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夜猫🌸依頼事務所～厄災の魔女～

第48話 - 第48話『目覚め』

2022年07月27日

#オリキャラ

#戦闘

#ファンタジー

#一次創作

🌙夜桜猫🌸

ここは…どこだろう？

(まよっちゃった。)

日が暮れそうな森の中、眼帯をつけた小さな少年が彷徨っていた。

(はやく、かえらないと…)

ガラッ！

うわっ！！

突如、少年の足元の地面が崩れる。

そして、彼は暗い闇の中へと落ちていった。

第48話

『目覚め』

あのガキ、まだ処分しないのか？

暗殺者には向いてないだろう？

……。

あれにこだわらなくても、探せばいくらでもいる。

ここは必要ないのが多く集まるからな。

……。

少年は傷のついた男性と女性の会話をこっそり聞いている。

必要ないです。

他人よりも
自分の心配をした方が
いいんじゃないですか？

後継者の育成が
上手くいってないと
聞きましたが、

それに、
また殺したと…

あれは使えなかった。

すぐ泣いて、教えることが出来なかったからな。

施設の寮に
戻したら、
良かったのでは？

施設の指示だ。

外部に暗殺者を育ててるなど知られてはならないからな。

……。

お前もあれが要らないなら始末しろ。

そして、別を探せ。

…ぐすっ、

(いたくて、
うごけ…ない…)

(なにもみえない。)

暗闇の中、少年はうずくまって泣いていた。

もう何時間もこの中にいるようだ。

ヴヴゥゥ…

ッ

何かの音が反響し、怪物の唸り声のようなものが時折聞こえ、

見えない闇に聞こえる音が少年の心を恐怖で支配する。

(…こわいっ。)

(…もう、ずっと
ここからでられないかな？)

…うぅっ…

トンッ、

ッ！？

突然、誰かに肩を叩かれる。

…ここにいたの…。

姿は暗闇で見えないが、隣から女性の声が聞こえる。

せん…せい？

せんせいです。

ライトは
持ってくるのを
忘れました。

きてくれたの…？

ここで一体何を？

ごめんなさいっ、

ぼく、かえりみちが
わからなくなっちゃって、

あるいてたら、
たかいところから
おちてっ…

少年の顔からはさらに涙が大量に溢れ出す。

女性は少年の頭を撫でてハンカチで彼の涙を拭った。

足、痛い？

少年は首を縦に振る。

すると、女性は少年をおんぶし、立ちあがる。

しっかり
つかまってて、

帰ったら、
怪我の処置を
しますから…。

はい…。

少年はしっかり女性に抱きついた。

そして、女性はそれを確認すると、ゆっくり歩き始めた。

……。

(いわれたことを
できなかった。)

(せんせいはおこってる？)

(ぼく、
しょぶんされ
ちゃうのかな。)

(こわい…。)

ほらっ、
出口です。

向かう先には光が差していた。

少年は眩しそうに目を細め、女性と一緒に光の中へと入るのだった。

四葉

……。

四葉は見知らぬ部屋のベッドの上でゆっくり目を開けた。

四葉

(…あれ、生きて…る？)

ズキッ！

四葉

…うっ！

四葉は突然、左腹に痛みを感じる。

寝転んだまま、布団と着ている服を少しめくり、痛みのある場所を確認する。

すると、左腹は包帯が巻かれていた。

四葉

(…治療されてる。)

起きたんだね。

四葉

ッ！

突然、隣から男性の声がした。

そちらへ首だけ動かすと、椅子に座る男性が視界に写った。

はじめまして。

アマリス

僕の名前は、
アマリリス・クラスター。

アマリス

ここの館主さ。

四葉

…館主？

アマリス

まぁ、長いから
アマリスでいいよ。

アマリス

こっちはリリー。

リリー

……。

四葉

(人形が動いてる。)

四葉

(魔法かな？)

四葉

…ここは
どこかの館？？

アマリス

そうさ。

アマリス

まぁ、
なんで館にいるんだ？
って感じだよね？

アマリス

君が刺された後、
診療所にすぐ
運ばれたんだ。

アマリス

毒も
無毒化したから
大丈夫だよ。

四葉

猫船さん達は？

アマリス

二人とも
元気さ。

アマリス

今日は事務所で
働いてる。

四葉

(…良かった。)

アマリス

それで、
館にいるのは
結ちゃんに
頼まれたんだ。

アマリス

宗教組織の連中に
君の生存が
バレないようにね、

四葉

誰？

アマリス

魔法捜査課を
率いる偉いさんの秘書、

アマリス

君が眠ってる間、
見舞いの花を
何度か持ってきてて…

アマリス

えっと、
眼鏡で長髪の女性…

アマリス

本名は、
なんだっけな？

アマリス

まぁ、いいや。

アマリス

とりあえず、
この部屋から
出ないでくれ。

アマリス

出なければ、
ここは安全だからさ。

アマリス

まあ、
館の外には
逃げられないか。

アマリス

リリー以外にも
監視を任せた
子がいるし、

アマリス

今の君は、
怪我してて
動けないしね。

四葉

(…確かに
痛くて動けない。)

アマリス

ところで、
君は草食系？

四葉

ん？

アマリス

特にフルーツ
食べてる？

四葉

うん、
食べるけど…

アマリス

そうかい。

四葉

？？

四葉

(何だろう？)

何を
企んでるんですか？

アマリス

興味本位で
聞いただけさ。

部屋の開いたドアから白衣を着た女性が現れた。

アマリス

やぁ、

アマリス

診療所は
どんな様子だい？

誰かさんが
いないせいで
大変忙しいです。

アマリス

頼まれたから
しょうがないじゃないか。

アマリス

診療所にも
ちゃんと
説明してるだろう。

まぁ、
そうですね。

ですがなぜ、
私が館に来ないと
行けないんですか？

医師資格
持ってますよね？

アマリス

僕だって
一人で十分さ。

アマリス

でも、
結ちゃんが君に
お願いしたからね。

信頼がないから
ですよね？

まぁ、勝手に
血を採血する蚊男に
任せられませんよね。

四葉

(蚊…)

アマリス

蚊って…。

それに
診療所も最近、
欠勤ばかりだし…

アマリス

体調が
悪かったんだよ。

アマリス

思った以上に
風邪が長引いちゃってね、

どんなけ
貧弱なんですか…

とにかく体調管理を
ちゃんとして下さい。

かなり迷惑です！

アマリス

ごめんごめん～♪

なんですか、
その態度は？

私、真面目に
話してるんですよ？

アマリス

わかってるって♪

……。

四葉

(…仲が悪いみたいだね。)

アマリス

ところで、
患者様の前だけど？

女性ははっと我に返り、四葉の方を向いた。

…失礼しました。

竜宮

私は医師の
竜宮と申します。

アマリス

腕のいい医師様さ。

アマリス

容姿は子ども
だけど、ちゃんと
した医師だからね。

バチッ

四葉

ッ！

竜宮

…子どもって…

竜宮

喧嘩売ってますか？

バチバチッ！

チビとか子ども、
容姿については
禁止ワードだからね。

アマリス

言うと、
こんな感じに微量に
雷が発生するんだ。

アマリス

酷いと
落雷が発生する。

アマリス

まぁ、患者様に
した例はないから
大丈夫さ。

アマリス

それに、
彼女に電球のついた
導線を持たせたら、
電球が光って面白いよ？

アマリス

後は…

バチバチッ！

竜宮

あ〜もうっ、
出ていって下さいっ！

竜宮

診察の妨害っ！

アマリス

妨害って、
酷いな～。

アマリス

僕はさ、

竜宮

いいから出てけっ！

竜宮はアマリスを部屋から無理やり追い出し、ドアを閉めた。

竜宮

はぁ～…

リリー

……。

竜宮

貴方もです。

竜宮

ほらっ、
出てって下さい。

竜宮は宙に浮く人形を掴み、ドアを少し開け廊下にそっと優しく置いた。

そして、またドアを閉めたのだった。

四葉

……。

竜宮

…お見苦しい所、
みせてしまい
申し訳ございません。

竜宮

さっきのは、
忘れてもらって
構いませんので、

四葉

う、うん。

竜宮

では、
診察をはじめますね。

アマリス

…あ〜あ、

アマリス

追い出され
ちゃったよ。

アマリス

(仲良くできるように
説明しようと
思ったのに…。)

リリー

……。

アマリス

しばらくは
庭でお茶でも
しようか…。

アマリス

…君も僕らと
一緒にどうだい？

アマリス

今なら歓迎するよ。

コトッ

アマリスの背後から突如、女性が現れた。

結衣

…よく分かりましたね。

アマリス

ここは、
僕の領地だからね。

アマリス

それに、
人間の匂いには
敏感なんだ。

アマリス

いつも館に
静かに入ってくるけど、

アマリス

君は前職は
忍なのかい？

結衣

さぁ、
どうでしょう。

アマリス

少しぐらい
教えてくれない
じゃないか～。

アマリス

君の素性が
気になるんだけど、

結衣

教える必要が
ありませんからね。

アマリス

…まぁ、
いいや。

アマリス

教えてくれないなら、
調べて知るだけさ。

結衣

……。

アマリス

それより、
今から僕と
お茶しない？

アマリス

たまには、
息抜きするのも
大事だろう？

アマリス

ゆっくりと庭園の
景色を見ながら…

結衣

残念ながら、
今はそんな余裕は
ありませんので、

アマリス

そうかい。

アマリス

じゃあ、
また今度…

結衣

遠慮します。

結衣

では、
白樹に報告して
参ります。

結衣

なので、
これを渡しといて
下さい。

結衣は紙袋をアマリスに渡した。

紙袋の中には、花と複数の林檎が入っている。

アマリス

会っていかないのかい？

結衣

はい。

結衣

引き続き
よろしくお願いします。

スッ

結衣

お邪魔致しました。

ガチャンッ、

結衣は出現したドアに入り、この場を去った。

アマリス

…隙がないね。

リリー

……。

アマリス

(今、
病室に入るのは
無理だね。)

アマリス

(雷ちゃんが
帰ってから渡そう。)

アマリス

じゃあ、
お茶セットと
お菓子を持って
庭園へ行こうか。

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