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海村早樹
アホ美が幸枝や聖夜と共に早樹の母親を説得していた頃
早樹は一人、病室で目を覚ました
治療を諦めていた早樹に生きる希望を与えた幸枝
そんな幸枝が友美に対して行ったいじめと言う行為は
幸枝のことを想っていた早樹の心にも深く突き刺さり
早樹の心を激しく動揺させた
あんなにも優しく美しい心を持っていたはずの幸枝が
一人の男に狂わされ激しい憎しみを抱くようになってしまった
中学の頃、早樹に拒絶されショックを受けた幸枝は
早樹を忘れようと心に決めて受験に挑んだ
早樹が同じ高校を受験したことを知らぬまま
迎えた入学式で壇上にいた前野信吾に一目惚れ
同じ空間に早樹がいるとは思いもせず
早樹も体調を崩し途中で早退したため
幸枝は早樹の存在に気づくこともなく
幸枝は信吾に陶酔していった
信吾の策略にまんまと嵌まり友美を攻撃し始め
どんどんと闇に飲まれていく幸枝の姿を
早樹はいつも悲しそうに見つめていた
幸枝が早樹の存在に気づいたのは
アホ美が転入してから一週間後の月曜日
アホ美の蹴りが幸枝の腰に命中し
安藤優希(担任)
安藤優希(担任)
担任の安藤が友美に落書きを消すように促した時だった
安藤優希(担任)
ため息を漏らしながら教室を出ていく安藤
まさかここに早樹がいるとは思いもしなかった
海村早樹
聞こ覚えのある声に幸枝が驚き振り返ると
早樹が教室の後ろにあるロッカーの上に座っていた
この時、早樹の存在に気付いたのはわずか数人
原田幸枝
夏川夕陽
驚く幸枝に早樹は優しく微笑むと
チャイムの音と共に教室を出ていった
早樹は別に身を隠していたわけではなく
実は時々、幸枝の姿を見ようと教室の方に足を運んでいた
いつも廊下から幸枝の姿を見ていて
そんな早樹の姿を何人もの生徒が目撃し
"謎の色白の金髪男子"と噂されることもあったが
その噂が幸枝の耳に届くことはなく
海村早樹
いつも途中で具合が悪くなり保健室に戻っていたため
幸枝が早樹の姿を認識する瞬間が訪れることはなかった
幸枝に蹴りを入れたアホ美を見た早樹は
アホ美がいつか幸枝の目を覚ましてくれるかもしれない
そんな思いを胸に抱いた
幸枝は教室を後にする早樹を追いかけるか迷ったが
ここで動揺を見せてはいけないと思いその場にと留まった
三時限目
珍しく早退せず保健室にいた早樹は
養護教諭に外の空気を吸いたいと願い出て教室に向かい
誰もいない教室内でアホ美の机を探し
カバンの中からアホ美のお弁当を見つけ取り出した
海村早樹
移動教室で無人となった教室内で
早樹は幸枝の机をそっと撫で
海村早樹
教室を出て屋上へと向かう
こっそり複製していた鍵で扉を開け
降り注ぐ太陽光の下でアホ美のお弁当を食べる
学校に来てもすぐに早退することが多かったため
学校で何かを食べたのは初めてのことだった
しかもそれは他人のお弁当
もしかしたら凄く怒られるかもしれない
でもこれは早樹にとってある種の賭けでもあった
強引なやり方ではあるが
これできっと"あの子"との接点が作れる
幸枝を救うために力を貸してもらえるかもしれない
そんな強い思いを抱き
完食して空になったお弁当箱に手書きのメモを添えた
四時限目が終わった昼休み
アホ美が何も知らずに友美や蓮斗と共に教室を出た後
三度教室を訪れた早樹は
空になったお弁当箱をアホ美の机の上に置いた
突然、現れた早樹の存在に教室内が少しざわついたが
早樹は気にすることなく教室を出て保健室に向かった