テラーノベル
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京極屋での朝は思っていたよりも早かった。
廊下を行き交う足音。
障子の向こうから聞こえる小さな声。
遊郭は、夜だけでなく昼も静かに動いている。
最初に任されたのは遊女 堕姫の身の回りの世話と雑用だった。
堕姫
堕姫の言葉に、るなは小さく頷く。
月
部屋に入るとるなは一度、全体を見渡した。
どこに埃が溜まりやすいか。
どの器が使われたばかりか。
堕姫がどこで過ごすことが多いか。
それを頭の中で整理してから静かに動き始める。
畳を整え棚を拭き花瓶の水を替える。
堕姫
堕姫は鏡の前で髪を梳かしながら何も言わずその様子を見ていた。
お茶の準備も、言われる前に。
湯の温度を確かめ音を立てないように器を置く。
月
堕姫は一口飲んでからほんの一瞬だけ視線を向けた。
堕姫
堕姫
月
身の回りのことを終えるとるなは立ち止まらなかった。
控えめに声をかける。
月
月
女将は少し驚いた顔をしたあと優しく微笑んだ
女将
そう言いながら雑巾を渡してくれる。
女将
月
廊下を拭き荷物を運び頼まれなくても気づいたところを整える。
重い箱もるなにとっては苦にならない。
鬼になって得た体力と力がこうして役に立つとは思わなかった。
女将
女将は感心したように呟く。
女将
女将
月
胸の奥が、少しだけあたたかくなる。
ここでは役に立ってもいい。
必要とされてもいい。
そう思えた京極屋での――最初の一日だった。
はーとおねがいします🙏🏻 ̖́-
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