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目を覚ました。

焦点がぼんやりして定まらない。

明るい……

部屋の中に柔らかな光に満ち溢れていた。

少しして

空っぽの枕が目にはいる。

ケイジがいない!

ワコははっとして起き上がった。

ケイジ(Κ)

まだ寝てていいよ

ケイジはワイシャツにネクタイを締めている最中だった。

腕にはめた高級時計をちらりと見る。

ケイジ(Κ)

まだ時間はある

ケイジはワコの額に手をあてる。

ケイジ(Κ)

熱は大丈夫

ケイジ(Κ)

どれ、脈は……

ケイジ(Κ)

うん

ケイジ(Κ)

問題なし

ケイジ(Κ)

夕べ……

ケイジ(Κ)

きみに無理させてしまったかもって

ケイジは点滴を見やる。

ケイジ(Κ)

少し早すぎたと反省したよ

いたって真面目。

少しの後ろめたさも感じさせない。

横に腰掛け、ワコの腕に巻いたテーピングを外し始めた。

夕べ、ワコに触れた時と同じで

その手はまるで大切な置物を扱うがごとく、一つ一つが丁寧だった。

愛情に満ちたケイジの 眼差に

薄明かりの中、共に過ごした閨事のことが思い出され、

ワコは恥ずかしさのあまりうつむいった。

ワコ

点滴……

ワコ

もういいの?

ケイジ(Κ)

うん

ケイジ(Κ)

こんなもの

ケイジ(Κ)

外してしまおう

ケイジ(Κ)

晴れてきみは自由だ

ケイジは笑うと

点滴パックを勢いよくゴミ箱へ放り投げた。

ワコ

シャワーを浴びても?

ケイジ(Κ)

問題ない

ケイジ(Κ)

今夜はできるだけ早く帰る

コンコンと

ノックの音──。

ケイジ(Κ)

一時間したら

ケイジ(Κ)

朝食を運ばせる

ケイジ(Κ)

気持ちが不安にならないよう薬を出しておくから

ケイジ(Κ)

ちゃんと飲んでおくように

コンコン

もう一度ノック。

ケイジ(Κ)

ヨシエさん

ケイジ(Κ)

今、行くから

ドアに向かって呼びかけた。

ケイジ(Κ)

いってらっしゃいは?

ワコ

あ……

ワコ

い、いってらっしゃい

ケイジはワコの額にキスしてから部屋を出ていった。

何だろ?

結婚の実感もないまま夫婦やるて……

15分後

ワコはシャワーどころか、バスタブに熱い湯を溜め浸かっていた。

本当に久しぶりの湯だ。

次第に頭がハッキリとしてきた。

監禁生活から一転

何もかもが180渡変わってしまった。

自分の記憶にある現実

ケイジの言った現実

どっちらか一方が真実だ。

あまりにもサイコパスであるKがリアルすぎて、ケイジの言うことが信じきれない。

いずれにしても

夫だと信じられる根拠が欲しがった。

屋敷の中を探索したら

何か思い出されるかもしれない。

ワコはすっぽり頭まで湯に浸かった。

部屋に戻ると

小さな丸テーブルの上に

朝食が乗っていた。

いつの間にかベットメイクまでされている。

あの人

ヨシエさんって言ったっけ。

ワコの中に彼女の記憶はなかった。

クローゼットを開ける。

身に覚えのない洋服たち──

ここにも記憶はない。

ワコ

これ……本当に私が選んだんだろうか?

ワコ

やけに大人っぽ過ぎる気がする

ヨシエ

奥様

わっ!!

音もなくは入ってきたヨシエにワコはドキリとした。

ヨシエ

確かに奥様がお選びになりました

青白い顔がすぐ後ろに立っていた。

ワコ

ワコ

ええ

無表情でどこか不気味。

ホラー映画そのままの家政婦だ。

ヨシエ

旦那様からのお言いつけけで、お薬をお持ちいたしました

テーブルに置く。

ワコ

ど、どうも……

ワコ

ありがとう……

ワコ

ワコ

ございます

ヨシエ

奥様

ヨシエ

敬語は不要でございます

ヨシエ

お食事終わられましたら

ヨシエ

呼び鈴を鳴らしてくださいまし

ワコ

ワコ

はい

ワコ

わかりました

ヨシエは下がろうとしない。

きっと何かが足りない。

ワコ

ワコ

さがってください

ヨシエ

それでは失礼いたします

ヨシエがドアノブに手をかけた。

ワコ

あの……

ヨシエ

なんでしょう?

ワコ

ワコ

家の中を出歩いても?

ヨシエ

ここは奥様の家でもございます

ヨシエ

どうぞお好きになさってくださいまし

ぴしゃりと言うと

ヨシエは部屋を出ていった。

……。

ワコ

何あれ?

ワコ

あの威圧感たっぷりな感じ??

ワコ

確かにケイジの言う通り

ワコ

日中あんなオバサンと二人きりなら精神やられて

ワコ

病気にもなるか

うん

うん

ワコはバスローブを脱ぎ

適当に選んだワンピースを着た。

サイズはぴったり

あ……ここに靴がない。

ワコ

室内ばきで歩き回っていいか聞くの忘れた……

ワコ

ああゆうタイプは

ワコ

聞かなきゃ聞かなかったで、イヤミ言いそうだし

ややこしい

ワコ

他人が家にいるって

ワコ

慣れそうにもない

30分後

朝食を食べ、薬を飲み終えるとワコは証拠探しを始めることにした。

以外にも結婚式の写真はすぐに見つかった。

寝室用の隣にはケイジの書斎があった。

机の上の写真立て

そこにウェディングドレス姿のワコとタキシード姿のケイジが並んでいた。

ほっとするのも複雑だ。

ワコ

あって嬉しい

ワコ

けど

ワコ

まるで覚えがない

よくよく見てみたが首だけすげ替えた合成とは思えなかった。

ワコ

これって、ますます自信を無くす

ワコはため息をつくと書斎を出た。

にわかに外が騒々しい

窓から外を見た。

庭の奥の離れ、古い病院のような建物が建っている。

回りを防音壁が囲み

重機による解体作業が始まっていた。

あれって・・・

もしも

仮にも

あそこに

監禁部屋があったとしたら

つづく

ワコが死の目前で見たものは

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