朝溶けの魔女

ようやく男の人が落ち着いてくれたので

私たちはまず自己紹介から済ませることになった。

私も簡単に自己紹介と

幽霊に襲われてタイムスリップして

こっちでも襲われたところを乃木さんに助けられ、

保護されたことを説明した。

パシャ！

ぶるるっ、と私は身震いした。

ユイさんは、震える私に

お守りだという銀のネックレスを貸してくれた。

意を決して中に入ると、

時間が早かったせいか、とても明るかった。

幽霊ビルの内部を進み、

私が最初に目が覚めた場所に到着する。

ピリリリリリ！ピリリリリリ！

キキーッ、ガシャアアアーン！！

「きゃあああああ！！」

ドンッ、ゴロゴロ……

ぐちゃっ

「いやああああ！いやああああ！」

「痛い！足が、腕が！」

「いやっ、死にたくないっ！」

「死にたくな……い……」

「痛い……」

「こんなの……嫌……」

「やり直し……たい……」

「やり直したい……」

「やり直したい……」

「やり……直……」

「…………」

ツー、ツー、ツー……

いつの間にか、黒い人影たちが集まってきていた。

私たちはユイさんを追って

幽霊ビルの屋上まで駆け上った。

駆け出した私たちをあざ笑うように

女の幽霊は、ユイさんを投げ捨てた。