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君へ
もし、これを読んだのなら
みんなに伝えて欲しい。
その動画を見つけても
絶対に再生ボタンを押してはいけない、と。
First Day
田中が僕を誘ったのは
ちょうど中間テストが終わった金曜日だった。
夏休み間近の浮き足だった教室で
田中だけが一人
冷たい目をして僕を呼び止めた。
田中
田中
結城
僕は短く答えてカバンを持った。
対人能力の低い僕は
いわゆる、クラスカーストの最底辺だ。
田中は僕とは違う。
カーストの上位に君臨する田中としゃべるのは
僕にとって苦痛だった。
田中
田中が僕の肩をつかんで
耳元でささやいた。
田中
田中
田中
田中
田中がおどけたジェスチャーで強調した。
見せられたスマートフォンには
画質の悪い映像が流れていた。
モニターの動画を直接カメラで撮ったのだろう。
時折、画像が乱れるのは手ぶれのせいだ。
結城
田中
田中はバカにしたように鼻で笑った。
田中
田中
結城
結城
田中
説明されたところで、俺には分かんねえし
田中が投げ捨てるようにそう言った。
田中
田中
Day2
動画に映っているのは猫だ。
たぶん、野良猫だろう。
どこかの薄暗い路地裏で
誰かが猫に餌付けをしている記録映像のようだった。
画面は終始、薄暗く
画質も荒い。
最初は警戒していた猫が、少しずつ餌に近づいてくるという
ただそれだけの動画だ。
田中
田中
田中
田中
結城
結城
結城
僕は、シークバーを意味もなくスライドさせた。
動画の途中に、妙な継ぎ目があるのは
撮影日が違うせいだ。
田中が言うように
もとの動画は一定の再生数に達した時点で
更新されるのだろう。
モニターの映像を撮っているカメラは
更新された動画をつなげているようだった。
結城
結城
田中
田中
結城
結城
結城
結城
結城
結城
田中
田中
田中
田中
結城
田中
結城
結城
Day3
田中は無言のままシークバーをスライドさせた。
野良猫に餌をやっている映像は変わらない。
ただ
変わったのは餌だ。
投稿主は餌の皿の中に、赤い色をした液体を混ぜていた。
田中
結城
田中
田中
田中
田中
動画は
不凍液が混ぜられた餌を、猫が食べようとしたところで終わっていた。
Day4
田中
田中は慣れた手つきで別のファイルを開いた。
結城
結城
田中
田中は興味を失ったように答えた。
結城
結城
田中
田中
結城
田中
田中
田中
結城
田中
そのくらい分かるだろ
と、田中は嫌そうに付け加えた。
僕は黙ってスマホの画面に視線を向けた。
それもやはり、猫の動画だ。
さっきとは違う色の猫が映っている。
田中は僕が画面を見たことを確認し
シークバーをスライドさせた。
あからさまに設置された罠が映し出される。
田中
田中は特別なことのように言った。
結城
結城
結城
田中
結城
田中
田中
田中
田中
結城
田中
結城
田中
田中
田中
Day5
結城
結城
結城
田中は僕に答えることなく、また別のファイルを開いた。
田中
田中
結城
田中
田中
田中
田中
田中
田中
田中
田中
田中
田中
田中
田中
田中
田中
田中
田中が開いたそのファイルには
様々な場面にいる僕の背中が記録されていた。
only God knows the future
【拡散希望】って都市伝説があるの、知ってる?
一定の再生数になると更新される動画なんだけど
透明人間が人間になると、死んじゃうんだって。
透明人間として、誰からも気付かれることなく生き続けるのか
大勢の他人に見られながら、人間として死ぬのか
もし
そんな動画が回ってきたら
了