画面の前で淡々と話すいむ。 その声の裏には、言葉にできない思いが潜んでいた。
いむ
……今日も、みんな元気でいてくれたかな
誰にも見せないその瞳は、どこか遠くを見つめている。 やがて、部屋の隅から静かな声が聞こえた。
ほとけ
祈りは届くのだろうか……
いむ
ほとけ……?
いむは驚いて顔を上げる。 そこにいたのは、自分とよく似たもう一人の存在だった。
ほとけ
君が、いむか。いつも真面目に、でも心は壊れそうで……
いむ
壊れてなんかないよ
ほとけ
君がそう思い込もうとしているだけだ。俺はその証拠を見てきた。君の涙を、誰も知らない場所で見てきた
いむ
……
その言葉は胸に突き刺さった。 口に出せずにいた感情が、今、目の前で語られている。
ほとけ
だから、祈っている。君が、少しでも楽になれますように、と
いむ
祈り……?
ほとけ
そう。僕は君の心の中で、静かに祈り続けている。君が本当の自分に気づけるように
いむは小さく息をつく。 静かな祈りの声が、心の奥に響いた。
いむ
ありがとう、ほとけ。僕、もう少し頑張ってみる
ほとけ
無理はするな。君の心は、君が思うよりもずっと繊細だから
その日、いむの胸には、静かな灯火がともった。 誰にも見えない“祈り”が、彼を包み込んでいた。
【第三話 了】






