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例えば
ペットが死んだとき
例えば
大事にしていた物が壊れたとき
負の出来事は、それらを起点として続いていきます。
知り合いが交通事故で亡くなった
友人が原因不明の自殺を遂げた
もし、貴方の身の回りで そういった負の出来事が起きたのなら
このお話はきっと貴方にとって呪いとなります。
どうか、これをフィクションだと思ってください。
これを現実だと捉えないでください。
よくある架空の創作だと笑ってください。
それができなければ、貴方のもとへやって来ます。
ふとした瞬間、ぼうっとしていたその瞬間に
何かがやって来ます。
私はそれの正体を知りません。
対処法も知りません。
ただ、運が良かっただけなのです。
私は、それを誰かに伝えたいのです。
これを私一人で抱えたくないのです。
それでは、語りたいと思います。
始まりは、親戚のお葬式でした。
告別式などを終えて、荼毘に付すという最中
「あてくちいん」
言葉にできない、むず痒い声が耳元で聞こえました。
私は驚いてしまって、隣にいた母に 「変な声が聞こえなかった?」と聞きました。
母は、「何も聞こえなかったよ」 とだけ言って、黙ってしまいました。
その時は私も、気のせいかと思い忘れようとしました。
しかし、ふと思い出したのです。
前にもこんな声が聞こえなかったか?と。
それは丁度、この親戚の家だったのではないか。
気づいた瞬間、全身から冷や汗が噴き出しました。
親戚から言われていたのです。
「奇妙な声には反応するな。」と。
当時の私は、 親戚が何でそんなことを言うのか、理解出来ませんでした。
けれど、親戚の家で聞こえた奇妙な声は 言いつけ通り無視したのです。
何故だか、そうしないといけない気がしたのです。
親戚の家にはそれ以来行かずに、今日までを過ごして来ました。
だからでしょうか、私はその声に反応してしまったのです。
それからは、じっと家へ帰り着くのを待っていました。
葬式という環境であんな事が起きて、生きた心地がしませんでした。
幸い、あれから再び声が聞こえることはありませんでした。
もう大丈夫なのだと、安心していました。
その一週間後、母が亡くなりました。
先週来たばかりの葬儀場に訪れた私は、 心にぽっかり穴が空いた気分でした。
死因は鏡に頭を突っ込んだことによる失血死だそうです。
「ふざけるなよ。」
そう、声を大にして叫びたかったです。
母は、精神面に問題があるわけでは無く、 至って健全でした。
こんな凶行に及ぶわけがないのです。
私は母の倒れた死体を見てしまいました。
母は笑顔でした。
しかし歪んでいました。
顔がところどころ、渦を巻いているように
口角をつり上げた、歪な笑顔でした。
母のあの顔が、脳裏から離れずにいると
「ぅぐすおん」
またあの声が聞こえました。
直感的に理解しました。
こいつがやったのだと。
こいつが母を殺したのだと。
恐怖より怒りが湧き上がってきました。 果てしない憎悪が、声の主に向きました。
でも私は、何もできませんでした。
どこに存在してるかも分からない化け物に、 たった一人の人間が出来ることなど、何もないのです。
次第に憎悪は、自身の無力さに向き始めました。
そうやって、ただ時間が過ぎるのを待ちました。
帰り着いた我が家は、酷く寂れて見えました。
私は無気力状態に陥りました。
何をしても無駄なのだと悟ったからです。
自分以外には聞こえない声が、母を殺したのだと 誰が信じるでしょうか?
ぼんやりと、声が聞こえてきます。
「ぃあかと」
もう恐怖は感じません。
死神的な存在だと割り切ることにしたのです。
ですが、気になったことが一つありました。
母の死因である鏡です。
何故、鏡なのでしょう。
私は気になったので、背後をカメラで撮ることにしました。
パシャっと写真を撮って確認します。
いました。
私の背中に、耳元で囁いている黒いモヤが。
本能的な恐怖を感じました。
もし、鏡でなら鮮明に見えるのでしょうか。
そこまで考えて止めました。
私は耳を触られる感触を受けながら、囁き声を聞きました。
「あちうちお」
今なら、それがどんな意味なのか分かる気がしました。
最初から、こいつは私を追ってきていたのです。
何でかは分かりません。
けれど、葬式などで誰かに、 こいつは耳元で囁いて近付くのでしょう。
何かの死に触れ合えば触れ合うほど、こいつは近づくのでしょう。
全て憶測で、何もかも違うかもしれません。
ただ、気をつけてください。
人の死は呪いなのです。
私みたいにならないでください。
どんなに怖くても、反応せずにやり過ごしてください。
私は、まだ生きています。
運良く生き延びています。
でも、長くはないでしょう。
ああ、そうだ。
もし何か見えるようなら、手遅れです。
どうか、お気をつけて。