兄に勝てない俺。

姫柊はおどおど しながらも

おしとやかに 俺を

案内してくれた

あくまで送って いくのは

"兄さんの婚約者”だから。

これには驚いた。

"兄さんの婚約者” だから

一緒に帰ることにした。

ー家にてー

心に渦巻くまだ 名も知らない感情に

知ってはいけない 認めてはいけない感情に

俺は悩まされていた。

あれから俺たちは 他愛もない話をしながら

毎日一緒に帰っている。

どちらも帰宅部で

同じクラスなため、 一緒に帰りやすい。

陽香梨はコミュ障（？）で

何故か俺には安心感を 抱いたらしい

それはきっと

俺が兄さんの弟だから。

陽香梨には

俺が婚約者の、弟だとは 伝えていない

その日はちょうど 陽香梨と帰り初めて

1年ほど経った日だった。

陽香梨の家の前に 立っていた人

それは

キャリーケースを 片手に足を組んでる

…兄さんだった。

無表情の兄の顔には

怒りが滲み出ていた。