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ある日の休日のこと

散歩してる途中に見覚えのある姿がいた

柊登馬

佐狐?

ぼーっと空を見ていた佐狐は俺の声に気づきくるりと振り返った

佐狐浩太

…柊さん、どうも

柊登馬

こんなとこで何してんだ?

佐狐浩太

いえ…空を見ていました

佐狐はそっとその場に寝転がる

佐狐浩太

雲ってわたあめみたいですよね

柊登馬

ん?

柊登馬

あぁ…まぁ、見えるな

柊登馬

まぁ、俺は甘いもの好きな訳じゃねぇけど

佐狐浩太

でも厳密に言うと違うんですよね

柊登馬

何がだ?

佐狐はそっと起き上がって俺を真っ直ぐ見つめて言う

佐狐浩太

わたあめと雲ですよ

佐狐浩太

わたあめは食べられるけど

佐狐浩太

雲は水蒸気の集まりでそれが冷えて固まった水とか氷からできているので食べることも触ることも不可能です

柊登馬

ずいぶん詳しいな…

佐狐浩太

俺5教科の中では化学が得意なので!

柊登馬

へぇ…なんで化学が得意なんだ?

佐狐浩太

化学は好きなもののために必要ですから

佐狐浩太

お菓子作りのときに必要になるから勉強してます

佐狐浩太

それに役立つのであれば無駄ではないので

柊登馬

相変わらずだな

佐狐浩太

俺は小さい頃、雲を触りたいって思ってました

佐狐浩太

でも水蒸気が集まって冷えて固まった水とか氷と知ってからは諦めましたけど

柊登馬

まぁ、俺も昔は触りたいって思ったな

柊登馬

でも雲とかわたあめって不思議だよな

佐狐浩太

え?

柊登馬

なんか消えそうなのに消えないと言うか

柊登馬

ちゃんと目に見えてるの不思議だなって

佐狐浩太

俺も不思議だと思ってました

佐狐浩太

でも最近気づいたことがあります

柊登馬

ん?

佐狐浩太

髪の毛もそうだなって

柊登馬

髪の毛?

佐狐浩太

髪の毛ってほら

そう言って佐狐は自身の髪の毛を1本掴み言う

佐狐浩太

1本だと分かりにくいけど

佐狐浩太

こうやって他の髪の毛と一緒になれば

佐狐浩太

見えるのと同じかなって…

香色の髪の毛が風を受けて静かに揺れる

柊登馬

ははっ

柊登馬

確かに…そう言われるとわかるな

佐狐はその場に寝転がって口を開く

佐狐浩太

俺、気になることがあります

柊登馬

なんだ?

柊登馬

答えがあることなら大抵答えられるけど

佐狐浩太

雲ってなんで流れていくんだろうって

柊登馬

へ?

佐狐浩太

いや、風が吹いて流れていくのは理解できてます

佐狐浩太

でも風が吹いてないのに雲ってどこかに行くじゃないですか

佐狐浩太

逆側から風が吹いても戻ってくるわけでもない

佐狐浩太

形を変えたり消えてしまったり

佐狐浩太

まるでわたあめみたいに一瞬なんです

柊登馬

佐狐……

佐狐浩太

どうせなら…もっとゆっくり動いたっていいのに…

佐狐浩太

なんで流れていくんだろうって…

そこまで言って佐狐は急に黙った

柊登馬

佐狐…?

佐狐浩太

スゥー…スゥー…

いきなり静かな寝息が聞こえてきて俺は思わず苦笑する

柊登馬

話してていきなり寝るやつがあるかよ

柊登馬

子どもみてぇだな

そう言って佐狐の髪の毛をそっと撫でる

佐狐浩太

んぅ……

気持ち良さそうに眠る佐狐を見て俺は小さく微笑む

柊登馬

気持ち良さそうに寝てるな

俺は上着を脱いでそっと佐狐に掛けてやる

柊登馬

雲がなんで流れていくのか…か

俺もその場に寝転がり佐狐をそっと抱き寄せる

柊登馬

佐狐…俺はそんな簡単にいなくならねぇよ

柊登馬

雲とかわたあめは一瞬にして消えていくけどさ

柊登馬

人間はそう簡単に消えないから

柊登馬

って…俺が言えることじゃないよな

佐狐は一度大事な人がいなくなるのを経験してる

俺は健気に着いてこようとした佐狐と決別をした

"お前は着いて来ない方がいい"なんて酷いことを言った

時間をかけてできた関係が一瞬にして崩れたからこそ

それを雲とかわたあめに例えたのだろう

柊登馬

お前が寂しいって呼ぶならいつだってそばに来てやる

柊登馬

お前が安心できるまでこうしててやるから

柊登馬

だから遠慮とかせずいつでも連絡しろよ

そう言って俺は目を瞑り佐狐を抱きしめながら寝てしまう

佐狐浩太

(柊さん…ズルいですよ///)

佐狐浩太

(そんなカッコいいこと言うなんて///)

本当は佐狐が起きていて聞いていたことなんて知る由もなかった

ぬいぬい

皆さん!どうもです!

ぬいぬい

今回は初めてチャットノベル形式で読切を書かせてもらいました

ぬいぬい

コメント欄にも書きますが実はこの話はこの前完結した『愛が憎しみに変わりまた愛になる』のもう1つのエンディングなんです

ぬいぬい

そういう理由からチャットノベル形式で書くことにしました

ぬいぬい

雲やわたあめは一瞬にして消えてしまう儚さがあるけど

ぬいぬい

その儚さに人は心を奪われてしまうことがある

ぬいぬい

儚いものは美しいけど寂しい気持ちを埋めることはできない

ぬいぬい

今回はその気持ちにも着眼しています

ぬいぬい

少しでも皆さんの心に何かを残せたら幸いです

ぬいぬい

今回はちょっとタイトルとか諸々変だけど少しでも楽しんで貰えたら嬉しいです

この作品はいかがでしたか?

78

コメント

1

ユーザー

皆様、読んでくださりありがとうございます 実はこの話はこの前完結した『愛が憎しみに変わりまた愛になる』のもう1つのエンディングなんです 雲やわたあめは一瞬にして消えてしまう儚さがあるけどその儚さに人は心を奪われてしまうことがある 儚いものは美しいけど寂しい気持ちを埋めることはできない 今回はその気持ちにも着眼してみました 少しでも皆さんの心に何かを残せたら幸いです

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