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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

アスナ

僕、昔から魔法少女とか好きだったんだよね。可愛くて、だけどみんな強くてさ。

アスナ

悪者を倒して、世界を守って……そんな存在に憧れてた。

アスナ

だから、魔法使いになれたのは嬉しかったんだ。

アスナ

こんな風にそれっぽい服着て、髪も頑張って伸ばしたんだよ。

アスナ

けど実際闇属性は、武器も浄化技も出せない。敵の闇を倒せないんだよね。

アスナ

でも、それでも何か世界に役に立てることがあるんじゃないかって……最初はそう思ってたんだけどさ。

アスナ

……そもそもうちがやってることって、敵キャラと同じじゃん?

アスナ

即破綻しちゃったんだよね。自分の中の理想と、現実が。

アスナ

世界を守るべき魔法使いがその世界を壊そうとして、今は世界を守ろうとしてる“憧れ”と敵対してる。

アスナ

……もうわけ分かんないよ、この世界。

アスナ

何が正しいのか、僕はどうするべきなのか、何も分かんなくってさ……

百瀬

…………

自分の膝に顔を埋めて、とうとう嗚咽を 漏らしながら、苦しそうに話すアスナ

アスナ

っ……はぁ、あはは、こんなのあんたに話しても意味なかったね。

アスナ

でも、ちょっとは暇潰しに……

百瀬

そんなことない

アスナ

っ……?

百瀬

意味がないわけない。

百瀬

……じゃなかったら、わざわざ敵の俺に、そんな顔してまで話そうとしないだろ

背を向けられていても、何となく分かる

アスナ

っ……!

アスナ

……なるほどね、道理であんたらが世界救えたわけだ……

百瀬

なんか言いたいことあんじゃねぇの? 言われなきゃ分からない

アスナ

絶対今心読んだくせに。よく言うよ……。

アスナ

…………。

アスナ

……もし、もしほんとに、敵の僕に手差し伸べてくれるんだったらさ……

 

アスナ

っ……お願い、助けて……

こちらを振り返った“彼”の顔は、 やっぱり涙でぐしゃぐしゃなっていた

“──もし、この世界にも 本当にヒーローが存在するなら”

“──僕らみたいな、どうしようもない 悪役のことも助けてくれるのかな”

百瀬

…………。

百瀬

……絶対助けてやる、俺達で。

百瀬

だからそんな顔すんな。せっかくカワイくしてんのに台無しだぞ

アスナ

なっ……るっさい、茶化すな! 頭も撫でんなっ! 僕は男だって──

百瀬

そんなんどーでもいいだろ。……ただアスナ、これだけ言わせて

アスナ

はぁ? ……何?

檻越しに、改めてアスナと向き合う

百瀬

“ヒーロー”も“ヒロイン”も、探すもんじゃなくて、自分から成るもん。

百瀬

俺達がそうだったみたいに、お前にだって、なろうと思えば成れんだよ

アスナ

っ……!!

アスナ

……マジで言ってんの、それ?

百瀬

マジだよ。……まぁ、在り来りな言葉ではあるけどさ。

百瀬

でも俺は、仲間を見て、自分も成ってみて分かった。あながち間違いじゃないなって。

百瀬

それこそ、お前は好きなように生きりゃいいんだよ。話聞く限りだけど、それなら得意だろ?

百瀬

その為に必要な勇気は、もうとっくに持ってんだから

アスナ

──っ!!

アスナ

…………それも、マジで言ってる?

百瀬

マジで言ってる

アスナ

……分かった。

アスナ

この檻、魔法は使えないけど魔法界に行けるようにはなってんだ。それにあんた、スマホ持ってるでしょ?

百瀬

え? お、おう

アスナ

私は他6人解放しに行く。チャンス与えるだけだから上手く行くかはあの人ら次第だけど、あんたがそこまで言うなら大丈夫でしょ

百瀬

いや、ちょっ待って、話ついていけない。え、もしかしてみんなも捕まってんの??

アスナ

そうだけど?

百瀬

(んな当たり前みたいなテンションで言われても……)

つい話を遮って口に出そうになった 言葉を、慌てて飲み込む

アスナ

はあ……時間ないから、あの人らの状況簡潔に説明するよ

 

 

 

百瀬

は……??

淡々と説明されたことを、 どうにか脳を回して処理する

俺以外のみんなも捕まってて、 天月君に至っては、実験……?

アスナ

そう言うわけだから、とにかくあの人らを逃げられるようにして、連絡もできるようにする。

アスナ

だから早く逃げて、この状況をオルコットって人に伝えて。

アスナ

こっちの計画だと、もう魔法界奪還に向けて本格的に動き出してる。そっちの時間も残されてない

百瀬

わ、分かった

つまり、アスナが色々どうにかして くれるから、俺は最終的に魔法界で みんなと合流しろってことだ

百瀬

じゃあ、みんなのこと頼んだ

アスナ

ん。……あ、最後に一個だけ

去り際、一度こちらを振り向いたアスナ

アスナ

その……色々ありがと。

アスナ

それだけだから。ヘマして死ぬなよ!

百瀬

ふっ、おう!

< 7つの音色(7)

nqrse

nqrse

みんな魔法界集合!!

 

まふまふ

まふまふ

分かった!

そらる

すぐ行く

うらた

了解

坂田

りょ!

96猫

おっけ!

 

 

 

???

天月

まってる

 

〜真冬 side〜

なるせ君から来ていたメッセージに みんなで返信をして、すぐに 魔法空間から魔法界へと来る

彼方

とにかく一旦中心部行ってみるか。多分なるせもそこにいるだろ

真冬

そうですね、そしたら急いで……

……? ベルどした?

不意に96ちゃんが、 ベルに向かってそう言う

言われてみれば確かに、 現世にいたさっきと比べて、 様子が少しおかしい……?

ベル

っ……テレポートの方が早いでしょ、みんなまた俺に捕まって

おう……いやでも、ほんとに大丈夫か……?

ベル

っ結界に力吸われて眠いだけ。いいから早く行くよ

再びベルに捕まって、 5人で中心部へと飛ぶ

百瀬

……あっ、みんな!!

真冬

なるせ君!

すると、すぐになるせ君が見つかった

さっきまで話していたのか、ノアさんも 一緒にいて、こちらに駆け寄ってくる

百瀬

先に事の経緯を色々伝えといた。けどよかった、全員無事で……。

百瀬

……ってあれ、天月君なんか小さくね……?

あ、ううん、こっちはつっきーやなくてベルなんよ。ちょっと色々あって……

真冬

(……ん? “小さい”……?)

なるせ君の言葉に、少し違和感を覚える

確かに今の状態のベルは、普段の 天ちゃんより僅かに幼くは見えるけど、 小さいって思うほどじゃないような……

……ん? ちょっ、おい。マジでベル小さくなってね?

え? ……あれマジや、なんか背縮んどる!

ベル

っ……

彼方

お前……まさか結界で……?

ノア

……彼は今、本来いるべき“魔力の器”、つまりショウタから出ている状態だね。

ノア

だから恐らく、結界による魔力吸収の影響を過度に受けてしまっているんだ。

ノア

普段は短時間の出現だったけれど、このまま長い間吸収され続けていれば……。

ノア

……最悪の場合、彼の人格が消えることになるかもしれない

シャノン

なっ……!?

百瀬

じ、人格が消えるって……!!

ノアさんの言葉に、ほぼ全員が戦慄する

真冬

ちょっとベル、何で黙ってたの!?

ベル

っ俺のことより、ショウタとみんなの方が大事。

ベル

それに、別に俺は魔力だし、完全に消えるわけじゃないでしょ

僕らの焦りとは裏腹に、 当の本人はまるで当たり前かのように、 平然とそう告げてくる

真冬

(でもそんなことになったら、天ちゃんがどう思うか……!!)

彼方

バカ、そういう問題じゃないだろ!! とにかく早くあいつのこと見つけないと……!!

ベル

…………。

ベル

……一応ショウタなら、魔法界のどこかにいるよ。少しだけ気配を感じる

シャノン

ノア様、中心部には来てませんでした!?

ノア

……いや、探知できない。ショウタの方も、魔力がほとんど残されていないのかもしれないな……

シャノン

そんな……!!

だ、だったらもうダメ元で手分けして探すか!?

百瀬

っいや、待って……っ……空間……?

……? なるせ……?

百瀬

いやでも、さっき魔法界って……。

百瀬

魔法空間と同じ見た目で、魔法界内の…………

何故か、険しい顔で何かを ぶつぶつと呟くなるせ君

真冬

それってもしかして、あの鍵で開けた先の……?

百瀬

あっ、そうだ、そこだ!! 予言書あった建物!!

百瀬

そこに天月君がいるはず!!

魔法使いは何を唱う? -紫苑の叛逆者-

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アスナは魔法少女とかに憧れたから 魔法使いになれたのが嬉しかった、でも なったのは固有武器も無い闇使い…そして 世界を救うわけじゃない悪役…だから救おうとしてるなるせちゃん達に憧れてたんだね… みんな…アスナのことも助けてあげて… そしてアスナの助けがあってあまちゃん意外は 魔法界に合流!したけどベルがっ! ベルが消えちゃったらあまちゃんは… あまちゃんも大丈夫なのか? 続き楽しみにしてます!

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