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部屋の照明は落とされ、テレビの光だけがフタリの輪郭を照らしていた
ホラー映画の予告が始まった瞬間から、フランスはすでにクッションを抱きしめている
一方でイギリスは平然と座り、ストローを静かにくわえていた
フランスはホラーが苦手で、イギリスは得意であった
それが影響しているのか、フタリの距離がいつもより近くなっていた
映画が始まってしばらくした頃、 廃墟の廊下に響く足音とともに、画面が突然「バンッ!」と跳ねた
その瞬間、フランスの身体がびくっと震え、反射的にイギリスの腕を掴む
イギリスは驚きつつも、すぐにその手を包むように握り返した
彼は視線を画面から逸らさず、小さく囁く
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その落ち着いた声に、フランスは少しだけ肩の力を抜く
だが次のシーンで、影のようなものが画面いっぱいに現れた
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フランスは飛び上がり、ついにイギリスの肩へ顔を埋めた
イギリスは一瞬固まるが、 その震える背中にそっと手を添え ゆっくりと撫でる
画面の悲鳴、窓の揺れる音。 部屋の空気は冷たいのに、お互いの体温だけがやけに温かかった
次にフランスが顔を上げたのは、 一瞬だけ暗転した画面の光に照らされた時だった
近い。 息が触れるほど近い。
フランスの目が怯えて潤むのを見て、 イギリスの心のどこかがわずかにきしんだ
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軽口を叩いている次の瞬間、 映画の中で何かが突然飛び出し、 フタリは同時に動いた
ソファの上で身体がぶつかり、 そのまま不意打ちのように唇が触れあう
ほんの短い、一瞬の事故
離れたあと、フタリとも固まった。 映画の音だけが部屋に響く
フランスは真っ赤になりながら口をぱくぱくさせ、イギリスはフランス以上に顔が赤いのになんとか平静を装おうとしている
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イギリスは静かに息を整え、 すっかり怖さが引いてしまったフランスにそっと毛布をかけた
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その声だけが、妙に甘く響いた
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映画が終わる頃には、 フランスは肩にもたれかかり、 イギリスはその頭をそっと支えていた
もうすぐ映画は終わるのに、離れ難い
そんな甘い夜だった