいから、必死に追いかけたんだ

 

 

おぉ、

ドライヤーで乾いた君の体は初めて見た時からは想像できないくらいふわふわで

......

でも、むくれたような小さな背中が可愛くて

ねぇ、ごめんね、?

君と生きていきたいって思ったんだよ

あ、名前教えてないね

僕は黄

よろしくね

...わぅっ、

ふふっ、可愛い笑

しっぽが揺れる

僕の言葉、ちゃんと受け取ってくれてるんだね

今日から僕の家に住んでくれる?

わふっ!

わぅっ!

体が一緒に揺れるくらい大きくしっぽを振る君が愛おしい

ふふふっ

一緒に寝よっか

わんっ!

おやすみ

......赤

そう、君は今日から赤だよ

気に入ってくれるかな

くぅぅ、(スリスリ

暖かい

ずっと前から君といたような気がした

初めて僕以外の人に会った時

おっ、君が赤やね

くぅぅ、わうっ、!

おーおーそんなびびらんでも笑

小さな体を大きく震わせている君はすごく怖がっていたね

赤、大丈夫だよ

くぅ、

そう言って優しく頭を撫でると不安げにこちらを見上げる小さな瞳

わんっ

「よろしくね」とでも言うように背筋をぴんと伸ばして橙くんを見上げる

可愛ええなぁ!

でしょ?

今までどんなことをされてきたのかは分からない

でも、これからは僕が幸せにするって決めたんだ

離して〜、仕事遅れちゃうよ(汗

わうっ、わふっ!

君が離してくれなくて毎朝遅刻ギリギリだったなぁ

すぐ帰ってくるから、ね?

くぅ〜、

案外潔く離してくれる君の瞳には不安の色が現れていて

本当なら仕事なんて行かないで君と過ごしていたかった

僕に大切な人ができた時

ねぇ、これあげる

えっ、ほんとですか?!

嬉しい、

良かった笑

う゛〜ッ、わうっ!

赤?どうしたの?

君は青ちゃんにだけはなかなか懐かなかったね、笑

今思うと、嫉妬してくれてたのかな

赤くんは黄くんのことほんとに大好きだね笑

わんっ!

青ちゃんは?

赤くんには敵わないなぁ笑

えー?笑

君のことが大好きだけど、もっと構ってあげれば良かったかな

君はすごく早起きだったから

毎朝目覚ましが鳴る前に起こしてくれたね

わんっ!

ん゛〜、もうちょっと、

わうっ!

赤が飛び乗る

う゛ッ、赤重い〜、

くぅぅ、わふっ

も〜、起きるかぁ

少し煩わしく思ったこともあったけど、 なんだかんだ言って嬉しかったんだよ

赤ッ、(ポロポロ

歩けなくなってしまってトイレへも行けなくなった君

少し申し訳なさそうにこちらを見上げる瞳は濁ってしまって

くぅぅ、

赤ッ、苦しい、?

弱々しく横たわる姿は出会った日に少し似ていて痛々しい

 

君がゆっくりと、目を閉じる

もう、声をきかせてはくれないの?

朝、しつこいくらいに起こしてはくれないの?

もっと構ってあげれば

もっと遊んであげれば

もっと一緒にいられれば

…なんて後悔は沢山した

でも、君の顔があまりに穏やかで

ただただ、

ありがとう、赤
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