ステラ
この世界はやっぱり何処か不思議で不気味だわ。
ペルラ
何故そう思うんだい?
ステラ
手みたいにユラユラと葉っぱが揺れる木とか…
ペルラ
あれは本当に手なんだけどね…
ステラ
目玉が付いた喋る花とか…
ペルラ
ちゃんと彼らには人の言葉が分かるからね
ステラ
…さっきからペルラがずっと解説してくる
ペルラ
だって理解出来ないんでしょ?
ステラ
私の世界ではそんな草花は無いもの
ペルラ
でも、存在しないなんて誰も証明出来ないだろ?
ステラ
そうね
さっきも途中で顔の付いた花に話しかけられたわ
喋る花
あら、ステラこんにちは
ステラ
…こんにちは。あれ?
此処さっきも来てなかった?
ペルラ
あぁ、どうやら迷いの森に来てしまったみたい
ステラ
抜け出す方法はないの?
ペルラ
んー。あるけど面倒くさい羊がいるからね
ステラ
羊?
喋る花
メアリーならさっき鎌を持って勿忘草を取りに行ったわよ
ペルラ
どの方向へ行ったか教えてくれないかい?
喋る花
ええ、いいわよ
喋る花
左の赤の道に行ったわ
土産話楽しみにしてるからね
赤い道って聞くだけでも不気味だけど本当に赤い色だからそう言うしかない。
ステラ
お花さんありがとう
ペルラ
さて、迷い子にならないでね?
ステラ
な、ならないわ!
ペルラ
ふふっまあこんな所で独りになっちゃったら餓死するしかないけどね
ペルラ
ほら、手を出して
ステラ
えっちょっと何で手を繋ぐの?
ペルラ
此処からは手を繋いでいないと危ないからかな?
ステラ
訳が分からない!
迷いの森の番人 メアリー
アナタたちさっきから騒がしい…わっ!!
突然黒い羊が飛び出してきたかと思うとナイフを投げてきた。
ペルラ
おっと危ないな
大丈夫かい?
ステラ
ええ、ペルラありがとう
迷いの森の番人 メアリー
あら、可愛いお嬢ちゃん
ペルラが手を引いてくれたお陰でナイフスレスレを逃れることが出来た。
髪を軽く掠めたくらいで済んだのが幸い。
黒い羊と言ったけど見た目は黒い羊を装った女の子って感じだ。
ステラ
いきなり危ないじゃない!
迷いの森の番人 メアリー
あらごめんなさい
メアリーまたやっちゃった
ペルラ
客人を傷つけないで頂きたい
迷いの森の番人 メアリー
あら、ペルラじゃない
怒んないでよ〜。怖いな〜!
迷いの森を守るためには大事な事なのよ?
迷いの森の番人 メアリー
だってメアリーは迷いの森の番人ですもの!
ステラ
迷いの森の番人…?
迷いの森の番人 メアリー
そうよ
堅苦しいからメアリーちゃんとでも呼んでね!
迷いの森の番人 メアリー
ペルラそんな警戒しなくていいのに
ただお嬢ちゃんの頭を撫でただけだもん
ペルラ
さっきナイフを投げてきた人がよく言うよ
ステラ
(この子もモフモフしてる)
ステラ
(この手でよくあんなナイフ投げて来たな)
迷いの森の番人 メアリー
あ、そうそう
お花たちが騒がしくて聞いてみたらメアリーに用があるんだって?
ステラ
私たち道に迷っちゃってこの森を抜けるにはどうしたらいいのかなって
迷いの森の番人 メアリー
あら、そうだったの?
取り敢えずお茶でもしない?
ペルラ
はぁやれやれ。羊ってやっぱりマイペースだね
ペルラが呆れているのを見ているとあっという間にメアリーはテーブルと椅子を並べてお茶の準備をしていた。
迷いの森の番人 メアリー
さて、準備も整ったしお茶にしましょ?
好きな席に座って頂戴
ステラ
(毒入ってないかな?)
迷いの森の番人 メアリー
あら、食べないの?
毒なんて入ってないわよ
ほら、ふふふっ美味しい!
ペルラ
紅茶にも毒は入ってないみたいだよ
ペルラは容れて貰った紅茶の匂いを嗅いで確かめていた。
ステラ
…ちょっと失礼だよペルラ
迷いの森の番人 メアリー
ペルラは鼻がいいものね
紅茶にも毒なんて入ってないわよ
迷いの森の番人 メアリー
疑い深いわね
ペルラ
ネコは鼻が利くんだ
ステラ
今はネコの姿じゃないけどね
私は恐る恐るメアリーが出してくれたクッキーに手をつけた。
ステラ
…ん!
美味しい!
迷いの森の番人 メアリー
でしょでしょ!
メアリーはお菓子作りが得意なんだから
迷いの森の番人 メアリー
ほらペルラも食べて食べて!
ペルラ
…クッキーも大丈夫みたい
ステラ
さっきから失礼過ぎるよ
私は苦笑いして紅茶を口付けた。
…フワッとフルーティーな香りが鼻に広がる。
迷いの森の番人 メアリー
…ふぅ。さてと2人はこの森から出たいんだよね?
ペルラ
あぁ、出来るだけ面倒がないようにね
迷いの森の番人 メアリー
…抜け道を作ってあげてもいいよ
ステラ
本当に?
迷いの森の番人 メアリー
ええ、勿論いいわよ
本当可愛いお嬢ちゃんね
ペルラ
条件は何?
迷いの森の番人 メアリー
あら、分かってるじゃない
迷いの森の番人 メアリー
…じゃあメアリーと一緒に遊んでよ