中学生の友情とは、
ドミノのようだ、と思う。
ほんの少し触れただけで、 簡単に崩れてしまう。
一つ倒れると、周りもどんどん 倒れていく。
女子
あははは
女子
あいつマジで
キモいんだけど
キモいんだけど
神谷 奈緒
……
今日も、同じクラスの神谷さんが
あの子たちにいじめられていた。
青田 みやび
(…ひどい)
きっかけは、なんだったの だろうか。
神谷さんは、 目立つグループに入っていて
あの子たちとは仲が良かったはずだ。
まぁ、どうせきっかけなんて 些細なことだろう。
女子
もーらいー!
神谷 奈緒
あっ!ちょっと!
神谷さんの弁当が取り上げられた。
女子
トイレに捨てて
こよー
こよー
女子
いいねそれ
神谷 奈緒
っ!やめてよ!
女子
あ?何?
女子
なんか文句あんの?
神谷 奈緒
……
青田 みやび
………っ
もう、限界だった。
毎日神谷さんの苦しそうな 顔を見るのも
自分が何も出来ずに、ただ 見ているだけなのも。
青田 みやび
やめなよ!
そう、叫んだ。
神谷さんの弁当を奪い返す。
女子
はぁ!?
何やってんの
何やってんの
中学生の友情とは、
ドミノのようだ、と思う。
ドミノだからってなんだ。
崩れたなら、また一つ一つ 立て直せばいいじゃないか。
また、新しい友達を作ればいい。
だから、私が
あなたの友達になるよ。
青田 みやび
奈緒ちゃん
青田 みやび
一緒に弁当、
食べようよ!
食べようよ!
神谷 奈緒
…え
青田 みやび
いいから、早く
こっち来て!
こっち来て!
神谷さんの
いや、奈緒ちゃんの、手を ひいて走り出す。
中庭にたどり着いた。
青田 みやび
ここで食べようよ!
神谷 奈緒
……でも
青田 みやび
これからよろしくね!
奈緒ちゃんに、笑いかける。
神谷 奈緒
!
神谷 奈緒
よろしく…!
奈緒ちゃんの目から、一粒の 雫がこぼれた。
風に揺られている木が、
心地よい音を運んでいた。