要人
主です。
要人
主です。
主です。
主です。
要人
ー凌太sideー
教室のドアの前に立つ潤と要人の姿を見て、 俺は小さく息を吐いた。
2人とも、表情は硬い。
特に要人は…ここまで来るのにも、 きっと相当勇気がいったはずだ。
凌太
そう言って笑ってみせたけど、 心の中は正直、穏やかじゃなかった。
噂だけで物事を決めるような人たちが、 この教室にもいる。
だけど俺は、あの2人がどれだけ本気で 向き合ってきたかを知ってるから。
支え合って、ぶつかって、何度も泣いて、 それでも一緒にいるって決めたことも。
俺は――それを守りたかった。
凌太
教室の前に立ち、そう言った瞬間、 あたりは静まり返った。
心臓の音が、うるさいくらいだった。 でも、俺は言葉を止めなかった。
要人の過去のこと。 女性への恐怖、 そしてそれがどうして起きたのか。
フラッシュバックに苦しみ、 パニックになったこと。 その結果、誤解を招いたことも。
潤が涙を堪えてるのが視界の隅に見えた。 要人はずっと俯いて、俺の声を聞いていた。
でも、伝えなきゃいけなかったんだ。
凌太
そう言い切った時、 自分でも驚くほど声が震えていた。
俺の話が終わったあと、しばらく沈黙が続いて――
女子生徒
クラスの人たち
クラスの人たち
優しい声が、少しずつ広がっていった。
俺は、そのとき初めてほっと息を吐いた。
そしてそっと潤を見たら、 泣きそうな顔で俺に微笑んでいた。
潤
口には出さなかったけど、 その目がそう言ってた。
帰り道
3人で並んで歩いた。
要人はまだ不安そうだったけど、 潤がそっと手を握ってるのが見えた。
凌太
凌太
潤
潤がちょっと照れた顔をして笑った。
要人も、少しだけ肩の力が抜けたみたいで。 俺はそれだけで、今日一日が報われた気がした。
友達って、たぶんこういうことだと思う。 困ったとき、苦しいとき、 ちゃんと真ん中に立って、支えてやる。 そして、少しでも光が見えるように 背中を押してやる。
俺は、潤と要人のそんな光に なれていたなら嬉しい。
凌太
心の中でそう呟きながら、 俺はその背中を見送った。
主です。
凌太
要人
主です。
凌太
主です。
要人
主です。
主です。