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朝6時、ミドリの私室

……ピピ

ピピピ

ピピピピ

ピピピピピ

ビビビビビビ

ミドリ

んなぁー……

ミドリ

うるさいよもう……

目覚まし時計がやかましくて、とにかく叩き落とす。

……めっちゃ頭痛い。

ミドリ

やっぱ寝らんないからって

ミドリ

夜更かししちゃダメだなー

ミドリ

変な夢は見るし、最悪だよ……

クッソ重いため息が肺から落ちる。

正直、もう今日はベッドでずっとゴロゴロしていたい。

そんでBLのドラマCDとか聞いてたい。

むしろそれしか今の私を癒やせない気がする。

そんな時、ベッド上に目覚まし時計が戻される音がした。

???

ならば顔を洗ってくるといい

???

さっぱりとするはずだ

ミドリ

んー、顔洗うのはいいんだけど

ミドリ

それくらいでこの不快感が消えるとは思わ

ミドリ

ない、ん、

ミドリ

だけ……ど……?

普通に話し始めて、ゾッとした。

待って。

今の、誰。

起き上がらず、目だけで恐る恐る、声がした方向を確認する。

白い手袋。

次に燕尾服。

なぁんだ私の推しキャラ(執事属性)じゃねぇかヒャッホウ!

と、なりかけるけど そんなわけがない。

まず二次元の存在が現実に出てくるわけがないとか

その意見は拒否する!

それはあるかもしれないからね!

夢は捨てない!!

ならばなぜ私が、これを推しキャラではないと言いきるのか!

圧倒的に声が違うからです。

ここで諸君に問おう。

オタクが推しの声を聞き間違うだろうか。

――答えは否だ。

……やべ、めっちゃ冷や汗出てきた。

ミドリ

……ね、やめよう?

ミドリ

そういうの、ホンットやめよう?

ミドリ

性別不明生物が美形化して

ミドリ

モテない主人公を中心にハーレム形成とか

ミドリ

もうこの設定お腹いっぱいだって

ミドリ

夢であれ

ミドリ

お願いだから

ミドリ

夢であれぇー!!

冷や汗ダラッダラで目の前の燕尾服をガン見する。

……。

…………。

消える素振りも見せないんですけど!!

そんでこの布の素材とか!縫製とか!

高級っぽいのがまた興味をそそられる!

ムカつく!!

萌えで私をオトそうとは なんて的確な判断!

……。

はぁ。

さすがに、これ以上は引き伸ばすのは時間がヤバい。

なんてったって今日は平日です。

覚悟を決めて現実を受け止めるしかない。

嫌だけど!まだ夢の中だと思っていたいけど!

しかたないから顔を上げるぞ! せーの!

3!

2!

1!

ミドリ

ふんっ!!

思い切って顔を上げた私の目に飛び込んできたのは――

ミドリ

肌がドドメ色ーーーーーー!!

思わずひねりもないツッコミが喉から飛んだ。

ミドリ

は!?

ミドリ

え!?

ミドリ

なんでドドメ色のまま!?

ミドリ

執事服着てるじゃん!?

ミドリ

メガネもかけてるじゃん!?

ミドリ

冷静でちょっとサディストな攻めに見せかけて、

ミドリ

実は聖母になる系の受けじゃん!?

ミドリ

部屋のポスターとかで私の好みリサーチしたんじゃないの!?

ミドリ

メガネ執事萌えにつけ込んで!

ミドリ

私を懐柔しようとしたとかそういうんじゃないの!?

ミドリ

なぜドドメ色!

ミドリ

肌の色さえなければ危うく萌えるところだよ!

ミドリ

ドンピシャなのに!

ミドリ

その顔、マジでドンピシャなのに!!

ミドリ

返す返すもなぜにドドメ色!?

???

ムッ、この星の人間は肌の色で差別を行うのか

ミドリ

そこじゃねぇよ!!

今私は、好みの顔が口をへの字に曲げていても

肌の色がドドメ色だと可愛さが半減するという知見を得た。

心底いらない。

ミドリ

大事なことだからもっかい言うけど!

ミドリ

そこじゃないよ!

ミドリ

地球上で最もデリケートな問題の一つではあるだろうけど!

ミドリ

今はそれ一切関係ないよ!

ミドリ

地球上に!

ミドリ

そんな肌色の人間が!

ミドリ

いないの!!

ミドリ

擬態できてないんだってば!!

???

なんと。そんな盲点が

ミドリ

なんとじゃないよ!!

なんで衝撃受けてるんだよ!!

見て分かんなかったのか! バカなのかこの宇宙人!!

鏡を見て悩むようなトコロじゃない!

……。

……ツッコミ疲れた。

私は朝っぱらからなにをやってんだろう。

寝不足もあるんだろうけど、ぐったりしてきた。

とにかく、一つはっきりしたことがある。

ドドメ色の奴が今私の目の前にいるってことは、つまり。

ミドリ

昨日のはやっぱ……夢じゃないんだね?

言ってから、私自身が実感してしまう。

夢みたいな話だけど、昨夜私は

本当にドドメ色チンアナゴ集団に拉致されたらしい。

その上で、なんとかっていうご先祖様が約束した地球緑化計画を

今になって私に持ちかけてきたわけだ。

 

成功させなきゃ人類皆殺しという条件を盾にして。

 

詰んでる。

どう考えても詰んでる。

よりによって、BL同人作家でしかない女子中学生に

そんなことできるわけないし。

明らかに人類絶滅カウントダウンだし。

そんな重ぉい気分をまったく気にせず

目の前のドドメ色執事が口を開いた。

???

昨日ではない

???

日本の時刻で本日1時13分から

???

お前が意識を失った2時31分までの出来事だ

ミドリ

うるさいよ

ミドリ

この国の人間はね、寝る前の時間は全部「昨日」って言うの

???

それは時間管理能力が欠如しているのではないか

ミドリ

日本人のブラック勤務気質を浮き彫りにしないでくれる!?

ため息が……ため息が止まらない……!

夢であることを願ったのに、現実はなんてムゴいのか。

というか、今はブラック勤務気質よりでっかい問題がある。

ミドリ

……ねぇ

ミドリ

なんでアンタ、私んちにいるの

???

ムッ、説明がいるか

ミドリ

いるよ

ミドリ

逆になんでいらないと思うのよ

???

面倒な

……あ、すごーい☆

いくら好みの顔でも、肌がドドメ色だとぉー☆

こんなにもムカつくー☆

 

メガネの上から殴り飛ばすぞこの野郎。

 

片頬が引きつりまくる私の怒りを察したのかは分からないけど

ドドメ色執事はようやく、やっぱり面倒そうに目を細めた。

???

私は機関を代表し、お前の監視役を仰せつかった

???

アニェアルバピンャだ

ミドリ

アネアル……なに?

???

アニェアルバピンャ

ミドリ

長い……

ミドリ

そして言いづらい……

ミドリ

まず覚えられないんですけど

ミドリ

もっと日本人に優しい名前になれないの?

???

ムッ

???

お前たちには他者の名前を尊重する心がないのか

ミドリ

違うわい!

ミドリ

シンプルに!言えないの!

???

なんと

???

そんなにも舌が短いのか

ミドリ

むしろ長いと噛む気がするんだけど!

ミドリ

もっかい聞いとこう

ミドリ

アニール?

???

アニェアルバピンャだ

ミドリ

……

ミドリ

心が腐ってるからかな……

ミドリ

ア○ルにしか聞こえない……

ミドリ

とてもじゃないけど人前で呼べない名前だわ……

ミドリ

いいや

ミドリ

どうせコイツの正体、チンアナゴだし

ミドリ

アナって呼ぶね

ミドリ

いい?

???

……

???

…………ん

不満全開か!!

無視するけど!

ミドリ

じゃ、アンタがここにいる理由の続き、どうぞ

アナ

……

アナ

はぁ

アナ

吉田敬衛門と約定を結んだ際、我らは彼に対応を一任したが

アナ

それ故に現状を招いたのは明白

アナ

そのための措置であることは、低脳なお前でも理解できるだろう

アナ

あらゆる障害を排除し、滞りなく緑地活動拡大に全力を尽くせるよう

アナ

取り計らうのが私の任務だ

アナ

したがって本日付でこの家屋に居住し

アナ

お前の活動のサポートを務める

アナ

以上だが、なにか疑問はあるか

すっっっっげー不満そうだなこのドドメ色!

そのわりに無駄にハキハキしゃべるし。

なんか途中で低脳とか言われた気もするけど、まぁいい。

それ以上に聞かなきゃいけないことができてしまった。

ミドリ

――は? え?

アナ

まずお前には、絵画の描写能力が著しく欠如していることが判明した

アナ

技術吸収性の高い教本を揃えたので、学習をすすめる

ミドリ

コラコラちょっと!

ミドリ

明らかに今、疑問があるって声出したでしょうよ!

ミドリ

無視すんな!

ミドリ

あと画力の欠如はごめんね!

ミドリ

まっすぐ目ぇ見られて言われると心が死にそう!

ミドリ

でも教本はめっちゃ嬉しいからあとで読むね!

ミドリ

じゃなくて!!

ミドリ

――ここに、住むの?

アナ

そうだ

ミドリ

アンタが?

アナ

無論だ

アナ

見てのとおり姿形はある程度自由が利くので、場所はとらん

ミドリ

いや、そんなこと心配してんじゃないってば

アナ

――あぁ、そうか

アナ

この星では未成年という存在は

アナ

ことあるごとに保護者の許可が必要だったな

アナ

今後のためにも話を通しておかねばなるまい

アナ

家人は階下だな

言うが早いか、アナは部屋を出てずかずかと進み始めた。

ミドリ

ちょっ、コラ待って!

ミドリ

ダメだって、勝手に家に入ってる時点でヤバいのに!

ミドリ

ワケ分かんない説明したら、母さんもばあちゃんも卒倒するよ!

ミドリ

だいたい私、まだやるなんて一言も言ってないんですけど!

ミドリ

ねぇ聞いてよ、せめて、せめて肌は塗ろう!?

ミドリ

アクリル絵の具ならそのドドメ色もどうにか隠せるって!

アナ

なんと

アナ

お前には肌呼吸の大切さもわからんのか

ミドリ

宇宙人の肌呼吸よりも死活問題が目の前にありましてねぇ!?

あ゛ー!聞いてくんない!

まずい。非常にまずい!

ただでさえこの大声は不審に思われてるはず。

母さんもアニメは好きな方だけど

さすがにこんな突拍子もない事態を受け入れられるとは思えない。

ミドリ

頼むから待って!ね!?

ミドリ

私から!せめて私から説明するから!

ミドリ

あんたはなにも……!!

説明ってなんの?

突然聞こえた声に、心臓が凍りつく。

ミドリ

か、母さ

きっちり整えた髪と、度のキツさを物語る、湾曲したメガネ。

下から見上げていたのは、紛れもない母さんだった。

朝っぱらからずっと大声で電話してるかと思ったら……

アンタいつの間に友だち連れ込んで――

そこまで言って、母さんの言葉が止まる。

……詰みに詰んだ。

これが男性だと気付いたのか、それとも肌の色に気付いたのか。

どちらにしろ、私の肝は恐るべき速さで急速冷凍されていた。

BL同人作家が地球の救済を任されました

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