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――なんで、こんな顔するんだよ。
ベッドの中で、佐久間が泣きながら笑っている。
首には黒い首輪、喉にはキスマーク、手には金属の冷たい手錠の跡。
痣だらけの身体を晒しながら、それでも「嬉しい」と笑う。
……気持ち悪い。 でも、それ以上に――
渡辺翔太💙
俺が言うと、佐久間はますます泣き顔になる。
泣いて、笑って、俺を見て、俺だけを求めて、俺だけに壊されることを願ってくる。
歪んでる。どうかしてる。
でも――
どうかしてるのは、たぶん、俺のほうだ。
...............
昔、俺は“与える側”だった。
女でも男でも、相手の望む通りにしてやるのが癖だった。
顔も、金も、愛想も、そこそこある。
だから、求められることに慣れすぎてて、愛されても、信じられなかった。
“お前のことが好き”――そんな言葉なんて、何百回も聞いてきた。
でも、俺が本当に「何か」を向けた途端、みんな逃げていった。
俺が、どこか壊れてるってことに、気づいてたんだ。
だから、愛されるより、支配するほうが楽だった。
心なんていらない。身体だけ、従わせる方が、ずっと簡単だった。
..............
だけど――佐久間だけは、違った。
首輪をつけられて、泣かされて、何度も乱暴に抱かれて、
それでも俺を見て、「嬉しい」「もっとして」「翔太くんに壊されたい」って言う。
怖くなった。 嬉しくなった。 だから、壊したくなった。
渡辺翔太💙
って訊いたとき、 佐久間は涙ぐんで、頷いた。
――その瞬間、俺はもう、逃げられなくなってた。
..................
布団の中で、まだ震えてる佐久間の身体を、そっと背中から抱きしめた。
喉に、深くつけた痕のひとつに唇を当てる。
渡辺翔太💙
心の中で呟いてみる。 言葉に出すのは、まだ怖いから。
もしもこれが愛じゃなかったら。 もしも、ただの執着だったら。 佐久間を、俺の手で、本当に壊してしまいそうで。
でも――
佐久間大介🩷
振り返った佐久間が、涙まじりに微笑んだ。
佐久間大介🩷
その言葉に、なにかが音を立てて崩れた。
――ああ、もう無理だ。 こいつが他の誰かを見るのも、笑うのも、許せない。
俺のものじゃなきゃ、生きてる価値なんてない。
お前がいなきゃ、俺も壊れる。
その夜、佐久間の身体に、翔太はまたひとつ、深い痕を刻んだ。
誰にも奪わせないために。 自分自身に言い聞かせるように。
こはる
こはる