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ミステリー倶楽部の計画

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ミステリー倶楽部の計画

8 - 藤堂なぞときと演劇女優⑦

♥

263

2019年08月13日

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ガルボ

「アバリカ!!」

ガルボ

「私を騙したのだな。貴様のせいで私は全てを……!」

ガルボ

「頭を垂れて懺悔しろ!!」

アバリカ

「嫌よ。頭をさげろですって?」

アバリカ

「頭が汚れる」

ガルボ

「貴様!!」

ザク!剣が体を切り裂く。

アバリカ

「く、」

ふわ

ガルボ

「何?」

アバリカは宙を舞う。血が滴り落ちる。

ガルボ

「宙を…!化け物め!」

アバリカ

「…ガルボ、貴方の前で私は地に倒れない。私は…」

なぞとき

……。

カノン

……。

観客

すご。

観客

大迫力。

舞台は大盛況のうちに幕を閉じた

小和田アイ

……。

なぞとき

素晴らしい舞台でした。

小和田アイ

小和田アイ

藤堂さん…。

なぞとき

カノンなんて感動しぱなしでしたよ。本当に素晴らしい演劇でした。

小和田アイ

…ありがとう。嬉しいわ。

なぞとき

…。

小和田アイ

…。

なぞとき

……小和田さん。

なぞとき

かおりさんの事故を起こしたのは貴方ですね。

小和田アイ

……

小和田アイ

何をいってるのかしら?

なぞとき

この事件は、

なぞとき

二人の女優の、一つの役の奪い合いだったんです。

小和田アイ

二人…?

なぞとき

順を追って説明しましょう。

なぞとき

まず、貴方に届いた脅迫状。
これを送った犯人は、

なぞとき

川口かおりです。

小和田アイ

……。

なぞとき

動機は単純明快。

なぞとき

貴方に、アバリカ役を辞退させること。

なぞとき

貴方に一から説明することもないですが、川口かおりは今を代表する実力派女優でした。

なぞとき

不倫騒動さえなければアバリカ役は彼女だったとしてもおかしくないのでしたね。

小和田アイ

ええ、そうね。

なぞとき

しかし、その騒動は彼女の想像を超え、彼女にとって大きな くさびとなった。

なぞとき

彼女の舞台出演は激減し、彼女は大いに焦ったことでしょう。

なぞとき

これも貴方が言ったことですが、役者の世界な移り変わりが激しい。
替わりはいくらでもいるのですから。

なぞとき

そんな彼女が起死回生として狙っていたのが、アバリカ役だったのです。

なぞとき

他の役は無理でもアバリカ役ならば、まだイメージ的にも問題ない。

なぞとき

それに難しい役柄を完璧にこなせれば、また彼女の評価は上がり復活できる。。

なぞとき

彼女はそう考えたのでしょう。

なぞとき

しかし、その役さえ、他の者にとられてしまった。

小和田アイ

……。

なぞとき

そこで彼女は考えた。

なぞとき

ならばその抜擢された者を降ろせばいい。

なぞとき

彼女は狂気の犯人を装い、貴方を脅した…。

小和田アイ

…成る程。

なぞとき

小和田さん、私が初めて川口かおりさんを見た日を覚えていますか?

小和田アイ

ええ。

なぞとき

初めて彼女と会ったとき、一つ思ったことがあります。

小和田アイ

なにかしら?

なぞとき

匂いです。

小和田アイ

なぞとき

彼女と会ったとき、彼女からとても強い香水の匂いがしました。

小和田アイ

…。

なぞとき

妙じゃないですか?

なぞとき

彼女はあの日、誰とも会わずただ演劇の練習に来たと言っていました。

なぞとき

それなのにあそこまで香水をなぜ振りかけるのか。

なぞとき

あれは、別の匂いを隠す為だったのです。

小和田アイ

別の匂い…。

なぞとき

汗です。

小和田アイ

…!

なぞとき

あの日、劇場に行く前の出来事です。

なぞとき

カノンが僕たちを追う人影を見つけ、追いかけた。

なぞとき

犯人の用心深さにより逃がしてしまったわけですが、犯人はその時走って逃げたのでしょう。

なぞとき

それと、緊張もかけ合わさり犯人は結構な汗をかいてしまった。

なぞとき

女としての本能なのか、それとも汗をかいたことに気づかれないためなのか、

なぞとき

彼女は香水で汗の匂いをかきけした。

なぞとき

貴方もそれで気付いたんじゃないですか?

なぞとき

川口かおりが自分を脅迫してる犯人だと。

なぞとき

…いや、
もしかしたらそれより以前に疑惑はわいていたのかもしれませんね。

なぞとき

何しろ貴女は役者。演じることのプロなのですから。

なぞとき

……思えば劇場団長もそんな態度をとっていました。全てを知った上でほっといてるような。

なぞとき

彼もプロです。それに貴女方を一番近くで見ている。

なぞとき

川口かおりの様子がおかしいことも、貴方がそれに薄々気づいてることも分かっていたのかもしれません。

なぞとき

その上で、貴女方を信じ、より良い方向に行くよう願い黙っていた。

小和田アイ

…筋は通ってるわね。

なぞとき

一方、貴方と直に話し川口かおりはイライラしたことでしょう。

なぞとき

何しろあなたは中々役を降りようとしなかったのだから。

なぞとき

そこで、彼女はカミソリも同封し、最終通達した。

なぞとき

ここまでが、川口かおりの犯した罪です。

小和田アイ

成る程、てことはそこから先は、私の犯した罪って言いたいのね…?

なぞとき

貴方はカミソリの脅迫状を見て悟った。

なぞとき

彼女は本気だ。このままではまずい!

なぞとき

そこで、これまでの意向を変え、アバリカ役を降りた。

なぞとき

全ては、川口かおりを逆に討ち取るため。

小和田アイ

ふん。

なぞとき

あとは人目を盗み劇場に入り、宙吊りベルトに裂け目を入れた。

なぞとき

貴方なら劇場にもステージにも、すんなりと入れるでしょうからね。

なぞとき

あとは彼女がリハーサルをし宙から落下するのを待つだけ。

なぞとき

また、彼女が入院したタイミングで、自作の脅迫状を作る。

なぞとき

そうすることで、スムーズにアバリカ役に復帰し、同時に邪魔なライバルも減らすことが出来た。

なぞとき

偽の脅迫状については、川口かおりにはわざわざ知らせる必要もない。

なぞとき

劇団長にはそれとなく口止めしとけばいいし、川口かおりもしつこくは事件について問い詰めないと貴方は判断した、

なぞとき

川口かおりは事件を大問題にできない。

なぞとき

何しろ彼女にも後ろめたいことが多くあるのですからね。

小和田アイ

……

なぞとき

川口かおり、小和田アイ。

なぞとき

貴女方二人による水面下の戦い

なぞとき

これが、この事件の真相です。

小和田アイ

ふん、大したものね。

なぞとき

…。

小和田アイ

貴方の言うとおりよ。

小和田アイ

全ては、私とかおりの、アバリカを巡る戦い。

小和田アイ

そして私は勝った。

なぞとき

…。

小和田アイ

それにしても、完璧に演じはずだったのにいつ気付いたの?

なぞとき

違和感を感じたのはあの日…

なぞとき

川口かおりの事故が起きた日でした。

なぞとき

そして、全てが繋がったのは先日、カノンのジャージを見てです。

小和田アイ

…どういうことかしら?

なぞとき

靴です。

小和田アイ

靴……

なぞとき

あの日、貴女ヒールで僕たちの前に現れた。

なぞとき

まだ、アバリカ降板のニュースが流れる前です。

なぞとき

犯人もカミソリを送り興奮してる時のはず。

なぞとき

それなのに貴方はヒールで来た。

なぞとき

音も大きく、いざという時に走りにくいヒールで。

なぞとき

貴方はあの時点で分かっていたんです。

なぞとき

もう自分が狙われる心配がないことを……

小和田アイ

…。

小和田アイ

ヒール…。

小和田アイ

成る程、考えてみれば興味深いわね…。

なぞとき

小和田さん自首してくれますか?

小和田アイ

…。

小和田アイ

嫌だと言ったら?

小和田アイ

どうせ何も証拠はないんでしょ?せっかくアバリカ役を勝ち取った訳だし、このままにしとくのもありじゃない?

なぞとき

これ。

小和田アイ

ん?

なぞとき

すいません、今の会話、全て録音しています。

小和田アイ

…抜かりはないわけね。

小和田アイ

……いいわ。

小和田アイ

自首してあげる。

なぞとき

ありがとうございます。

なぞとき

………

なぞとき

…あの、1つ尋ねていいですか?

小和田アイ

何?

なぞとき

川口かおりが倒れた後、その後の顛末を僕らに詳しく教えてくれたのは何故ですか?

小和田アイ

…。

なぞとき

もう自分を狙う犯人はいない。自分も罪を犯した。

なぞとき

僕らに情報を詳しく与えても自らが危険になるだけだ。

なぞとき

体よく追い返し、遠ざけられたとも思うのですが。

小和田アイ

そうねー。

小和田アイ

私とかおりの戦い。

小和田アイ

その劇の結末まで、貴方達にきちんと見てもらいたかったのかも。

なぞとき

……。

小和田アイ

団長も言ってたでしょ?

小和田アイ

私たちは役者。

小和田アイ

自分の演技を、誰かに見てもらわずにはいられないのよ。

なぞとき

…納得しました。

小和田アイ

さ、いきましょ。

小和田アイ

……その前に私も最後にいい?

なぞとき

何でしょう?

小和田アイ

ヒールの件だけど。

なぞとき

…はい

小和田アイ

貴方の言うとおり、無意識に油断して選んだのもある。

小和田アイ

だけど、それだけじゃない。

小和田アイ

例え、まだ命の危険がある場面だとしてもやっぱりヒールは履いていたわ。

なぞとき

…それは何故です。

小和田アイ

アバリカ・フェリカは、その美貌1つでのしあがった悪女よ。

小和田アイ

彼女はどんな時でも、人前では最高の自分でいる。それが彼女の誇りだから。

なぞとき

…。

小和田アイ

もしアバリカが私の立場だとしたら、ヒールは脱がない。

なぞとき

ええ。

小和田アイ

だったら私が脱ぐわけにはいかないでしょ?

小和田アイ

アバリカ程の美貌も、才能もない。

小和田アイ

私に出来るのは、ただ彼女になりきることだけなのだから……。

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コメント

3

ユーザー

劇団員だからこそのプライドが、彼女たち自身を苦しめていたのですね。。 言葉の中に説得力があって心揺り動かされます(*´꒳`*)

ユーザー

なんかアイの言うことがかっこいい…

ユーザー

(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク(?)

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