テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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サイコメトリーと不思議な骨董屋

第1話 - 不思議な骨董屋

342

2023年12月08日

#司類

#ミステリー

#ホラー

#ファンタジー

#冬彰

あかまる🍓🐾໊

司

帰りたくないなぁ…ﾎﾞｿ

子供

あっ、そこのお兄ちゃん！ボールとってー！

司

む？ああ！いいぞ！

司

ほらっ

子供

ありがとう！

司

ああ！道路には出ないように遊ぶんだぞ！

天馬司

一見してみると普通の男子高校生だ。

だが、俺には１つ普通じゃないところがある。

司

(さっきの男の子、一度車の事故に遭いかけてるんだよな…)

何故分かるか？

それは俺が超能力者だからだ。

まぁ言いたいことは分かる。ありきたりな設定、だろ？

その通りだ。

俺の能力はサイコメトリー

時計や写真など特定の所有物に触れて、そこから所有者に関する情報を読み取ることができる能力だ。

司

(結構役に立つこともあるんだよな。)

司

む、何か落ちて…

司

鍵？

司

鍵は駄目だろ？！えっと、持ち主は…

司

…

頭の中に流れ込んでくる、この鍵の持つ記憶

その時、俺の頭に鮮明にこの鍵が来た道が流れ込んできた。

司

…向こうか

司

鍵は流石に持ち主が困るだろうし、届けた方がいいよな。時間もあるし…

司

それにしても、この鍵の持ち主が全く見えないな…

司

曇ってるような…変な感じだ

司

こっちの方角は確か…隣町か？

司

この辺りのはずだが…随分遠くまで来てしまったな

司

む？ここは…

そこには古びた扉があった

司

ここだな。

司

占いの館か？カフェか？家ではないような…

司

え、これ入っていいのか？

司

けど、鍵はここから来てるし…今更帰るのもな…

司

…

司

お、お邪魔します！

カランカラン

司

わ…すご…

おや、人間のお客さんとは珍しい

司

わぁっ？！？！？！

おや、驚かせてすまない。

司

あ、い、いえ！こちらこそ！勝手に入ってごめんなさい！！

ん？構わないよ。ここは店だからねぇ

司

え…店？

司

(古い物がたくさん…ここって、骨董屋か？)

その通り。ここは骨董屋さ。

司

(心読まれた？！？！)

フフッ、面白い子だね。

それにしても良くここに来れたね。

司

あ…その、鍵を拾って！

鍵？

司

はい！たまたま拾って、届けようと思って…

ふむ…面白い、サイコメトリーか。

司

！！

その中でも君は特別なようだ。そうだ、お茶を出そう。ゆっくりしていってくれ。

司

え？！は、はい！

司

(なんでサイコメトリーだって…というか、特別って何だ？)

緑茶だよ。和菓子もあるけどどう？

司

あ、いえ！お構いなく！

そうかい。じゃ、

君の能力についてだけど、自分でどこまで自覚してるのかな？

司

能力って…サイコメトリーのことですよね？

そうさ。それとも、別の能力でも持ってるのかい？

司

あ、いえ、ないです。

司

えっと…どこまで自覚…そうですね…

司

とりあえず、触れた物の記憶が頭に流れ込んでくるって感じですかね？

…

司

えっと…

ちょっと、これに触ってみてくれる？

司

へ？は、はい。

司

…

流れ込んできたのは、真っ赤に燃える夕焼けだった。

何が見える？

司

夕焼け…ですね。真っ赤に燃える。それとこれは…バイクに乗っているのでしょうか、風も感じます。

ほう…風まで感じることができるのか！

いいねぇ、面白いねぇ

司

あの…

君には資格がある。この店の物を売ってあげよう。

司

え？店の物って…

色んな物があるよ。水晶に椅子、手帳にランプ…

司

寿命

司

…って、売ってたりしますか？

…

司

なんて！流石にないですよね！

売ってるよ

司

え？

見たところ君は健康だけれど…そんなに寿命が必要なのかい？

司

売ってるんですか？！

ああ。

司

(やった…！！これで、咲希も生きられる！)

けど、高いよ。当然だけど

司

い、いくらするんですか？

…君の寿命の半分。

司

！

ま、流石に高すぎるよね。80年生きるなら40年しか生きられないし

司

買います！！

…へぇ

そんなに寿命が欲しいのかい？

司

はい！！お願いします！俺の寿命なんていいので咲希だけは…

ふむ…

からかっただけなんだけど、本気みたいだね。

司

え？！嘘だったんですか？！

寿命を売るというのは本当さ。ただ、対価は嘘だよ。

司

ﾎｯ

司

な、なら対価は…？

そうだねぇ、君なら…

ここの商品の物語を私に教えて欲しいな。

司

え？

生憎、私はサイコメトリーなんて能力持ってない。だから、この商品達がどんな物語を持つのか知らない。

けど、君は知ることができる。それを私に教えてくれるだけでいいんだよ。

司

なるほど…

どうだい？

司

お願いします！

うん。契約成立だね。

じゃ、寿命だけど何年欲しい？

司

えっと…あの、咲希…妹が、いるんですけど、

司

その妹が…何年生きられるかって、分かったりします？

うん、分かるよ。

司

本当ですか？！あの、教えて下さい！

いいけど、対価は払ってもらおうか。

司

な、何を払えばいいんですか？

そうだねぇ、じゃ、この物語を教えてよ。

司

これも物語でいいんですか？

ああ。物語は私にとっては、お金より価値のある物だからね。

ちなみにこの丸鏡は、ある犯罪者が持っていた物さ。

さ、どうする？

司

やります！

フフ、じゃあよろしく。

司

…

少し緊張しながら、俺は小花柄の丸鏡に触れた。

司

明治期、俺は陸軍軍人で、警察官だ。

司

妻もいて、子供も2人いる。どちらも女の子で、とても可愛らしい。

司

来週は、娘の誕生日だ。何か贈り物をしたいのだが…

司

…あ、この丸鏡、娘の好きそうな小花柄だ。

司

最近はおませさんだからな。鏡も欲しいと言っていたっけ。

司

すみません、これ下さい。

司

よし、いい贈り物が手に入った。

司

喜んでくれるだろうか。

司

来週、ロシアの皇太子が日本へ訪れるらしい。

司

俺は、その時の警備の任務に当たっていた。

司

ふと、不吉な噂を耳にした。

司

皇太子の来遊は、日本侵略の準備であるという噂だ。

司

どうせデマだろう。今の日本はロシアと良好な関係を築いている。

司

当日、皇太子の来遊に人々はパレード状態だった。

司

俺は、人々が皇太子の通行の妨げにならないように警備していた。

司

皇太子の列が俺の前を通った。その時に気がついた。

司

皇太子の後ろに恐ろしい魔物が取り憑いている

司

皇太子の噂はデマではなかった

司

この魔物が、皇太子を操って日本を侵略しようとしているんだ！！

司

日本が侵略されたら、この平和な暮らしは元に戻らない。俺は家族を、国を守る！

司

気がつくと俺は、剣を抜き、魔物に斬りかかっていた。

司

俺はすぐに取り押さえられ、皇太子は病院へ運ばれた。

司

皇太子は頭部を斬りつけられ、重傷だったが一命を取り留めた。

司

俺は裁判で無期懲役を言い渡され、牢の中でぼんやりと考えた。

司

ポケットには、あの丸鏡がある。

司

娘のお祝いはもう過ぎてしまった。

司

俺は渡しそびれた丸鏡を見た。

司

愛する家族の顔が浮かぶ

司

そうして俺は、ゆっくり瞳を閉じた。

…全ては、精神の欠落が生み出した幻覚だという事かい？

司

いや、魔物は本当にいた。それが、人々には見えなかっただけだ。

ほう…

司

渡しそびれてしまった…元気だろうか、ご飯は食べているだろうか？俺がいなくても、あいつらは…

おーい、おーい、君〜

司

魔物はいたんだ、皇太子は日本を侵略しようと…！！

なるほど、憑依型だね。

これまた珍しい。サイコメトリーの憑依型か。

しかし、どうすれば正気に戻ってくれるのか…

いっぺん引っ叩いてみようかな

ペシンッ

司

痛ｯ？！？！？！

あ、良かった。戻ってきたみたいだね。

司

え？！今叩きました？！

うん。思いっきりね

司

すごく痛いんですけど！！！

いやぁ、随分と入り込んでいたようだったからね。

司

む…そういえば、さっきまでやけにリアルな体験したような…

君はサイコメトリーの中でも、憑依型と呼ばれるやつだね。

司

憑依型？

そのまんまさ。君はさっきまで、その丸鏡の持ち主になっていたんだ。

司

？？？

憑依型は少し危険だけど、その分リアルな物語を知ることができる。

うん、やはりいい取引だったようだね。

司

取引…あ！咲希の寿命！！

ああ、そうだね。教えてあげよう

君の妹は今、16歳だろう

司

はい

生きられるのは、今のところ20歳までだね。

司

あと4年…！！！

で、何年分の寿命が必要だい？

司

…

司

60年分…！お願いします！！

よし、分かった。

けど、対価はかなり支払ってもらうことになるよ。

司

覚悟はできてます。

うん。じゃあまた明日、ここにおいで。

もう外は暗いからね。気をつけて帰るんだよ。

司

え？！もうそんな時間？！

司

(母さんと父さんに迷惑をかけてしまう…)

うーん、なら、この店の扉と君の家の玄関を繋げてあげようか？

司

え？！そんなどこ○もドアみたいなことできるんですか？！

うん。

司

お願いします！

はーい。対価は別にいらないからね。じゃ、またね。

司

ただいまー…

そういえば俺は一つ、嘘をついた

司

…だよな、

司

今日は帰ってくるって言ってたのに…

両親は俺の帰りが遅くても心配なんてしないから迷惑なんてかからない。

それは愛されてないとかではなく、単純に家にいないのだ。

司

また咲希の病院か…

不満はない。それより、咲希の方が心配だ。

司

咲希…

司

大丈夫だ。お兄ちゃんが、お前をお婆さんになるまで生きれるようにしてやるから…

サイコメトリーと不思議な骨董屋

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あかまる🍓🐾໊

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