雅人
ここは…?
雅人
どこだ…?
内装は自分の部屋と全く同じ。ただ、全ての物が白い。
雅人
夢か?夢…なのか?いや、違うな…なんかおかしい…
死神
おっと、やっと気がついたか
雅人
誰だ!?不法侵入だぞ!訴えてやる!
死神
通報しても無駄だぞ青年…ここは夢の中だ…
雅人
じゃあなんで…
死神
お前を夢の世界に引きずり込んだ。俺はここにしかいれないからな。
雅人
んで、お前誰だよ
死神
……死神だ
雅人
はぁ?
雅人
なんだそれ
死神
俺は現世にはいれない、だから夢の中にお前を引きずり込む必要があった。
雅人
ふーん。
雅人
ってか、死神が何のようだよ!殺しに来たのか?
死神
違うな、死神は死の予兆に過ぎない。
雅人
俺は…死ぬのか…?
死神
そういうことだ。
雅人
いやだ…!待てよ…これは夢だ、大丈夫だ。
死神
俺の存在もお前の存在も夢ではない。
雅人
どういうことだよ…
死神
さっき言ったじゃないか…
雅人
夢の世界に引きずり込む…どうやったんだよ
死神
教えたところで何になる
雅人
そ、それは…
死神
自分の置かれた状況を瞬時に飲み込めないところがお前の短所だ。
雅人
何を…!
死神
抵抗しても無駄だぞ
雅人
ッチ……
雅人
わかったよ…んで、俺はなんで死ぬんだ?
死神
7/24に家族で旅行中、車がカーブを曲がりきれず転落し、お前は死ぬ。
雅人
それじゃ、母ちゃんも父ちゃんも兄ちゃんも死ぬってのか!?
死神
そういうことになるな
雅人
なぜだ…?
死神
何がだ?
雅人
なぜ俺の夢に出てきた…?他の人でもよかっただろ…
死神
他の人の夢には他の死神が出ている。
雅人
そうか…
死神
そうだ。
雅人
……
死神
……
雅人
なぁ…
死神
なんだ?
雅人
俺…死にたくねぇよ…
死神
みんなそう思ってる。しかし、人生はいつか必ず終わりを向かえることになる。それがいつかは人によって違うが、お前はたまたま早かっただけだ。
雅人
なんか助かる方法はねぇのか…?
死神
そんなに生きたいか…?
雅人
あたりめぇだろ!
死神
そうか…ならチャンスをやろう。
雅人
チャンス?
死神
そうだ。ただこのチャンスを逃すとあとはない。
雅人
何すればいいんだよ…
死神は紙とペンを差し出した。ペンは妙な形をしていて、ところどころにトゲのようなものがある。
雅人
なんだ…これ?
死神
そのペンでお前が今一番憎く思ってるやつの名前をかけ。赤字でな
雅人
分かった
雅人
いってぇ!
死神
ん?どうした。書かないのか?
雅人
いや、書いてみせる…!
雅人
あれ…インクがない…
雅人
どうすりゃいいんだよ!
死神
本当に憎く思ってるなら答えは見えるはずだ。
雅人
どうすれば…
死神
おっと、時間だ。また次の夢で会おう。このチャンスは次の夢で終わりだ。しっかり考えておくんだな…
雅人
……
雅人
朝か…それにしてもなんだ…あの夢は…
雅人
まぁいいか、今日は学校休みだし、家でゴロゴロしとこ
母
雅人ー!朝ご飯できてるよー!降りてきてー!
雅人
はーい
雅人
なんか眠くなってきたな…寝るか
眠りにつくと、どこかで聞き覚えのある声が聞こえてきた。
雅人
またか
昨日の夢とは明らかに違う。部屋は真っ白ではなく、普通の色をしていた
雅人
どういうことだ…
死神
また会ったな。ラストチャンスだ。
雅人
そうだったな
雅人
っんぐ!
雅人
あ、そういえばインクなかったんだな…
勉強机にある赤のインクを取り出し補充しようとしたとき、ある言葉が頭をよぎった。
雅人
なぜ今…?あ!まさか…!
その時、雅人は気がついた。赤のインクを元の場所に戻すと、ペンを力いっぱい握った。
雅人
ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!
死神
……
雅人
これが俺の答えだ!
そういうと、ペンに血を補充し始めた。そして、その血で憎い人の名前を黙々と書く。
雅人
できたぞ。
死神
チャンスをモノにしたな。
雅人
お!んじゃ、これで…!
死神
あぁ、俺は明日からこいつの夢に出る。
雅人
俺は生きれるってことか!
死神
そうだ。
雅人
やったー!
死神
………
雅人
………
死神
田邉義人。そいつがなぜ憎い?
雅人
俺の人生を台無しにしやがったんだ…
死神
何をしたんだ?
雅人
俺の大事なものを奪った。
死神
大切なもの………か…
雅人
そうだ…!俺の彼女を寝取ったんだ!
死神
それは災難だったな。
雅人
ああ。お前に会えて感謝してるよ。ありがとな
死神
ありがと………か…
雅人
……
死神
この夢で最後だ。また会えるといいな、青年。
雅人
嫌だよw
死神
嫌なのか?
雅人
死にたくねぇもん。