一夜が明け
それでもあすみさんが戻らないことに
かすみさんは苛立ちを募らせていた
井川かすみ
ピリピリとした空気の中
怒りの矛先が突如、静(じん)さんに向けられる
井川かすみ
かすみさんは静さんに激しく詰め寄り
静さんは慌てて抵抗するも壁に背中を強打
井川静(じん)
井川かすみ
井川静(じん)
井川かすみ
完全にあすみさんを拒絶するようなかすみさんの言葉に
絶望を感じながら家を出ると
静さんは足早に学校へと向かう
いつもより早く家を出ていたため
学校にはまだあまり生徒はいなかった
購買部の前を通りかかるも
食欲は減退し何も食べる気にはなれず
逆に酷い吐き気を催し
慌ててトイレに駆け込んだ
昨夜からほとんど食べていない空っぽの胃の中から
酸性の強い液体が逆流し容赦なく喉を襲う
ヒリヒリとした痛みは鼻腔内も刺激し
苦しい逆流はしばらく続いた
ひとしきり吐いて落ち着くと
もしかしたらあすみさんが来るかもしれない
そんな思いから静さんは昇降口へと向かった
下駄箱を確認するも登校した形跡はなく
しばらく待ってみたがあすみさんは現れなかった
予鈴のチャイムが鳴り
静さんは仕方なく教室へと向かう
ホームルームが終わり授業が始まってからも
静さんはあすみさんのことが気になって集中できなかった
いつもはきっちりと取るノートも真っ白のまま
ただ呆然と黒板を見つめるだけ
教師の言葉もぼんやりとしか聞こえなかった
全身血だらけのあすみさんの姿が頭に浮かび
再び吐き気を催した静さんは手を挙げ
井川静(じん)
慌ててトイレに駆け込んだ
朝の時点で空っぽになった胃から出てくるのは
わずかな量の酸性の強い液体のみ
次第にキリキリと胃が痛み
静さんは教室に戻ると鞄をつかみ
井川静(じん)
おぼつかない足取りで教室の外へ
教室内がわずかにざわついたが
静さんが教室を出て少しすると
元の静けさに戻っていった
昇降口に向かう階段の途中で
静さんはその場にしゃがんだまま動けなくなった
酷いめまいで立ち上がることができない
井川静(じん)
井川静(じん)
井川静(じん)
徐々に意識が薄れていき
静さんはそのまま気を失った
井川静(じん)
井川静(じん)
気がつくとそこは病院だった
教師A
普段あまり接点のない若い教師が座っていて
この教師が救急車を呼び同乗したようだった
井川静(じん)
そんな言葉が頭をよぎる
井川静(じん)
教師A
井川静(じん)
教師A
静さんはその言葉で全てを悟った
この教師はもう痣のことを知っている
もしかすみさんにやられたことがバレたら
そう思うと怖くてたまらなかった
井川静(じん)
教師A
井川静(じん)
疑いの目がかすみさんに向かないように
静さんは咄嗟に嘘をついた
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