柘榴
ど、どうするの⁉︎
凛
ハッキリ言って今の闇笯さんは野犬同様です。
凛
あのとき確かに記憶を消した筈...
凛
だとすれば本能は消えなかった...?
黒野
グルルルッ...
バッ
柘榴
凛ちゃん‼︎来たよ‼︎
凛
とりあえず両足から潰すか...
タッ
シャッ‼︎
凛
.....
黒野
ガウッ...?
黒野
黒野
アアアアッ‼︎足ガァァァッ‼︎
柘榴
えっ?な、何?何が起こったの?
凛
凛
少し両足を切っただけですよ。
柘榴
足ってことは...アキレス腱?
凛
いや、少し皮膚を切っただけです。
柘榴
じゃあ何であんなに...
凛
凛
幻覚作用ですよ。
柘榴
幻覚作用...?
柘榴
“セイレーン”みたいなの?
凛
はい。幻覚作用を引き起こす薬をハサミの刃の部分に塗っただけです。
柘榴
そんなものどこで...
凛
それより...
チラッ
黒野
ウガァァッ‼︎イ、痛イィィッ‼︎
凛
柘榴さん、捕獲お願いします。
柘榴
えっ、あ、うん‼︎
カチャッ
パシュッ
黒野
アアァァアアアッ‼︎
凛
うるさいので転送しちゃいますね。
スッ
バシュンッ‼︎
柘榴
うわっ⁉︎
柘榴
転送って...一体どこに...
凛
凛
仲間のところです。
柘榴
えっ⁉︎仲間がいるの⁉︎
柘榴
誰なの⁉︎その仲間って‼︎
凛
凛
蘭丸さん、琥珀さん、小鹿さんです。
柘榴
えっ⁉︎で、でも小鹿ちゃんは“実験”で居なくなったのは聞いてたけど、蘭丸君は街を壊してた筈じゃ...
凛
そうですね。でも私が人間を殺し続けるという行為が無駄だと感じ始めた頃、“私達”の間でも派閥が生まれ始めたんです。
柘榴
派閥?
凛
凛
人間を殺す or 人間を生かす という派閥です。
凛
それで私と同じ考えだった蘭丸さんと琥珀さん含め、街に蔓延っている“彼ら”を再び集めようということになったんです。
凛
それから数週間後に小鹿さんが街で彷徨っているのを見つけて保護したんですよ。
凛
でも小鹿さんは左足がない状態で...
凛
今現在は昏睡状態です。
柘榴
嘘...何でそんな...
凛
小鹿さんは“実験”で行っていた学校の生徒らに“抗体人間”だと暴かれ、街に出たらこの有様だったようで...
凛
それで“抗体人間”だった記憶を取り戻し、人間を殺していた闇笯さんを偶然見つけ監視していたところ、見つかって左足を潰されたらしいです。
柘榴
そんな...だっておかしいよ...
柘榴
元々は同じ仲間だったじゃんかっ‼︎なのに何でそんな争わなきゃいけないのっ⁉︎
凛
...醜いですが、生きている限り争いは避けられず、そしてなくならないものなんですよ。
柘榴
おかしいよ...そんなの...
凛
ですが、そんなものは今の世界には通用しないんですよ...
凛
凛
こんな終末世界では...ね。
凛
...そろそろ行きましょうか。
柘榴
何で...の...
凛
?
柘榴
柘榴
何で、凛ちゃんはそんなに強くいられるの...?
凛
そうですね...
凛
一番の原因は“実験”ですが...
凛
凛
どうやら私はこの世界に慣れてしまったようです。
凛
どんなに叫んだとしても、悔やんだとしても、あるのは瓦礫や死体、そしてボロボロになった自分だけ。
凛
誰も助けてくれない...それならば
凛
凛
私は前に進む。
凛
生きるために前に進む。
凛
立ち止まっているのは死んでいるのと同じなんです。
凛
“私達”は研究所にいた頃、毎日を死んだ様に生きていました。でも今は違う。足を踏み出せば進むことが出来る。
凛
世界の広さを知った今、私は死んだ自分に別れを告げて新たな人生を生きているんです。
凛
柘榴さんはこの約3ヶ月間、ずっと亡くなった皆さんのことを考えていますよね?
凛
別にそれは悪いことだとは言いません。しかし、もしその方々が生きていたら多分柘榴さんの生き方に反対すると思うんです。
凛
だって、今の柘榴さんは死んでいますから。
凛
私はそんな柘榴さんは見たくない。だから、ここから。ここからでいいんです。
凛
凛
一緒に私と生きてくれませんか?
柘榴
...はは。
柘榴
そっか...死んでるか...
パチンッ‼︎
柘榴
よし、わかった‼︎
凛
すみません、なんだか生意気なことを言ってしまって...
柘榴
いや、ありがとう。凛ちゃんのおかげで目が覚めたよ。
柘榴
そうだよね...こんな生き方してたら、天望先輩や空泉先輩、ルナちゃんにも失礼だもんね‼︎
柘榴
じゃあ、先に進もうか‼︎
凛
そうですね。まだ1人しか捕獲してませんからね。
柘榴
よし、一緒に頑張ろうね‼︎
凛
ほぼ私が頑張る側ですけどね。
柘榴
もう、分かってるって‼︎
???
ピッ
ピッ
ピッ
ピッ
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