青
風に煽られ、力なく笑う君が言う
君と出会った真夏の暑い日
気を付けないと倒れてしまいそうなほどの猛暑日
それなのに君は長袖に腕を通していた
その時点で違和感は感じていた
誰が聞いたってジェルに向かって注意している莉犬の言葉に体を震わせて
何をするより、誰より早く謝って
「俺達」というより、「俺達の言葉」に怯えていたように見えた
学校での嫌がらせやいじめか、家での虐待やネグレクトか
選択肢を頭の中に出していたが、同じクラスということが分かって
前者の可能性はなくなった
朝も放課後も一緒にいる奴ら
同じクラスの誰かをいじめる時間なんてないだろう
けれど、100%そうだとは言い切れないし、変に刺激を与えてはいけない
その考えから、本人に直接聞くことはしなかった
その翌日
いつもと変わらぬ相変わらずの暑さ
そんな中の持久走なんて、俺やジェルのような体力のある奴でも辛い
小さい3人を見守りつつ、一歩後ろを走っていた
すると、ずっと足元の覚束なかったころんの体が傾く
地面に倒れ込み、苦しそうに息をしている
保健室に連れていくため背中に担ぐ
本当に同い年なのか疑うほどに軽かった
こもった熱を脱がすため、ころんの体を覆うジャージを脱がせる
服の下から出てきた腕は痣だらけ
桃
黄
青
橙
慌てふためき心配する3人に、動揺した声を出すころん
保冷剤をもらい傷を冷やす
すると、
青
涙をいっぱいに溜める
青
桃
桃
桃
そう優しく抱き締める
青
俺の胸に押し付けて、顔をぐしゃぐしゃにして泣き喚く
服の背中を掴む手の力は強かった
保健室の先生
いつものように泣き疲れて寝たころんが目を覚ましたとき
心配そうに先生が聞く
青
青
青
嘘をつく
保健室の先生
明らかな違和感を感じた先生が何かを言おうとする
青
青
そう重ねて否定をするころんに上手く丸められてしまった
その日からころんは変わった
よく俺達の前で笑顔を見せるようになって、明るくなった
遠慮したりしている様子はなくて、素の彼だという感じがした
3人もより楽しそうで、ころんをいじってはツッコまれてを繰り返している
あの日の一件があったことで心を開いてくれたんだろうか
ただ唯一ころんが悲しそうにする時
それが朝と放課後
俺達がクラスメイトに囲まれたとき、少し暗い表情を見せて独り、席へ向かう
それに気付いたのか、俺含め4人
やんわりとクラスメイトを押しのけころんの席へ集まるようになった
言葉には出してくれないけれど、君はすごく幸せそうに見えた
そのシアワセを壊したのは俺達
いつも通りの時間に皆で歩いていたが、ころんは出てこなかった
少し待ってみたけれど、出てくる気配がなかったから先に行くことにした
教室に入ると、人だかりができていた
その中心には泣いている女子
嗚咽混じりに
「青柳さんにいじめられていた」
と説明される
3人はその女子のことを信じているように見えた
でも俺は
ころんはそんなことをする奴じゃない。
きっところんは誰よりも痛みを、苦しみを知っている
俺達も、誰も知らないくらい大きなものを抱えているんだろう
だからこそ、人を苦しめることはしない
そう強く思った
ガラガラガラガラッ
しばらくして本人が教室へ
青
異変に敏感なのか、きょとんとした顔をしてこちらに向かってくる
赤
青
別人のような莉犬の視線に焦ったような、不安そうな声を上げる
かすかなすすり声に気付いたのか、ころんの体がもぶを向く
目を見開いて、呆然とした顔をして後ずさる
と、佇むジェルに背中が当たる
青
ガッ
青
怯えた顔をしたころんの体が飛ぶ
ドサッ
橙
しりもちをついたころんの胸ぐらを掴む
その時
ころんのカオが変わった
橙
青
もぶが何か勘違いをしているのか、ころんを貶めたいのか知らないが
ころんじゃない
そう思っていたのに
青
桃
青
青
ジェルの手を払い除け立ち上がる
橙
青
バチンッ
一瞬、自分でも何が起こったのか分からなかった
青
青
あぁ、俺がころんを叩いたんだ
桃
桃
青
ころんの表情が曇る
青
動揺で頭がいっぱいで、この時は気付けなかった
見たことがないくらいに、ころんの顔が苦しそうに歪んでいたことに
桃
青
青
桃
青
桃
青
黄
るぅとが心底呆れたというようなため息をつく
相変わらずころんの顔は
仮面のような笑顔が張り付いていた
そこからは君へのいじめが始まった
朝は水をかけられ、夕方は屋上で殴られる
そんな君を笑って見ていた
ある日の放課後
委員会の仕事を終えて教室に入ったとき視界に飛び込んできたのは
歪んだ、蕩けた君の顔
どきりとした
心臓が飛び跳ねた感覚がして
息が詰まった
今までと比ではなくて
君のハイライトの入っていない、怯えた目を見て
今更君が消えてしまいそうで、怖かった
翌日の朝
いつも通りの時間に教室へ入ってきて、いつも通り水を被る
そんな君の顔は赤く染まっていた
俺達のことを見る君の口角は少し上がっていて
綺麗だった頬や、目の横、おでこ付近
どこにも痛々しい切り傷が付いていた
クラスメイトは、いつも通り濡れるころんを見て笑うが、
俺達はそんなころんを見て笑うことなんてできなかった
NEXT ≫♡8000
コメント
39件
まってます、!つづき!
続き待ってます!号泣して親に心配されました😭
続き楽しみです!