" 来年の夏も、君と一緒に… "
◇
◇
井口 光
井口 光
南方 葵
高校二年生の夏.
幼なじみの井口 光(こう)に
夏祭りに誘われた.
南方 葵、どこにでもいる
平凡な女子高生.
光とは幼稚園の頃から
高校までずっと一緒.
いわゆる" 腐れ縁 " ってやつ.
近所の夏祭りは、毎年
夏休みの時期に1日限りで
開催されている.
田舎の割には花火が豪華で
毎年親友の真理と一緒に
行くのを楽しみにしていた.
だけど真理は、今年は
彼氏と一緒に行くらしい.
最近できた他校のイケメン彼氏.
付き合うことになったの、と
1番に報告してくれたのが
嬉しかったっけ.
以前と比べて真理と過ごす
時間が減ってしまった事は
正直悲しい.
だけど、真理の
幸せそうな顔を見ていると
微笑ましくなる.
それと同時に、何だか
羨ましくもなる.
彼氏居ない歴=年齢の
私にとっては、好きとか
恋愛とかよく分からない.
一緒に夏祭りに行く人が
いなくなってしまった私は
光の誘いをOKした.
◇
夏祭り当日.
昨日から夏休みに入り
暇な生活を送っていた
私にとって、早速
楽しみなイベントだ.
この日のために買った
お気に入りの水色の
浴衣を着て、髪をセットした.
お母さん
南方 葵
お母さん
部屋に入ってきたお母さんが
ニヤニヤしながら
からかうもんだから
私はそそくさと家を出た.
光とは、18時に近所の公園で
待ち合わせを
することになっている.
待ち合わせの15分前に
到着した私.
光は、まだ来ていない.
はりきり過ぎちゃったかな?
なんて、少し
恥ずかしくなった.
よくよく考えると男子と
2人きりで出掛けるのは
今日が初めてだ.
何だか妙に照れくさい.
相手は光なのにね.
急にそわそわして
スマホの画面を鏡代わりに
前髪を整えた.
そんなことをしているうちに
いつの間にか腕時計の針は
18時を差していた.
18時. 約束の時間になっても
光は現れなかった.
18時10分、18時20分……。
時間だけが刻々と
過ぎていった.
さっきまでのわくわくした
気持ちが、少しずつ
しぼんでいくのが分かった.
女子
女子
明るい話し声.
クラスメイトの女子達が
楽しそうに笑い合っている.
浴衣姿の彼女達は
普段の何倍も綺麗に見える.
だんだんと人が集まってきた.
大勢の人で賑わい
騒がしさが増していった.
小さな子供を連れた
家族もいれば、友達同士で
来ている人もいるし
カップルで来ている人もいる.
スマホを片手に
突っ立ったまま光がくるのを
待っているわたし.
そんな私とは対照的に
浴衣姿の女の子達は
キラキラと輝いている.
ふと目にしたガラス越しに
映る自分の姿が
虚しく思えた.
◇
18時30分を迎えた頃.
後ろから、肩を
ポンと軽く叩かれた.
南方 葵
♡きたら続き出します!! 読んでくれて✐☡ ありがとです!! ぜひ他のも 見てみてください!!☃
コメント
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続きみたいです!!