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10年越しの告白

第13話 - それでも、まだ

40,337

2019年02月10日

#青春恋愛

#短編集

テラーノベル

優愛

もうすぐ卒業とか、なんか信じられないよね

夏美

だねー

夏美

最近3年になったばっかりだと思ってたのに

優愛

それ～

優愛

大変だったけど、受験もあっという間に終わっちゃったし

夏美

いや、受験中はすごい長く感じたけどね

優愛

まあね

夏美

んでもさ

夏美

あんたほんっとに、2年からあっという間に成績上位入りしたよねー

夏美

英語だけだけど

優愛

英語だけでもスゴイでしょ！？

夏美

あはは

夏美

いやまあスゴイよ、うん

夏美

外語学部選ぶとか、1年の頃までのあんたから考えると、いまだに信じらんないもん

夏美

よく英語なんてがんばったよねぇ

優愛

…………

優愛

まあ、ね

優愛

ほら

優愛

直人先生がいたから、さ

夏美

直人先生…って、浅井先生のことか

夏美

あー、うん。なるほどね

優愛

夏美だから…言っちゃうけど、さ…

優愛

私、実は、直人先生のこと…

優愛

好き、なんだ…

優愛

できる限り会いたくて…

優愛

なるべく話す時間がほしくて…

優愛

だから、英語がんばったんだよね…

優愛

きゃー言っちゃった～！

夏美

だろうと思った

優愛

…え？

夏美

バレバレ

優愛

うそ？

夏美

ほんと

夏美

っていうかそもそもあんた、3年にあがった時なんか

夏美

浅井先生が担任だってだけであんだけ大騒ぎしといて

夏美

今さらなにを…

優愛

うそでしょ！？

優愛

そんなバレバレだったの私！？

夏美

…うん

優愛

ヤバイどうしよう！

優愛

隠せてるつもりだったのに！？

夏美

マジかよビビるわ

優愛

直人先生にもバレてたりしないかな！？

優愛

バレてたらどうしよう！？

夏美

いいから落ち着け

優愛

ムリ！

優愛

落ち着けない！

夏美

っていうか別にさ、先生にバレて困ることなんてないでしょ？

優愛

困る！

優愛

だって…そんなもう2年で初めて英語受け持ってもらってからさ

優愛

ず～～～っと好きだったとか…

優愛

そんな気持ち悪いなって思われたらイヤじゃん？

夏美

思われないよ

優愛

距離おかれたりさ？

優愛

嫌われたりとかさ？

優愛

そんなん私耐えきれないよ？

優愛

死んじゃうよ？

夏美

死なないよ

優愛

今の関係が壊れちゃうくらいなら、バレたくない！

優愛

今のままがいいって！

夏美

あんたねぇ…

夏美

ああもう！もどかしい！

優愛

えっ！？

夏美

好きなんでしょ！？

優愛

は、はい…

夏美

誰かに取られてもいいわけ！？

優愛

それは…とてもイヤ…

夏美

だったら、告白くらいしなさいよ！

優愛

えぇ…？

夏美

えぇ？じゃないの！

夏美

他の先生とか、学校の外の友達とか

夏美

先生には大人の女の知り合いがきっといるんだよ？

夏美

いつまでもあんたがウジウジしてると

夏美

そいつらがアプローチして、先生そいつらとくっついちゃうかもなんだよ！？

優愛

うぅ…

夏美

イヤなら、せめてちゃんと告白くらいしときな？

夏美

大学行ってから後悔するよ

優愛

…うん

浅井直人

よし、じゃあホームルーム終わるぞ

浅井直人

受験終わった連中はさっさと帰るように

浅井直人

羽目はずして問題起こしたら、受験がパーになるからな

浅井直人

っと、学級委員

浅井直人

小林

優愛

はい！

浅井直人

これ、運ぶの手伝ってくれ

優愛

わかりました！

夏美

…………

夏美

優愛

ん？

夏美

わかってるわね？

優愛

…………

優愛

はい

夏美

よろしい

夏美

行ってこい

優愛

…はい

浅井直人

ほら、行くぞ

優愛

は～い

夏美

ほら、返事の時の声のトーンが全然違うんだって

夏美

あたしらとしゃべってる時と

夏美

そりゃバレるって…

優愛

ここでいいですか？

浅井直人

ああ、うん

浅井直人

ありがとう、助かったよ

優愛

いえ、これくらいなんでもないです！

浅井直人

小林にこうして手伝ってもらうのも、もうあとちょっとだな

優愛

…そうですね

浅井直人

今までの学級委員の中で、一番手伝いがんばってくれたよ

優愛

本当ですか！？

浅井直人

うん

浅井直人

本当に助かった。ありがとう

優愛

あ、あのっ！

浅井直人

ん？

優愛

先生…

優愛

チャ、チャットのID、交換していただけませんか？

優愛

（…って違うでしょ私！）

浅井直人

…あまり俺からは連絡できないと思うけど

優愛

い、いいんです！記念というか…

浅井直人

…じゃあ

優愛

（せ、先生とチャット交換しちゃった…！）

優愛

ありがとうございます！

浅井直人

最後くらい、なにかお礼したかったからな

浅井直人

これが礼になるか分からないけど

優愛

そんな…

優愛

（そんな寂しくなること言われると…私…）

優愛

私…

浅井直人

ん？

優愛

…………

優愛

私！

優愛

2年の時に出会ってから…

優愛

直人先生のこと、ずっと好きでした

優愛

だからその…

優愛

私とつきあってください！

浅井直人

えっ…？

優愛

（…あ）

優愛

（先生、困った笑い、してる…）

浅井直人

ありがとう

優愛

…………

浅井直人

気持ちは、とてもうれしいよ

浅井直人

でも

浅井直人

僕は教師だ

浅井直人

生徒とそうなるわけにはいかないんだよ

浅井直人

わかってほしい

優愛

あ…

断られた…

なんとなく

想像してたけど

やっぱり

断れちゃった…

優愛

どうやって帰ってきたのか

優愛

覚えてない

夏美

そっか

優愛

もうどうしたらいいか

優愛

わかんない

夏美

うん

優愛

かなしいよ

優愛

涙とまんないの

夏美

うんうん

夏美

悲しいね

夏美

うんと泣きな

夏美

悲しい時はいっぱい泣かなきゃ

夏美

ね

優愛

うん

優愛

がめん

優愛

よくみえないや

夏美

いいよ

夏美

むりに返事打たなくて

夏美

泣き終わったら

夏美

またたくさんいろいろお話しような

優愛

うん

優愛

しよう

優愛

夏美

うん？

優愛

ありがと

夏美

おう！

夏美

友達だからな！

あれから、何ヶ月経ったかな

夏美と卒業式を迎えて

私たちは別々の大学に通い始めた

夏美とは今もよく遊ぶ

時々、高校の頃の話になると

やっぱり、なんとなく話題にあがることがある

直人先生のこと

もう涙は出ない

出ないけど…

優愛

バイト終わった～

夏美

おつかれ～

夏美

で

夏美

結局どうなの？

夏美

そのバイト先の店長って

優愛

んー

優愛

やっぱだめ

夏美

そっかー

夏美

優愛の御眼鏡に適わなかったかー

優愛

めがね？

夏美

おい

夏美

勉強しろ

夏美

辞書引け

夏美

好きになれなかったかーって事

優愛

いや、店長いい人だよ

優愛

でもさ

優愛

直人先生レベルで好きになれそうな人

優愛

やっぱいないや

夏美

そっか

夏美

ま

夏美

今度またお茶でもしながら聞くよ

優愛

ありがと

夏美

もう家？

優愛

まだ帰り道

夏美

夜道歩きながらチャットしてると危ないぞ

優愛

はーい

夏美

んじゃ

夏美

おやす～

優愛

おやすみ～

優愛

はぁ…

優愛

（好きな人、かぁ…）

キッ

優愛

（ん？なんか車が横に停ま…）

優愛

（あれ、この車…直人先生のと同じ…）

浅井直人

こんな時間に、女の子の一人歩きは感心しないな

優愛

…えっ！？

浅井直人

久しぶり

優愛

直人…先生っ！？

浅井直人

送るよ。乗りな

優愛

（うぅ…助手席なんてうれしいけど…）

優愛

（告白して振られた過去があると…気まずいよね…）

浅井直人

家、こっちで合ってる？

優愛

…あ、はいっ！

浅井直人

…………

優愛

…………

浅井直人

…大人の…年上の男なんて、教師しかいなかった高校時代に比べて

浅井直人

大学に入って、たくさん大人と出会ったろ？

優愛

え？

優愛

は、はい。そうですね

浅井直人

それで、どう？

浅井直人

それでもまだ

浅井直人

…………

浅井直人

その中で、俺がまだ輝いてる？

優愛

ぁ

優愛

…………

優愛

はい

優愛

やっぱり、先生が一番

優愛

まだ好きです

優愛

困っちゃうなぁ

優愛

（私、今…どんな顔で笑ってるんだろ…？）

浅井直人

…そうか

優愛

（あ、うちの前に…着いた…）

優愛

あ、あの

優愛

えっと

優愛

ありがとうございました！

優愛

わざわざ送ってもらっちゃって！

優愛

そ、それじゃ、私これで…

浅井直人

待って

優愛

えっ！？

浅井直人

ごめん、急に腕つかんで

浅井直人

痛くなかった？

優愛

は、はい…大丈夫です…

浅井直人

…………

浅井直人

あの時は、さ

浅井直人

先生と生徒、っていう、立場もあった

浅井直人

それに…

浅井直人

もしかしたら、君の一時の気の迷いじゃないかって

浅井直人

心配だったんだ

浅井直人

俺自身も

浅井直人

もしかしたらそうなのかもしれないって

浅井直人

そう思ってた

優愛

…………

優愛

え？

浅井直人

でも、そうじゃなかった

浅井直人

君もまだ、俺のことを好きだって思ってくれてるなら…

優愛

（え、なに？引き寄せられて…）

チュッ

優愛

っ！？

浅井直人

これが、答え

優愛

直人…先生…？

浅井直人

もう遅い

浅井直人

おやすみ

先生はそう言って、車で走り去っていった

そこでしばらくポカーンとしていると、スマホがなった

呆然としたまま、届いたメッセージを開く

浅井直人

俺もあの頃から君のことが

浅井直人

ずっと好きだったよ

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