1年前。
奈緒
翔くん!!!!焼肉食べに行こ!お腹空いちゃった!!
翔
いこっか〜
そして会話交じりで食べたお肉は とても美味しかった。
翔
俺払うわ、奈緒はタクシー捕まえといて
奈緒
いいのに!じゃあタクシーは、私出すね!
そう、この時は 翔くんは、仕事もしていて ご飯も奢ってくれていた。
あい
もー。まーたその話ー?前は前はって、大事なのは今でしょ?今の翔くんはどーなのよって話
奈緒
そ、それは、仕事も辞めちゃって、ご飯のお金も、携帯代も全部払ってあげてる…
あい
ほら、前はよくても今がそれじゃねぇ…
私は親友の、あいとコーヒーを飲みながら 今日もお決まりの会話をしている。
奈緒
私は、男の人が毎回お金払うのは違うと思うから…
あい
なら、奈緒はどーなの?毎回払ってるじゃん。
そーゆー使い道の間違った母性本能が
変な男作るのよ〜
そーゆー使い道の間違った母性本能が
変な男作るのよ〜
あいはそう言うと、バイトだから私行くね〜と元気にバイト先に向かった。
奈緒
ただいま
翔
お帰り
私は気づいた。 気づきたくないのに 傷つきたくないのに 見えないものを追っていく。
奈緒
今日、なにしてたの?
翔
友達の家でゲームしてたけど?
あ。嘘ついた。 翔は嘘つくとき 私の目をずっと見て逸らさない。
奈緒
そっか
胃の奥から吐き気が込み上げる。 嘘ついてる。 また嘘だ私に嘘をついてる。 平気な顔をして私を傷つける。
翔
俺寝るわ
奈緒
おやすみ。
トイレに駆け込み、先程食べたものを全て吐いてしまった。 苦しい。
奈緒
翔の匂い
奈緒
首元から知らない香りした。
私は泣いてるのを シャワーの音で掻き消して まだ息が上がってるのを 気づかれないように 翔に背を向けて寝た。
さっきまで、他の女の子と寝てたんだよね 他の女の子と 私にするみたいに沢山、沢山、 その夜はそんなことを考えながら 苦しい中、浅い暗闇へと落ちていった。
翔
おはよう、奈緒。
目が腫れてるけど、どうしたの?
目が腫れてるけど、どうしたの?
私は知らないフリをする きっと問い詰めたら、 翔は、私の前からいなくなる。
奈緒
ううん、大丈夫、目が痒くて掻いちゃっただけなの
翔
そっか、病院いくか?
俺もついてこうか?
俺もついてこうか?
奈緒
大丈夫だよ、病院くらい
翔
いいや、着いてくって、
ほら、支度しろよ、
寒いからマフラーつけろよ
ほら、支度しろよ、
寒いからマフラーつけろよ
ほら、こういう所。 いつも優しく傷つける。 離してくれない。
奈緒
ほんと大丈夫!これ以上ひどくなったら行こうかな
翔
まあ、そういうなら
奈緒
ありがとう
私はその日の夜、してはいけないことをしてしまった。







