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10 - 最終話「あの時交わした決意」

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2025年11月17日

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野乃子

えー、ごめんなさい。彼はあの世でもきっと私たちのことを応援してくれてます。これからの私たちはその応援に答えていきたいと考えてます。なので皆さんも応援して下さい。そして私たち、『Flow Stars』はこれからもライブしていきます!!

私はそう言うと、先ほどまでの静寂がまるで嘘のように拍手喝采が鳴り響いた。

私たちはこれからもライブをする。

彼のためにも。ファンのためにも。そして自分たちの為にも。

だってそれが生きている私たちがやれる大切な宗司のためにやってやれる唯一の手段なのだから。

こうして私たちの復活ライブは終わり、再スタートの幕を開けただった。

だってあの頃、私たちは墓で誓ったから。

私たちは解散ライブ後、本当に彼の墓に行った。

静寂な空気の中で静かに漂う線香の煙。墓にそびえ立つ花がある。

手を合わせる前に夏下さんが彼の墓に声をかける。

夏下

こんな形になったけど、ごめんな。俺たちはこんな形で別れるかもだけど、それぞれの道を歩く。だからお前は安心していいからな

その言葉を発し終えた直後だった。

風が強く吹き上げられ、花びらが揺れる。

宗治

断る。お前たちなら俺がいなくてもまた復活するよ。だから気が向いたら復活してくれ。応援はする

風と共に吹かれた声は宗司の声だった。

夏下

勝手なこと言うなよ

川根

あぁ、そうだな

岩井

亡きものに忠告される気なんてないよ

そうだよね、解散ライブで解散するって言ったから。復活なんて出来ないよね。

その時はそう思っていた。

しかし彼らの答えは違った。その意志を夏下さんの口から聞かされた。

夏下

誰が復活しないって?俺たちは元から復活する気だよ。お前の彼女が首を縦に振るならな

私を見つめるメンバー三人の男たち。

その顔は笑顔で私の決意で復活してもそのまま離れ離れになったとしてもどちらを選択しても責めようとしないような優しい笑顔だった。

私はその決意を決めていた。

力強く首を縦に振る。

夏下

よし、決まりだな。俺たちは復活する。もちろん、お前も含めてだからな、宗司。それまで『Flow Stars』は修行というブランチを持つ。賛同する者は…

岩井

ブランチ?

野乃子

ブランクじゃない?

私がそう言うと、夏下さんの耳が少し赤く染まる。

夏下

気を取り直して。賛同する者は目をつぶって手を合わせよ

その声と共に私たちは目を閉じて自分の両手を合わせて復活することを誓ったのだ。

そして今に至るのだ。

またどこかで静かに風が吹きあげてきそうだ。

その風と共に彼の声がまた聞こえてきそうだ。

私たちはその声が聞けることに恐怖や不安はない。

むしろ聞きたいという楽しみの方が私たちの感情を埋め尽くしているのである。

そんなことを考えながら、今日もまたどこかで私はメンバーと共にライブを行っている。

~完~

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