賭ケグルイ 藍

〜木之下 side〜

わたくしのチップは、計100枚

一ノ瀬君のチップは……ゼロ

つまり、わたくしの完全勝利

これで相手の借金は、500万円になる

残念だけれど、一ノ瀬君……

そこから先は、泥沼よ……？

何枚でも同じことよ、 迷っていても無駄──

500枚……つまり、5000万……？

思わず動揺して、声が震える

すると、徐に自分のカバンを 漁り出した一ノ瀬君

中から取り出したのは…… って……！？

鞄から取り出したのは、通帳

笑いかけられながら、 一ノ瀬君がその中身を見せてきた

預金残高が…… 一、十、百、千、万……

……十万、百万……千万…………

な、何なの……何なのよ、こいつ！？

焦りが頂点に達して、 声を荒げてしまう

突然、重圧感のある低い声で そう言われた

その瞬間、ゾクリと全身に鳥肌が立つ

また元の声色に戻って、 そう話し出した一ノ瀬君

ニヤリと妖しい笑みを浮かべた 一ノ瀬君にゾッとして、 また鳥肌が立った

逃げるように、ガタリと 音を立てて席を立つ

それから続けて、こう言われた

煽るような口調と、嗤った表情

先程の自分の姿が、脳裏に蘇る

今まで、根暗な 勉強馬鹿だったくせに……！

わたくしを……生徒会を、 舐めないで！！

爪が食い込むほど拳を握って、 かろうじて怒りを抑える

……でも、大丈夫。 どうせわたくしが勝つ

クラスの30人中21人が、 わたくしの有利になるよう 投票するのよ？

それぞれ理由は様々だけど、 その21人はわたくしに協力して、 わたくしの思うように投票する

今回はグーを11枚、パーを10枚、 均等になるよう入れてもらう

そうすれば箱の中は、

グー：14枚 チョキ：3枚 パー：13枚

確率的に、大体このようになるはず

つまり、箱にはチョキが ほとんど入っていない

仮に一ノ瀬君が引いたとしても、 それを出す確率はさらに低いから、 わたくしはパーを出しておけば、 まず負けることはない

投票箱から、札を3枚取り出す

……グーに、パーが2枚

心の中で、ニヤリと笑った

また、黙り込でしまった一ノ瀬君

今度は何よ……？

どうせあなたは、わたくしに勝てない

そう思っていると、不意に一ノ瀬君が にこりと笑って……こう一言

気づかないと……気づいた？ 一体何に？

まさか…… イカサマに、気づかれた……？

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