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ホームに1人 どこまでも続くような水平線を見つめている男がいた
長身、かき揚げた前髪、訴えかける親のケープ、楽園のペンダント、クラゲズボン
そして、特徴的な瞳
そう、それこそが、空の本来の姿である
身長は最高をすぐに出すには難しいので、トール魔法を使った
彼女が知っている自分にできるだけ近づけた
急に目の前に失踪した師匠が現れたらどんな反応をするだろうか
…今そんなことを考えている暇はない
今日は嫌な予感がするのだ
そして空は彼女の記憶だけが上手く思い出せないままなのだ
何かあるに違いない
空はかつて普段背負っていなかった花火杖を背負って彼女のいる所へ向かった
今日はいつもより一段と風が強い
砂が舞い、視界が悪くなっていた
その中でも、空は見逃さなかった
複数の足跡があることに
それもまだ新しい
空は青ざめ、走り出した
どうか、嫌な予感が当たりませんように。
久しぶりに走ったせいか、息が切れてきた
そして砂嵐で先が見えなく、彼女のいる洞窟までが遠く感じる
そんな中で、記憶がよみがえってきた
一歩踏み出す事に、彼女の記憶が。
また一歩、彼女が日の下で笑う姿が。
また一歩、花を嬉しそうに摘む姿が。
また一歩、全身がヒリヒリして痛いと泣き叫ぶ姿が。
また一歩…自分が何者か気づいていく姿が。
そうしていると、自然と涙が溢れてきた
こんな情けない姿を見せられないなと思う空は、更に足を速めた
彼女のいる洞窟が見えてきた
やはり足跡は洞窟の中へ伸びていた
空は洞窟の入口に立ち、肩で息をしながら叫んだ
空
その瞬間、信じられない光景が目に飛び込んできた
額からは大量の血が流れており、左肩には松明が突き刺さっているヒカリの姿
数々の傷がついていて、花火杖が体に突き刺さっている黒の姿
地面には青い血が散らばっている
あまりの光景に、空は立ち尽くしていた
そして、ヒカリ達を傷つけたと見られる4人組の星の子がこちらをみた
星の子1
星の子2
星の子3
星の子4
そいつらは壁に肩が固定されて動けない瀕死状態のヒカリを見て笑った
そいつらは瞳のセンサーが消えかかって倒れている黒を見て笑った
その笑い声が洞窟の中で響いて、頭の仲を掻き回した
ついに空の怒りが頂点に達した
空
星の子1
星の子3
星の子2
そしてふと、ヒカリの瞼が開いた
虚ろな目でこちらを見ている
そして、ヒカリの1番そばにいる星の子にも聞こえないようなか細い声で言った
空の耳には、しっかりと届いた
ヒカリ
何か、後押ししてくれた気がした
空
空
『もし私が殺されても、復讐しようだなんて思わないで』
空
空が背中の花火杖を取り出した瞬間、洞窟の中に鈍い音と共に、断末魔が響いた
それも、何回も、何回も…
しばらくすると、その声は聞こえなくなった
絶命したようだ
ヒカリはその光景を呆然と見ている
星の子は原罪以外の場所で命が途絶えると、この世から消える
仮にまた星の子に転生できたとしても、前世の記憶も一切なく、0からのスタートになるだろう
そして死体は、光となって消える
血も、所持品も、何もかも
微かに黄色く光っている血を浴びている空は、肩で息をして立っている
空に着いた返り血でさえも、光となって消える
サラサラと散る光に包まれている空は、美しかった
そしてヒカリ左肩に刺さっている松明も消え、前に倒れてしまうところを、空が支えてくれた
そのまま優しく、ヒカリを抱きしめた
空
空
ヒカリ
ヒカリ
空
空は短くなった右腕で黒を抱き寄せた
空
空
ヒカリ
段々と体が冷たくなってきた
もう長くはないようだ
空
空
涙が溢れだしそうだった
ヒカリ
そう微笑混じりに言った
自分が死にそうなときでも笑えるなんて、いつからそんなに強くなったのだろうか
空
空
ヒカリ
ヒカリ
空
空
空
空
ヒカリ
ヒカリ
空
強く、抱きしめた
ヒカリからの返事はもう
無かった