朝6時、ミドリの私室
……ピピ
ピピピ
ピピピピ
ピピピピピ
ビビビビビビ
ミドリ
ミドリ
目覚まし時計がやかましくて、とにかく叩き落とす。
……めっちゃ頭痛い。
ミドリ
ミドリ
ミドリ
クッソ重いため息が肺から落ちる。
正直、もう今日はベッドでずっとゴロゴロしていたい。
そんでBLのドラマCDとか聞いてたい。
むしろそれしか今の私を癒やせない気がする。
そんな時、ベッド上に目覚まし時計が戻される音がした。
???
???
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
普通に話し始めて、ゾッとした。
待って。
今の、誰。
起き上がらず、目だけで恐る恐る、声がした方向を確認する。
白い手袋。
次に燕尾服。
なぁんだ私の推しキャラ(執事属性)じゃねぇかヒャッホウ!
と、なりかけるけど そんなわけがない。
まず二次元の存在が現実に出てくるわけがないとか
その意見は拒否する!
それはあるかもしれないからね!
夢は捨てない!!
ならばなぜ私が、これを推しキャラではないと言いきるのか!
圧倒的に声が違うからです。
ここで諸君に問おう。
オタクが推しの声を聞き間違うだろうか。
――答えは否だ。
……やべ、めっちゃ冷や汗出てきた。
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
冷や汗ダラッダラで目の前の燕尾服をガン見する。
……。
…………。
消える素振りも見せないんですけど!!
そんでこの布の素材とか!縫製とか!
高級っぽいのがまた興味をそそられる!
ムカつく!!
萌えで私をオトそうとは なんて的確な判断!
……。
はぁ。
さすがに、これ以上は引き伸ばすのは時間がヤバい。
なんてったって今日は平日です。
覚悟を決めて現実を受け止めるしかない。
嫌だけど!まだ夢の中だと思っていたいけど!
しかたないから顔を上げるぞ! せーの!
3!
2!
1!
ミドリ
思い切って顔を上げた私の目に飛び込んできたのは――
ミドリ
思わずひねりもないツッコミが喉から飛んだ。
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
???
ミドリ
今私は、好みの顔が口をへの字に曲げていても
肌の色がドドメ色だと可愛さが半減するという知見を得た。
心底いらない。
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
???
ミドリ
なんで衝撃受けてるんだよ!!
見て分かんなかったのか! バカなのかこの宇宙人!!
鏡を見て悩むようなトコロじゃない!
……。
……ツッコミ疲れた。
私は朝っぱらからなにをやってんだろう。
寝不足もあるんだろうけど、ぐったりしてきた。
とにかく、一つはっきりしたことがある。
ドドメ色の奴が今私の目の前にいるってことは、つまり。
ミドリ
言ってから、私自身が実感してしまう。
夢みたいな話だけど、昨夜私は
本当にドドメ色チンアナゴ集団に拉致されたらしい。
その上で、なんとかっていうご先祖様が約束した地球緑化計画を
今になって私に持ちかけてきたわけだ。
成功させなきゃ人類皆殺しという条件を盾にして。
詰んでる。
どう考えても詰んでる。
よりによって、BL同人作家でしかない女子中学生に
そんなことできるわけないし。
明らかに人類絶滅カウントダウンだし。
そんな重ぉい気分をまったく気にせず
目の前のドドメ色執事が口を開いた。
???
???
???
ミドリ
ミドリ
???
ミドリ
ため息が……ため息が止まらない……!
夢であることを願ったのに、現実はなんてムゴいのか。
というか、今はブラック勤務気質よりでっかい問題がある。
ミドリ
ミドリ
???
ミドリ
ミドリ
???
……あ、すごーい☆
いくら好みの顔でも、肌がドドメ色だとぉー☆
こんなにもムカつくー☆
メガネの上から殴り飛ばすぞこの野郎。
片頬が引きつりまくる私の怒りを察したのかは分からないけど
ドドメ色執事はようやく、やっぱり面倒そうに目を細めた。
???
???
ミドリ
???
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
???
???
ミドリ
ミドリ
???
???
ミドリ
ミドリ
ミドリ
???
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
???
???
不満全開か!!
無視するけど!
ミドリ
アナ
アナ
アナ
アナ
アナ
アナ
アナ
アナ
アナ
アナ
すっっっっげー不満そうだなこのドドメ色!
そのわりに無駄にハキハキしゃべるし。
なんか途中で低脳とか言われた気もするけど、まぁいい。
それ以上に聞かなきゃいけないことができてしまった。
ミドリ
アナ
アナ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
アナ
ミドリ
アナ
アナ
ミドリ
アナ
アナ
アナ
アナ
アナ
言うが早いか、アナは部屋を出てずかずかと進み始めた。
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
ミドリ
アナ
アナ
ミドリ
あ゛ー!聞いてくんない!
まずい。非常にまずい!
ただでさえこの大声は不審に思われてるはず。
母さんもアニメは好きな方だけど
さすがにこんな突拍子もない事態を受け入れられるとは思えない。
ミドリ
ミドリ
ミドリ
母
突然聞こえた声に、心臓が凍りつく。
ミドリ
きっちり整えた髪と、度のキツさを物語る、湾曲したメガネ。
下から見上げていたのは、紛れもない母さんだった。
母
母
そこまで言って、母さんの言葉が止まる。
……詰みに詰んだ。
これが男性だと気付いたのか、それとも肌の色に気付いたのか。
どちらにしろ、私の肝は恐るべき速さで急速冷凍されていた。
コメント
17件
ミドリちゃんって中学生だったんだ………ミドリちゃんと友達になりたい……
どぎつい色の設定にはこんなカラクリが… そりゃいくら好みの顔でも萌えないなあ…w
しばらくコメント返信はお休みします ごめんなさい💦 でも全部拝読してます! いつもありがとうございます!