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実希

あれ

実希

差出人の書いてない郵便だ

実希

何だろう?

薄いピンク色の和紙に、

桜の花びらが描かれた封筒。

実希

未来通信?

実希

何これ

封を開けると手紙が入っていた。

手紙の内容は、

4月20日 アルバイトを休まなければ、

今後の人生が大きく変化する。

そう書かれていた。

実希

アパートに表札も出していないのに、

実希

私の名前知ってるの

実希

流石に気持ち悪いな…

最寄りの警察に報告をすると、

危害を加えるような内容ではないこと、

脅迫するような記載は無いことから、

とりあえず様子を見るように言われた。

実希

パトロールは強化してくれるらしいけど、

実希

流石に一人暮らしだから怖いなぁ…

実希

あ、そうだ

実希

念の為、お母さんにも話しておこう

実希

お母さん

実希?どうしたの?

実希

実は私の所に怪文書が届いて

実希

気持ち悪いから、警察に相談したんだ

怪文書?

どんな内容なの?

実希

4月20日に、アルバイトを休め、って書いてあるだけなんだけど、

実希

私のアパートの部屋、表札出してないでしょ?

そうね、一人暮らしで危ないから

名字出してないわよね。それでも郵便はちゃんと届いていたし…

実希

それなのに、怪文書が私宛てになっていたのが、気持ち悪くて

警察は何て言ってたの?

実希

パトロールは強化するけど、

実希

脅迫ではないから犯人捕まえるのは

実希

難しいみたい

そうなの?

心配だわ

実希

とりあえず、毎日大学から帰る時と、

実希

バイト終わったらLIMEするから、その連絡が来なかったら、

実希

お母さんから警察に連絡してくる?

何だか物騒ね

分かったわ

何かあったらすぐ教えてちょうだい

実希

うん

実希

そうする

すぐそっちに行きたいんだけど

今締め切り前で…

ごめんなさいね

実希

大丈夫!

実希

大学もバイトも近いから

実希

こまめに連絡入れるね

4月20日

実希

よし、バイト行こうっと

実希

火の元よし、電気も消した

実希

鍵も…OK

いつもと同じ日曜日、

いつもと同じようにアルバイトに向かう

はずだった……

私は、すっかり怪文書の存在を

忘れていた。

4月20日 夜

実希、お母さんがわかる?

実希?

実希

実希

実希

……………あれ?

実希?目が醒めた?

実希

知らない天井…?

実希

あれ?

実希

実希

私、バイト行こうとしてなかったっけ…?

そうよ

アルバイト行く途中にね、

あなたは

交通事故に巻き込まれたの

実希

実希

…え?

頭が ズキズキと痛む。

左腕には 点滴が刺さり、

右腕はしっかりと、固定されいた。

実希

右腕…私の、右腕!!

実希、落ち着いて

骨折はしたけど、命に別状は無いわ

実希

違うよ…

え?

実希

私には、

実希

命と同じくらい、

実希

絵が、大事なんだよ…?

実希…

実希

こんなの嫌!

実希

いつだって、

実希

絵を、描いていたいのに…

実希の母の実家

…こういうことがあったの

母さんは、どう思う?

実希の祖母

そうだねぇ

実希の祖母

あの規模の交通事故を、わざと起こすなんて考えられないし

実希の祖母

偶然と思いたいね

そうよね

実希の祖母

しかし、偶然と決めつけて切り捨てるには…納得がいかない所もある

そうなのよね

実希も、あの怪文書通りに、アルバイト休めば良かった、って言ってて…

実希の祖母

あんな内容、信じろっていうほうが無理だろう

実希の祖母

実希のメンタルのケアも、必要かねぇ

今度、いつ病室に来られる?

実希の祖母

来週には行くよ

実希の祖母

実希に直接、聞きたいこともあるからね

数日後

実希の病室

実希の祖母

実希、お見舞いに来たよ

実希

…おばあちゃん?!

実希の祖母

実希が心配で来ちゃったわ

実希

遠いのに…ありがとう

実希の祖母

りんご、持ってきたから食べようね

実希

…うん

実希の祖母

実希、あんた絵描けなくならないか不安なんだろう?

実希

なんで分かったの?

実希の祖母

顔に、そう書いてある

実希

おばあちゃんは、何でもお見通しだね…

実希の祖母

とにかくまずは、命が助かったんだ

実希の祖母

リハビリをして、それから考えられないかい?

実希

…私にとって絵は、

実希

生きることと同じなんだ。

実希

息を吸って、吐いて、

実希

水を飲んで、食べ物を食べる。

実希

それと、同じなんだ

実希の祖母

そうだったね

実希の祖母

実希は、絵が描ける

実希の祖母

そして、絵が上手だ

実希

…ありがとう

実希の祖母

これから、更に大変かもしれないけど

実希の祖母

応援するからね

実希

うん

実希

何だか、おばあちゃんに会ったら

実希

私も頑張らなきゃって、思えた

実希の祖母

そうかい?

実希

そうだよ。心強いよ

実希の祖母

…実希が治ったら、

実希の祖母

私の似顔絵を描いておくれ

実希

…わかった。約束する!

実希

絶対、描けるようになる!!

実希の入院している病院

医療相談室

医師

とりあえず、今後は退院後も通院して頂き、リハビリを行います

実希の祖母

わかりました

医師

実希さんは、一人暮らしでしたっけ?

はい、アパートから大学に通っていました

医師

退院後のリハビリもしっかり行えば、日常生活に問題はないと思います

医師

実希さんは、一人暮らしに戻れるはずです

先生、実は実希は趣味で絵を描いていたんです

医師

…そうでしたか

…昔のように、絵を描くことはできますか?

医師

それは、はっきり申し上げますと、リハビリ次第です

医師

痛みもある、通院しなければならない

医師

この2つが、実希さんにとって辛いのではないかと思います

そうですよね…

医師

まずは3か月後の退院を目指します。その間にもリハビリは行います

医師

私も、リハビリチームも協力します

実希の祖母

ありがとうございます

医師

皆で、頑張りましょう!

はい!

実希の入院している部屋

実希

おばあちゃんと約束してみたものの、

実希

治るのかな、これ

以前と同じように、右腕に力が入れられるようになるだろうか。

以前と同じ絵を、描けるだろうか。

しびれ、麻痺など起きないだろうか…

実希

ああダメ、不安になってちゃ

実希

元気出さなきゃ

実希

とにかくまずは、

実希

しっかり療養しなくちゃ…

まだ退院もしていない

5月15日。

2回目の怪文書が

実希のアパートに届く。

…これが、実希が話していた

怪文書……

あら?この筆跡って

もしかして…

とにかく、実希に見せなくちゃいけないわね

実希

また、この怪文書…?

本当はあなたに負担をかけたくなかったんだけど、

今回の内容がもし当たったら…と思ったら、

あなたに話さない訳にはいかないから

実希

うん、見るよ

実希

どんな内容でも。

実希

一度は当たっていたんだもん

7月29日

リハビリに行くな

実希

え?これだけ?

そう

前回と同じ筆跡だから、同じ差出人だと思うの

実希

そうだね、封筒の種類も

実希

便箋の種類も同じだしね

ねぇ実希

お母さん、変なこと言っていい?

実希

え、何いきなり

この怪文書の筆跡って、

…………やっぱり、何でもないわ

実希

え?!

実希

気になるじゃん

ごめんなさい

きっと気のせいよ

とにかく、7月29日には気をつけましょう

実希

…?

数週間後

実希の病室

実希、どう?体調は

実希

お母さん…

実希

リハビリ、頑張ってるよ

実希

痛みはあるけど、

実希

描けなくなるほうが嫌だもん

まるでプロみたいなセリフね

…お父さんに、似たのかしら

実希

死んじゃったお父さんも、絵を描いていたの?

実希

私、覚えてなくて…

まだ小さかったからね、実希は

お父さんは、船とか、飛行機の絵が上手だったわ

実希

へぇ〜!

私の小説の、挿絵を描いてくれたのが

私達夫婦の最初の出会いよ

実希

そうだったんだ

実希

知らなかった

話したこと、なかったもんね

実希

お父さんの絵、見てみたいな

今度来るときに、持ってくるわね

数日後

実希の病室

実希

これがお父さんの絵か〜

実希

緻密(ちみつ)だ

タイヤ、エンジン、

こまごましてるわね

実希

どうやって描いてたんだろう

細いシャーペンで下書きしたのは、よく見たわね

0.3くらいの太さのシャーペンをよく使っていたわ

実希

へぇ〜

実希

私には、無理だなぁ

実希

お父さん、すごい人だったんだ

そうねぇ

実希

あ、そうだお母さん

何?

実希

例の日だけ、リハビリ休もうと思う

実希

前回、たまたまかもしれないけど、

実希

予言が当たってたから

実希

今回も当たるかもしれない。

実希

いいかな?

ええ、お母さんも賛成する

その日は、お母さんもそばにいるわね

実希

うん

何も、起きないといいけど…

第1話 完

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