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ドストエフスキーの家にある礼拝室へおとずれた。

そこで敦は白いタキシードを着て、白いベールを被る。

今度こそは互いの瞳の色をした指輪を用意して。

ニコライ・ゴーゴリ

それじゃあ、誓いの言葉ー!

ニコライ・ゴーゴリ

新郎フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー

ニコライ・ゴーゴリ

あなたはナカジマ・アツシを妻とし

ニコライ・ゴーゴリ

健やかなる時も、病める時も、

ニコライ・ゴーゴリ

喜びの時も、悲しみの時も、

ニコライ・ゴーゴリ

富める時も、貧しい時も、

ニコライ・ゴーゴリ

これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、

ニコライ・ゴーゴリ

その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

フョードル・ドストエフスキー

ええ、誓います

ニコライ・ゴーゴリ

新婦ナカジマ・アツシ

ニコライ・ゴーゴリ

あなたはフョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキーを夫とし

ニコライ・ゴーゴリ

健やかなる時も、病める時も、

ニコライ・ゴーゴリ

喜びの時も、悲しみの時も、

ニコライ・ゴーゴリ

富める時も、貧しい時も、

ニコライ・ゴーゴリ

これを愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、

ニコライ・ゴーゴリ

その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

中島敦

はい、誓います

ニコライ・ゴーゴリ

それでは……

ニコライ・ゴーゴリ

……

ニコライ・ゴーゴリ

……次、なんて言うか忘れてしまったー!

シグマ

この大莫迦者!

シグマの怒鳴り声が参列席の方から聞こえる。

やってしまったと頭をかくゴーゴリに、

ドストエフスキーは呆れた様子で見つめる。

ニコライ・ゴーゴリ

えーごめん、フョードルくーん

ニコライ・ゴーゴリ

えーっと、ちょっと待ってねー

ニコライ・ゴーゴリ

あ、あった!

ニコライ・ゴーゴリ

それでは、気を取り直して〜!

ニコライ・ゴーゴリ

指輪交換をしまーす!

フョードル・ドストエフスキー

雰囲気壊さないでください

ドストエフスキーと敦は向かい合う。

そして、互いに指輪を交換する。

敦の薬指の指輪には、紫色に煌めく宝石があった。

ドストエフスキーの薬指には、紫色と黄色に煌めく宝石があった。

そして、もう一度、誓いのキスを交わした。

ゴーゴリとシグマの拍手が礼拝室に響き渡る。

ふと、ドストエフスキーが敦に呟く。

フョードル・ドストエフスキー

……“太宰治”って、ご存知ですか?

少し攻めた質問をするが、

敦はキョトンとして

中島敦

そんな名前の方、僕は聞いたことがありません

中島敦

その方がどうかしたんですか?

ドストエフスキーは、嬉しそうに微笑んだ。

フョードル・ドストエフスキー

いえ、なんでもありませんよ

敦は、妙なやつに好かれた。

共喰いを経て、

あの魔人はもう死んだとばかり思っていたのに。

ようやく探偵社の平穏がおとずれたとそう思っていたのに。

甘かった。つめが甘かった。

あの魔人が簡単に死ぬはずがなかった。

あの謎多き魔人が素直に、あっけなく死ぬはずがなかった。

今、探偵社は少し歪だ。

みんながみんな、互いに遠慮している。

鏡花なんて、敦がいないせいで、まるで廃人みたいな虚な目をしている。

太宰はポートマフィアと探偵社を行き来して、

太宰とは思えないほど疲れ切った顔をしている。

国木田も心なしか疲れ切って、……いや、責任を感じているんだろう。

国木田の眉のしわが日に日に濃くなっている。

谷崎兄妹も心なしか寂しそう……で。

賢治も賢治らしくない。気分を悪くさせないよう、気を遣っている。

与謝野さんもつまらなさそうだ。

いつも夕日ばかり眺めている。

社長も、

大切な社員のため、敦の居場所を見つけ出すため、捜査を続けている。

だけど、社長。僕は敦の居場所を知っている。

でも、言えない。言ってしまったら、また……

太宰治

……ただいま、戻りました

江戸川乱歩

おかえり。太宰

僕は太宰を手招きして呼ぶ。

太宰はゆらりゆらりとこちらへやってきた。

そっと耳打ちをするように

江戸川乱歩

敦の居場所は

江戸川乱歩

わかるか?

太宰は僕をじっと見つめる。

そして、ふっと鼻で笑った。

太宰治

……魔人から、電話が来ましたよ

声をはばかって、太宰は嘲笑する。

太宰治

幸せになるから、敦は返せない。

太宰治

敦もその結末を望んでいる。……だそうです

江戸川乱歩

派手にやらかしてくれたねぇ……

江戸川乱歩

それで?

太宰治

だからもう、関わってくれるなと。

太宰治

敦の幸せを願うなら、と。

太宰治

……ロシアからの番号でした

江戸川乱歩

エカテリーナ宮殿、からか?

太宰治

……さすが、乱歩さんですね

太宰治

さすがの私もエカテリーナ宮殿までは、行けません……

江戸川乱歩

ああ、だから……

日本ではなく、

ロシアへ身を移したのだろう。

探偵社が簡単に来られないように。

泉鏡花

……ねえ、話、聞いてたんだけど……

江戸川乱歩

鏡花……

泉鏡花

敦は、幸せなの……?

江戸川乱歩

それは、わからない……

泉鏡花

もし、幸せじゃないなら、私が切り刻んでやる……

鏡花は踵を返す。

鏡花の目は、あの可愛らしい少女の目をしていなかった。

35人殺しと呼ばれた、かつての

鏡花の目をしていた。

いや、それは鏡花だけでない。

探偵社一同が、鏡花と同じ目をしていた。

フョードル・ドストエフスキー

……

フョードル・ドストエフスキー

うまくいくなんて、思いませんでしたよ

ドストエフスキーの声が、誰もいない礼拝室に響く。

フョードル・ドストエフスキー

シュウジ

フョードル・ドストエフスキー

これが、

薬指をゆっくりと見つめる。

フョードル・ドストエフスキー

恋の味なんですね

ゆっくりと笑みを浮かべた。

罪と罰の花嫁

……

……

罪の花嫁

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482

コメント

23

ユーザー

スゥ…皆さーん、これが神作の例です!テスト出ますよ((

ユーザー

うわぁああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!最高最高最高最高!!!!!!マジで大好きです!!!!!!マジで将来作家になれます!!!!!!本当に最高です!!!これぞメリーバッドエンド…

ユーザー

うfffffffooooo((((((🤛

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