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コーヒーフロートを一杯。

第1話 - 第一話　家出少女とカフェ

2024年07月24日

#一次創作

#GL

#ドラマ

#感動

#切ない

七ノ井みるく

コーヒーフロートを一杯。

第一話　家出少女とカフェ

【注意】この物語はフィクションです。物語の中に虐待やそれを匂わせる要素がありますが、いずれも虐待を助長する意図はありません。

凛月

ふう〜。やっとバイト終わ……え！？

凛月

ちょっと、そこの君、大丈夫！？

心音

う……ううん……

心音

ん……？

凛月

あ、起きた……。

凛月

こんなところで倒れて……どうしたの？

心音

えっと……家を追い出されちゃって。

凛月

あ、え、そうなの？

心音

野宿しようと思って。

凛月

と、とりあえず着いてきて！

凛月

私がバイトしてるカフェがあるんだけど、そこ行こう！

心音

ええ……？

凛月

店長ー！道端に倒れてた子連れて来ました！

店長

おぉ、そうかそうかぁ……ん？

店長

凛月ちゃん、また！？

凛月

はい！

心音

う……えっと……

店長

あー、とりあえず座って！

店長

あー、適当に飲みたいの選んでいいよ！

心音

え？あ、はい……？

店長

凛月ちゃん！悪いんだけどその子の注文聞いておいてくれる？

凛月

あ、はーい！

凛月

……で、何飲む？

心音

えっと……お金はそんなに持っていなくて……。

凛月

大丈夫。うちの店長太っ腹だからね〜。

心音

そ、そうなんですか……？

心音

そしたらコーヒーフロートをひとつで……。

凛月

……どうしたの？他になにか頼みたいものある？

心音

えっと……

凛月

いいんだよ、店長が支払うから。

心音

じゃあ……パンケーキで……

凛月

パンケーキね、了解。

凛月

店長！コーヒーフロートとパンケーキひとつ！

店長

はーい！

凛月

……君、名前は？

心音

心音です。

凛月

へぇ〜、心音ちゃんか〜。

凛月

私は凛月。このカフェのバイトなの。よろしくね。

心音

あ、よろしくお願いします。凛月さん……。

凛月

心音ちゃん、家で何かあったの？

凛月

要するに家出ってことでしょ？

凛月

あ、でも心音ちゃんは出たくなかったのかな？

心音

簡潔に言うと家出になります。

心音

でも、全部わたしが悪くて。だから心配しなくていいですし、こんなに優しくしなくても……

凛月

いーのいーの。せめてコーヒーフロートは飲んでね。

凛月

……心音ちゃん、ご両親との仲は悪いの？

心音

良いかどうかで言ったら良くはないですね……。

心音

昔は仲良かったんですけど……。

心音

お母さんが再婚して新しいお父さんが出来ました。そこから仲が悪くなったんです。

心音

今日もお義父さんに暴力をふるわれて……。

凛月

そのお義父さん、何となくやばい人な気がする。

心音

でも、お義父さんの言っていることは合ってて、やっぱりわたしが悪くて……。

凛月

いや、きっと心音ちゃん悪くないよ。

凛月

お義父さんが一方的に心音ちゃんだけが悪いって言って洗脳しようとしてるんじゃない？

凛月

危ない！それ！絶対！

心音

え……？そうですかね……？

凛月

そんなとこ逃げ出そう、心音ちゃん！

心音

えっと……考えさせてください。

店長

はいお待ちどうさま。

心音

あ、ありがとうございます……。

店長

ゆっくりしてっていいよ。

心音

え、でももうお店閉店なんじゃ……

店長

それなら大丈夫だよ。君は心配しなくていい。

店長

心音ちゃん……で合ってるかな？

心音

はい。心音です。

谷

改めて、この店の店長の谷です。よろしくね。

心音

た、谷さん。よろしくお願いします……。

凛月

それで、店長、どーすんの？

谷

う〜ん……。住み込みにしても部屋の空きが無いんだよね〜……。

心音

え、す、住み込み……？

凛月

私の部屋はどうですか？

谷

あ〜。それもありだね。

谷

……心音ちゃん、今いくつ？

心音

えっと……18です。

谷

高校生か……。

谷

どうする？ここで住み込みで働かない？

心音

このカフェに？

谷

うん。部屋は心音ちゃんが大丈夫なら凛月ちゃんと同じ部屋にさせてもらって、

谷

仕事のことはみんなで教えるよ。

心音

いいんですか？

谷

心音ちゃんが良ければだけどね。

心音

じ、じゃあお願いします……！

谷

よーし、それじゃあ凛月ちゃん、寮まで案内してあげて。

凛月

はーい。任せて！

心音

え、あの、コーヒーフロートとパンケーキのお代……！

谷

いいよいいよ。僕が出すからね。

心音

で、でも……！

凛月

心音ちゃーん、いくよー。

心音

え、えぇ……？

凛月

ほら、店長太っ腹でしょ？

凛月

コーヒーフロートとパンケーキくらい大丈夫だよ。

心音

え、でも……

凛月

……それで、どう？

凛月

この部屋、案外居心地悪くないでしょ。

心音

そうですけど……

心音

（帰らなきゃ怒られちゃう……）

凛月

もしかして、家のこと？

凛月

それならまた明日にでも考えればいいよ〜。

凛月

それに、今日は疲れたでしょ？早く寝て疲れを癒さないと。

心音

あ、はい……。

？？？

お前なんて……！

？？？

邪魔なんだよ！さっさと失せろ。

心音

あ……

心音

ご、ごめ、んなさい……。

？？？

義父さん、辞めた方が……

？？？

お前は自室に戻っていろ。レポート、終わってないんだろ？

？？？

終わったからちょっとリビングに来ようと思って来たんだ。

？？？

……そうか。ならいいぞ。

？？？

俺は出かけてくる。……留守番、頼んだぞ？

心音

あ、はいっ……！

？？？

……なぁ、心音。

？？？

お前、毎日のように殴られて辛くないのか？

心音

辛くないよ、慣れちゃったし。

もう慣れちゃった。

慣れちゃったからいいの。全部。

それに、わたしが悪いんだ。

わたしのせいでお父さんはどこか行っちゃって、お母さんはお義父さんと再婚しちゃった。

わたしが、わたしが全部悪いんだよ。だから、そう言って。

いつか　私が悪いって　言ってね

コーヒーフロートを一杯。

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七ノ井みるく

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