TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
21gを笑う天使

一覧ページ

「21gを笑う天使」のメインビジュアル

21gを笑う天使

69 - 一石二鳥

♥

39

2023年12月11日

シェアするシェアする
報告する

筋弛緩剤...?

桃音

君も別のプログラムで取り扱ったことあると思うよ

桃音

飲んだ人間の筋力を低下させる目的で作られた薬で

そんなのは知ってるッ‼︎どうして私にそんな物を飲ませたッ⁉︎

桃音

キーン...だって、もういいかなーって

は...?もういい?

桃音

私はね、君の死に対する考え方が間違ってるとは思わないんだ

桃音

どんな死生観を持とうが、それはその人が持つ大切なものだからね

桃音

ただ...その思想を武器として振り回さないでほしい訳よ

桃音

ほら、私って平和主義者だからさ‼︎そういうことされると、参っちゃうんだよねー

桃音

で、手っ取り早く落ち着かせる方法が“コレ”って訳さ

そう言って彼女が見せてきたのは チカチカ光る蛍光灯に 照らされた一本のナイフだった。

そ、それは...

桃音

ねぇ、涙ちゃん。あーそーぼ♡

玄関

はぁ...はぁ...早くしないと...‼︎

あの後、彼女が1分の カウントダウンを始めた。

その隙に私は急いで 玄関まで降りてきた。

...は?何で?どうして⁉︎

先程まで開いていた扉が 開かなくなっていたのだ。 恐らく鍵を閉められたのだろう。

ふざけるな...‼︎

と、その時だった。 2階から彼女の声が聞こえた。

「涙ちゃーん?どこかなー?」

その声は次第に近くなってきた。

クソッ‼︎

私は急いでその場を離れ 別の階段を駆け上がった。

3階 美術室

はぁ...はぁ...

ここなら...

「どこかなー?」

チッ‼︎

4階 パソコン室

....

「いるんでしょー?」

「ねぇーってばー」

「...いないの?」

(早くどっか行け‼︎)

すると私の願いが届いたのか さっきまで感じていた 気配は無くなっていった。

...いなくなった?

ダンッ‼︎ダンッ‼︎

「あれれー?声が 聞こえるんだけどー?」

っ‼︎

彼女はドアを力強く叩き 私を追い詰めた。

(一か八か...)

私は転がっている椅子を 手に取ると一呼吸を置き 一気に椅子を盾に 部屋を飛び出した。

「うわあ⁉︎何事⁉︎」

そんな声が聞こえたが 私は一切振り返らずに その場を後にした。

屋上

はぁ...はぁ...

私はパソコン室から 持ってきた椅子を横に置くと 屋上の床へ座り込んだ。

クソ...薬が...

薬のせいで筋肉が 言うことを聞かない。 そのため、もう動くことが できなかった。

桃音

あっ、やっぱりここにいたんだー‼︎

やっぱり...だと...?

桃音

人は基本逃げる時って出口を目指すでしょ?

桃音

でもその出口が封鎖されていたらどうか?

桃音

周囲に消火器や何か硬い物があれば出口を壊すという選択肢もあるだろうけど、ここは廃校だ

桃音

出口を壊せないと分かったら上に行くだろう

桃音

普通の人はどうにかして出口を壊すっていう判断に至ると思うけどね

桃音

どこかの教室から椅子や机を持ってきて投げつける...とか?

桃音

でも君は筋弛緩剤を飲んだから、筋力が失われる前に遠くへ逃げる必要がある...と考えてしまった

桃音

その結果少しずつ、上へ上へと登っていき最終的に屋上へ着いた

....

桃音

まあ、もう終わりにしようよ

ふざけるなと彼女へ 言おうとフェンスを掴んで 立ちあがろうとした時だった。

ガシャンッ

は?

桃音

あ、そういえば言うの忘れてた‼︎

桃音

桃音

屋上のフェンス、老朽化してるから掴むと外れちゃうよ?

なん...

私の体が外れたフェンスと 共にゆっくりと傾いていった。

嫌だ...

起き上がろうにも動けない。

嫌だ嫌だ嫌だ

次第に体重によって 私の体とフェンスが外へ 倒れてい

バキンッ‼︎

い...や...

喋る筋力もなくなってきた。

た...け...て...

ドパァンッ!!

桃音

あーあ、案外あっけないもんだねー

桃音

桃音

ね、刹那?

刹那

人間の死なんてそんなものです

刹那

しかし、本当にこれだけで人は追い詰められるのですね...

桃音

まあね、あんな“苦い水”だけで人は狂っちゃうんだよ

桃音

思い込みってやつだね‼︎

刹那

あの水の成分は何だったのですか?

桃音

あー、あれは“にがりと少量の水”だよ

桃音

あと、ありがとね‼︎“スピーカーとかドア叩いてくれたり”さ

刹那

彼女の潜伏先へスピーカーを鳴らしたり、ドアを叩くことで殺されることへの恐怖を演出する...でしたか?

桃音

そう、それで屋上へ誘導する...と

桃音

結局、体が動かないのも単に動き回りすぎて疲れてるだけだし

刹那

あのフェンスは1人で切り込みを入れたのですか?

桃音

いや?切り込みは入れてないよ?

刹那

では何故、あのフェンスは壊れたのですか?

桃音

切り込みは入れてないけど、元々“壊れてるのを知っていた”からね

桃音

だから屋上までの道は私の提案だけど、トドメを刺したのは私じゃなくて単なる老朽化だったってこと

刹那

刹那

“プロバビリティの犯罪”ですか

桃音

その通り‼︎自分は手を下さないけど、壊れたフェンスが勝手に手を下してくれたってこと‼︎

桃音

便利だよねー

刹那

...あなたの方が私より残酷なのかもしれませんね

桃音

ん?そうかな?

刹那

まあ、これであなたの過去の清算と茜様への妨害もなくなりましたね

桃音

これぞ一石二鳥だ‼︎

桃音

じゃあ帰ろう‼︎私達の跡は消してさ‼︎

刹那

ご遺体はどうなさいますか?

桃音

んー...放置‼︎いずれ見つかるでしょ‼︎

刹那

かしこまりました

刹那

(あなたの残虐性は自覚がないからこそ恐ろしい...というのは本人には黙っておきましょう)

この作品はいかがでしたか?

39

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚