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自分でもよくわからなかった
深い海の中
ふと視線を右に動かすと、バス停
ぼんやりとした視界では、何がかかれてるか見えなかった
今度は視線を左に動かす
今度は、綺麗に列を作る海洋生物たちが見える
ぼんやりとした視界でも、様子がおかしいのはわかった
現実じゃ有り得ないことが起こっているが、私の頭は全然働かない
それに水中だからか少し息苦しい
息苦しさに少し耐えながら、ただ立ってる
どれぐらい経ったかわからなくなったときのこと
遠くに何か見える
だんだん近づくそれを見て、バスだとわかった。
変わったデザインのバス
運転手はあまり見えず、どこ行きかもよくわからなかった
ドアがゆっくりと開く
頭は働かない癖に足は自然と動いた。
一歩一歩ゆっくり進み、バスに乗り込もうとした
バスの中に一歩足を踏み入れる
その瞬間
ようやく頭が働き始めた
いや違う
頭に、記憶が流れ込んだ
あぁ、思い出した
辛かった
味方なんて誰もいなくて
海を眺めることだけが楽しみの、 つまらない人生
波打ち際からは海の中なんて見えなかったけれど
海の中は、私の人生の何倍も楽なんじゃないかと思った
辛かったことが全て終わる
私はその事が嬉しくて、 笑みを浮かべ
一歩、一歩と海に足を踏み入れていった
海の中のバス停も、列になって並ぶ海洋生物たちも今なら理解出来る
これはきっと渡し舟
海で命を終えた生物たちの あの世への渡し舟だろう
振り向いたとき目に映ったバス停
今なら何がかいてるかわかる
「天国行き」
バスの座席に座る私は
笑っていた