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東独の毒素

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東独の毒素

2 - 東独の毒素2「国家と偶像」

♥

280

2020年03月14日

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1989年11月5日

キリル

やっとおわった…

ニコラス

本当に来てくれたんだね!

キリル

約束しただろう

ニコラス

ただの社交辞令だと思ってたから

キリル

そこまで最低な人間ではないさ

ニコラス

少し君のこと見直したかな

キリル

で、早速だが今日はなんの話を聞かせてくれるのか

ニコラス

君は何の話を聞きたい

キリル

お前の知る「西側諸国」について教えてくれ

ニコラス

勿論、いいよ

ニコラス

それじゃあ、まずはこの国「ドイツ」について話そうか

キリル

知っている

キリル

この国元々西側だったのだろう

ニコラス

あの頃は西側という名前では無かったけれどまぁそんな感じかな

キリル

ある独裁者がいたらしいな

ニコラス

そうだよ

ニコラス

あの人はとても凄かった

ニコラス

今まで見てきた人の中で本当に素晴らしい

キリル

お前……?

ニコラス

話が逸れちゃったね

ニコラス

元々はこの世界に共産主義や、社会主義は存在しなかったんだ

キリル

そうなのか……

ニコラス

そうだよ

ニコラス

この世界は全てが資本主義だった

ニコラス

その資本主義のシステムをおかしいと思った人達が考えた制度

キリル

それがまさか!

ニコラス

そう、今の社会主義だ

キリル

そうだったのか……

ニコラス

こんなこと言ってたら僕殺されちゃうかもね

キリル

ふつうに逮捕だな

ニコラス

君がいなかったら確実に逮捕だ

ニコラス

けれどみんな平等な世界なんて今の時代における富裕層が納得すると思う?

キリル

基本しないだろうな

ニコラス

そう!そして世の中を支配しているのは富裕層

ニコラス

つまりは、社会主義が国のシステムとして認められにくい

キリル

大半が西側思考なのはつまり

ニコラス

富裕層が社会主義化を邪魔しているんだ

キリル

ならば、今すぐ富裕層を排除すれば!

ニコラス

そう、その排除に成功した国が今の社会主義国だ

ニコラス

まぁ、上手くいっているようには見えないんだけどね

キリル

そんなことはない!

キリル

社会主義はこの世の中で一番優れた思想だ!

キリル

西側よりも、第三世界よりもずっとずっと素晴らしい

ニコラス

それじゃあ君は第三世界と西側よりどの点で社会主義が優れているのか言える?

キリル

ああ!

キリル

ほかの思想とは違って社会主義は平等だ!

キリル

アメリカなんかには絶対に負けない

ニコラス

そうかなぁ…軍事勢力的にはアメリカ合衆国の方が優れていると思うけどね

キリル

その繁栄だって一時的さ

キリル

やがては衰退する

キリル

しかし我々は永遠だ

ニコラス

永遠……ね

ニコラス

そんなものが存在するのかい?

キリル

ああ!私たちは永遠だ

ニコラス

僕としては衰退するのは東側陣営だと思うけどね

キリル

何だって?

ニコラス

結構この国は西的だと思うけど?

キリル

ほお

ニコラス

だってラジオもテレビも西側のものが見れるし

ニコラス

いい車沢山あったよ

キリル

お前は車が好きだな

ニコラス

あの造形はなかなか素晴らしいよ

キリル

西側のテレビを見ている市民がいるのか!

キリル

あれは禁止だと言っただろう

ニコラス

禁止していても全ての人を規制出来るわけじゃない

キリル

全員逮捕してやる!

ニコラス

軍人さんは怖いねー

キリル

脱国者もいなければ楽なんだがな

ニコラス

そういえば、君はどうして脱国者が出ると思う?

キリル

さぁな

ニコラス

今の東ドイツの国民は西側の思考を求めているのさ

キリル

つまり私たち東側の考えは……

ニコラス

必要とされていない

キリル

どうして…どうしてだ!

キリル

私たちは素晴らしい思考を持っている

キリル

なのに…何故!

ニコラス

僕らにとっては人々の移動すら規制して自由を奪ってく東側より

ニコラス

自由で好きに移動できる西側の方が素晴らしい

ニコラス

たったそれだけの事さ

キリル

私はあまり考えないようにしてきた事がある

ニコラス

何?よければ教えてよ

キリル

もしかしたら、東ドイツは消滅して西ドイツに併合されるのではないか……と

ニコラス

うんうん

キリル

それに、我が祖国も……いつか西に呑まれて消滅してしまうのではないか

キリル

こんな事をいうのは祖国への裏切りだが、それが不安でたまらない

ニコラス

きみ、なかなか察しが良いね

キリル

………………!?

ニコラス

きっともうこの国は一ヶ月保たない

ニコラス

君の祖国も、昔のように分裂するんじゃない

ニコラス

独ソ不可侵条約の時に無理やり併合した、バルト三国とかさ

キリル

赤ロシアと、白ロシアはどうなる

ニコラス

多分そこも分裂するさ

ニコラス

白ロシアはともかく、赤ロシアとかは独立してもやっていけるだろう?

キリル

いや、赤ロシアはこちらから石油の輸入を止めれば良い!

ニコラス

赤ロシアが西側に入るといえば確実にアメリカが支援するさ

キリル

じゃあ、東側が生き残るにはどうしたらいいんだ!

ニコラス

それは不可能に近いと思うよ

キリル

……

ニコラス

いっただろう?どんな思想も国も世界にも、永遠なんてないのさ

ニコラス

永遠を求める気持ちは分かる

ニコラス

僕もそういう一人だから

キリル

そう…なのか

ニコラス

そうだよ

ニコラス

しかしどんなものも、いつかは滅びてしまう

ニコラス

恐らくは西側も、永遠ではない

ニコラス

滅ぶのが、僕ら東側の方が早かった

ニコラス

ただ、

キリル

それだけ…と言うつもりだな

ニコラス

わかってきたみたいだね

ニコラス

僕にとってはどうでもいい事だけど、愛国心のある君には少し辛い事だろう

キリル

そうだ…しかし、お前の話を聞いていると、

キリル

自分の愛国心すらよく分からなくなる

ニコラス

愛国心も結構曖昧だ

ニコラス

国って結構存在がぼんやりしているからね

ニコラス

指導者が国なのか、人民が国なのか、歴史や文化が国なのか

ニコラス

それともその全てが国なのか

キリル

国とは土地、人民、政府、他国からの承認で成り立つ

ニコラス

頭の固いやつだなー

ニコラス

多くの人がいても、彼らがそれを国と認識していなかったら、それは一体何だろう?

キリル

国と、認識していなかったら……か

キリル

想像したことがない

ニコラス

きっと国も一種の偶像さ

ニコラス

全く…人の形でもしてくれていれば、分かりやすいんだけどね

キリル

神のようにという訳だな

ニコラス

そうそう、そういう事

キリル

なかなか面白い話だった

キリル

私はそろそろ帰宅する

ニコラス

また明日もここにいるよ

キリル

では、また話を聞かせてくれ

キリル

明日は22時ごろこちらにくる

ニコラス

いいよ、待ってる

キリル

またな

ニコラス

じゃあねー

国の話はキリルにとってかなり気になる話だった

キリル

結局はどんなに繁栄した国も滅びてしまうのならば、

キリル

私たちは、何のために生きているのだろうか

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