しろる。
しろる。
しろる。
しろる。
しろる。
しろる。
赤組side
L
黄鬼
大きな口が耳まで裂け、 鋭くて大きい、奥まで びっしりと生え揃った、 無数の牙が露わになる。
L
死への恐怖 目の前の黄鬼への恐怖 このゲームに対する恐怖
気付けば、息が 出来なくなっていた。
そして、大きな口に 無理矢理近づけられ、 食われそうになっていた時__
ドンッッッ‼︎
黄鬼が地面に倒れる音。 それと同時にずっと俺の 後ろ襟を掴んでいた手が離れ、 少し遠くに投げ出される。 そして、元々黄鬼がいた 場所の近くに倒れている ないくん。恐らく、 体当たりしたのだろう。
N
立ち上がったないくんが 黄鬼の背中に跨り、 硬く太い黄鬼の腕を掴み、 全体重をかけ、叫び ながら、ありったけの 力で黄鬼の右腕を折った。
黄鬼
痛みを感じないのか、 声もあげない黄鬼。 驚きも、悔しさも、 怒りもない、ただ 純粋に不思議がって いるような目で、おかしな 方向に曲がった自分の 右腕を見つめている。
L
(ぱぴゅうじゃねぇぞ。)
L
息を整え、煩いくらいに 速い鼓動を落ち着かせ、 喋り出す。
L
L
N
九死に一生を得て、 ないくんに謝る俺。
ないくんに慰められ、 微笑んでもらうと、 何故だかとても、 安心する。
ないくんの声には、 言葉には、笑顔には
やっぱり、人を救う 力があるのかな
ないくんが隣にいてくれる だけで、とても安心する。
ないくんの存在は、 言わば俺にとっての 精神安定剤だ。
そうして、二人揃って 安堵していると…
黄鬼
黄鬼が、音を立てずに 立ち上がり、ないくんを 襲おうとしているのか、 ないくんの後ろで、 手を大きく広げている。
L
N
目をしばたたかせ、 キョトンした表情で こちらを見つめるないくん。
L
黄鬼
N
ブチッッッ
長い爪でないくんの 背中を切り裂く黄鬼。 嫌な音がして、俺の身体に 生暖かい何かがかかり、 思わず背けていた顔を 上げる。ないくんの 細い身体を貫通した 腕が掴んでいたのは……
L
L
N
L
何が起きたか 分からない、という ような顔で鬼の腕が貫通 している自らの心臓辺り を見て、血を吐くないくん。 貫通した腕の辺りからは 血が噴水のように 吹き出し、段々と水溜りを 作っていく。 俺の身体にかかった その液体が、ないくんの 血だと分かり、思わず 小さく嗚咽を漏らす。
L
青鬼
やっと追いついたらしい 青鬼は、肩で息をしながら 黄鬼とないくんを、不思議 そうな目で見ている。
黄鬼
黄鬼が、少ししゃがんで ないくんの左脚を掴む。
黄鬼
N
声にならない叫びをあげ、 痛みに顔を歪めるないくん。 恐る恐る下に目線を落とせば、 左脚が明らかにおかしな 方向を向いている。
黄鬼
左脚から手を離し、 今度は右脚に左手を 伸ばして掴むと
黄鬼
同じように折る 黄鬼。
N
喉が潰れそうなほど 叫ぶないくん。
青鬼
すると、それを見ていた 青鬼が目を輝かせ、 不気味に舌なめずりをする。
青鬼
そして、ないくんの 細くて長い指に 手を伸ばすと
青鬼
N
ゆっくりと、指一本一本を 折っていく青鬼。 あまりの苦痛に、もう ないくんは喋ることすら できなさそうだ。 だが俺も、恐怖で足は すくみ、体は小刻みに震え、 声を上げることすらできない。
青鬼
一本、また一本と 指を折り続け、ついに 両手の指を、全て 折ってしまうと
その細い両腕を 強引に掴み
青鬼
N
両腕を引き千切る青鬼。 そこからも、血が吹き出し、 また俺にもかかる。
黄鬼
N
黄鬼
ないくんの、澄んだ桃色の 瞳に指を突っ込み、 無理矢理目をくり抜く黄鬼。
L
黄鬼
そして、暫くないくんの 眼球を見つめた後、 口に入れる黄鬼。
青鬼
青鬼
黄鬼を見て目を輝かせ、 真似をするように、 細長いその指を もう片方の目に突っ込む 青鬼。
N
もう、叫び声すら 上げないないくん。
青鬼
黄鬼
眼球をまるで飴玉か 何かのように口に入れ、 鼻歌を歌いながら転がす 黄鬼と青鬼。
黄鬼と青鬼は、全身に ないくんの血を浴びて、 赤鬼のようになり、 さらにこの長い廊下の、 不気味に点滅する蛍光灯に 照らされて、更に 恐ろしく見えた。
L
N
震える声で、目の前の 愛しい人の名前を小さく呼び、 血の気を失ったその頬に 手を伸ばす。
すっかり冷たくなって しまったないくん。 あまりの苦痛に、 瞼を閉じ、顔を歪め、 そのまま死んでしまった
L
ギリッ、と青鬼と黄鬼を 睨みつけ、小さく痙攣する 脚を拳で殴りつけて、 無理矢理立ち上がる。
L
L
L
L
金属の廊下に落ちる、 一滴の涙の雫。
そして俺は、ゆっくりと 駆け出した。
ないくんにもらった、 最後のプレゼントの ネックレスを握りしめて。
ないこ 脱落 残り 40人__ (りうちゃん達が逃げている 間にも脱落者多数の為)
白side
S
出来る限り、音を 立てないように、 部屋を散策する。
S
忍者屋敷でよく見るような 仕掛けとかないかなぁ、 とか思いながら掛け軸を めくると、仕掛けこそ 見つからないものの、 掛け軸の裏にびっしりと、 赤い字で「ごめんなさい」 と書かれていた。 思わず息を呑む。
S
ロウソクが揺れる仏壇に 目をやると、そこには 誰かの遺影が飾ってあった。
黒髪に八重歯で、 幼くて、どこか 李音や悠くんを 思わせる、だけど どこか苦しそうで、 悲しそうで、痩せ 細っていて、だけど この世の幸せを噛み 締めているかのような笑顔。
暗闇に慣れてきたので、 改めて周りを見渡すと、 畳や壁、襖や障子、 天井まで、乾いた血 らしき赤黒い液体が 飛び散っていた。
S
腰が抜けてしまい、 へたっ、とその場に 座り込んでしまう。
S
この"ゲーム"に関係が あるかは分からないが 一つ、思い出した。
悠くんには、弟が "2人"いたはず。
1人は恐らく李音だ。
…なら、もう1人は?
確か、「双子だ」と 言っていたはず。
李音と同い年……
そんな子、一度も 見かけていない。
もしかして。 そう、一つの考えが 頭をよぎる。
さっきの仏壇の遺影が もし、李音や悠くんの 弟ならば。
その弟は、死んで しまったのだろう。
あくまでも、これは 僕自身の考えに過ぎない。
そして、引っかかって いることがある。
僕たちが飛ばされる前、 気を失う直前に
李音が、「"いむくん"、 頼んだで…ッ」と 小さく呟いていたこと。
そして、そのもう少し前
いむくんがただ1人、 口角を上げて、何故か 笑っていたこと。
このゲームには、 もしかすると内通者が いるのかも知れない。
そして、それがいむくん なのかも知れない。
だとすれば、辻褄が合う。
いむくんがあの時、 僕らをこの館に誘ったのも。
この館に行く前、そして 着いた時、止めようと していた悠くんの"演技"と 無理矢理全員を連れて 行こうとするいむくん。
思えば、館に行くまでの 道のりにも、やけに自信が あるようで、マップなんて 全く開いていなかった。
ずっと、少し口角が 上がっていたのも。
このゲームに、僕らを 呼ぶためだとしたら。
李音の、いむくんに 何かを賭けているか のようだった、 あの口ぶりも。
全部、全部。
そう考えた途端、 急にいむくんとの 今までの思い出が、 今までのいむくんの 表情や、言葉が。 フラッシュバックする。
信じてたのに… 信じてたのに…
急に、いむくんが鬼よりも 恐ろしく思えてきて。
??
S
頭上から降ってくる、 聞き慣れた声。
思わず跳ね上がる肩。
恐る恐る顔を上げると、 そこに立っていたのは
H
S
全身血まみれで笑っている いむくんだった。
しろる。
しろる。
S
しろる。
しろる。
しろる。
しろる。
しろる。
しろる。
コメント
1件
最高です! 続き楽しみにしてます! ブックマーク?失礼します!