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遠く離れた世界の君へ --

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遠く離れた世界の君へ --

11 - 裏を返せば

♥

51

2024年10月12日

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〜真冬 side〜

お互い飲み物だけ頼んで、 それぞれ届いた所で、本題に入る

翔太

改めて、突然呼び出しちゃってすみません。

翔太

……ちなみに聞くんですけど、この事、そらるさんには話してますか?

真冬

いえ、ただ“外出する”とだけ……詳しい事は特に話してません

翔太

そうですか……

ボクの言葉を聞いた翔太さんが、 どこかホッとした様な表情を見せる

真冬

(この事、彼方さんには知られたく無かったの……?)

翔太

じゃあ、単刀直入に聞くんですけど

真冬

は、はい……

 

翔太

──貴方、何が目的なんですか?

真冬

…………えっ?

彼の表情から、優しい笑みが消える

そしてその代わりとでも言う様に、 まるで温度の無い目が、此方を穿った

“何が目的”……?

真冬

えっと……言ってる意味が、よく分からないんですけど……

突如雰囲気が変わった相手に 戸惑いながら、辛うじて答える

翔太

……ずっと思ってたんですけど、怪し過ぎるんですよ、貴方。

翔太

突然そらるさんの家で居候し出して、当の本人からも、何の説明もされなくて。

翔太

あの人もあの人で、色々誤魔化してる様に見えるけど……。

翔太

……貴方、本当に何なんですか?

疑いの目を向けられて、再び問われる

真冬

そ、れは……

実は吸血鬼です……なんて言っても、 こんな空気じゃ信じて貰える筈が無い

翔太

……すぐ答えられないんですね

真冬

っ、じ、じゃあ言わせて貰いますけど、其方こそ、人の内情に土足で入って来て、一体何なんですか?

相手の気迫に押されない様、 辛うじて反論する

翔太

彼の友人としての勝手な正義感ですよ。

翔太

急に友達が何処の馬の骨かも分からない奴と居たら、普通警戒するでしょ?

翔太

況してや、素性が知れない奴なんて……表に立つ僕らにとっては、尚更信用出来る訳が無い

真冬

っ……

……彼方さんも、 「仕事柄疑うことが癖」だって、 出会って少しした頃に言っていた

それにボクも、ネットでの活動を 通して、世間の黒い部分を 身を持って学んでいるつもりだ

彼方さんが特別なだけ、翔太さんが 突然現れたボクを警戒するのは、 全く間違った事じゃ無い

真冬

それは、確かに仕方無い……とは思いますけど……。

真冬

っでもボク、怪しい事は何もしてませんよ?

真冬

って言うかそもそも、何でこんな急に……

翔太

急なんかじゃ無いですよ。言ったでしょ? ずっと疑ってたって。

翔太

貴方に初めて会った時から、信用した事なんて一度も無い。

翔太

ただ、強いて言うとしたら……ユニットの話

真冬

ユニット……?

それって、そらるさんが さっき誘って来た……?

翔太

さっきそらるさんから、2人でユニットを組む事になったって連絡があったんですよ。

翔太

だからこの際、“相川真冬”についてハッキリさせておこうと思って

真冬

…………

翔太

……そもそも、どうやってそらるさんと知り合って今に至ったんですか?

真冬

それは……道端で倒れていた所を拾われた、としか

嘘は言ってない、これは本当の事だ

翔太

何で倒れてたんですか?

真冬

……ちょっと、色々あったので

真冬

(これは、答える訳には……)

翔太

色々?

真冬

っ……はい、色々

翔太

…………。

翔太

……分かりました、答える気は無いんですね。

翔太

じゃあ、少し切り口を変えるんですけど

真冬

っ……?

次は何が飛んで来るのか、 つい体を強張らせて身構える

翔太

……貴方、人間ですか?

真冬

……っえ……?

ボクが、人間か……?

真冬

な、何で、そんな事を……?

出来るだけ動揺を隠して、質問し返す

翔太

俺の質問に答えて下さい。じゃないと此方も答えません

この口振から、少なくとも彼は、 この世界にボクの様な人外が 存在している事を知っている

だけど、何でその事を……?

翔太

……はぁ、もう少し聞き方を変えますよ

ボクが答えに迷っていると、 少し痺れを切らした様にそう言われる

 

翔太

──貴方、“吸血鬼”ですよね?

真冬

っ……!?

吸血鬼という具体的な単語、 それに殆ど確信した様な聞き方

真冬

なっ、何で……

翔太

イエスかノーか、答えはどっちかにして下さい

真冬

…………っ、はい……

もうこれ以上は無理だと思って、 観念して小さく頷く

翔太

……はあ……何だ、やっぱ同じかぁ……

すると、途端に脱力して 椅子の背もたれに寄り掛かった翔太さん

真冬

え……?

さっき溢してた“同じ”って言葉、 まさかだけど……

翔太

あぁ、実は俺も吸血鬼なんですよ。真冬さんと同じ

真冬

……えっ、ええぇっ!?

驚きの余り、ついガタッと 立ち上がって、大声を上げてしまう

翔太

いやぁ、すみません。最初会った時、もしかしてと思ったんですけど、確信が無くて……

先程まで張り詰めていた 重い空気は何処へやら、翔太さんに 笑顔の表情が戻って来る

翔太

もし唯の不審者だったら〜とか思ってたんですけど、ユニット組むとか言い出したもんだから、この際どっちかはっきりさせたくて

真冬

あ、あぁ……なるほど……??

翔太

すみません、こんな疑う様な真似しちゃって

真冬

いえ、それは良いんですけど……あの、幾つか聞いても……?

翔太

はい、何ですか?

真冬

えっと……吸血鬼って、目の色とか……

翔太さんは、見たところ 普通の黒目をしている

吸血鬼なら、ボクみたいに もっと違う色を持ってる筈だけど……

翔太

あぁ、黒のカラコンですよ。外出たり人に会う時はそれで隠してて。

翔太

本当は真冬さんみたいな色です

真冬

(カラコン……!?)

真冬

その……ご飯、とかは……?

翔太

あ〜、それならレバーで補ってます

真冬

(レバーで補えるの……!?)

翔太

血と同じ成分は含まれてるので、それなりにお腹にも溜まるんですよ

真冬

そ、そうなんですね……

……何だか、物凄く彼方さんに 申し訳ない気持ちが沸いたのは、 一旦置いておくとして

翔太

他は、何かありますか?

真冬

えっと……嫌じゃ無ければ、で良いんですけど。

真冬

翔太さんは、どうして吸血鬼に……?

翔太

俺は……何でですかね。

翔太

正直、前世の事は自分でもイマイチ覚えて無いんですよ

真冬

覚えて無い……?

翔太

さっき話した通り、動物の血肉ばっかり食べてる訳だから、記憶が戻る訳無いんですけどね。

翔太

でもまぁ、知らなくて良いかなって思ってます。成っちゃったもんはしょうがないって言うか?

真冬

お、おぉ……

翔太さんって、思った以上に 気さくで楽観的な人…… いや、吸血鬼の方なんだな……

翔太

真冬さんも聞いて良いですか? 何で吸血鬼になったのか

真冬

ボクは……ボクも、あんまり覚えてる訳じゃ無いんですけど……。

真冬

ただ、“永遠に生きたい”って言うのは、一つの理由だと思います。

真冬

それも、誰かと一緒に……

翔太

へぇ……真冬さん、好きな人いるんですか?

真冬

っえ? あっ、い、いやっ! それは……そのっ……!

翔太

え、分かりやすっ

真冬

ゔっ……で、でも、ボクじゃ無くて、前世の僕って言うか、何と言うかっ……

上手く言葉が見つからなくて、 ごにょごにょと吃ってしまう

翔太

あははっ、でも良かった。僕、同じ吸血鬼の知り合いが居なかったので、ずっと心細かったんですよ。

翔太

これからは同じ人外同士、仲良くして行きましょ!

真冬

……!

真冬

は、はいっ!

 

その後、また少し雑談をしてから、 翔太さんとお店を出て別れた

真冬

(そっか……あの人も吸血鬼……)

ボクも吸血鬼の知り合いが 居なかったのは同じだから、 彼の存在が、少し心強く感じる

真冬

(記憶についても、ボクより知識が有るみたいだったし……また今度、色々聞いてみよう)

……話の中に少し違和感があったのは、 きっとボクの気のせいだよね

この作品はいかがでしたか?

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コメント

3

ユーザー

忙しくて読むの遅れましたごめんなさいっ! えっ!?あまちゃんも吸血鬼だったの!? なるほど、確信がなかったからああやって 疑うような感じにしてたのね…w そっか……あまちゃんだったか…w(?) それと食事とかはレバーで補えるんだねw でもこうなるとあまちゃんが吸血鬼になった 理由とかあまちゃんとっての特定の人とかも 気になってくるところだけど…誰だろ? 不穏か…続き、楽しみにしています!!

ユーザー

また久々です( ˙꒳​˙ ) 現れついでに「昔読んだBL吸血鬼ギャグ漫画を思い出してここからギャグ路線行こうかと思ったけど流石に話重すぎるからやめた」っていう裏話置いときますね(( 引き続き遠君は不穏でございます←

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