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最初で最後の『ありがとう』

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最初で最後の『ありがとう』

1 - 最初で最後の『ありがとう』

♥

2,153

2019年08月18日

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人生の最後を告げられたあの日

君は変わらず花を届けてくれたよね。

私の大好きな花を届けてくれて

ありがとう。

奏(かな)

千咲ちゃん。

個室のドアから少しだけ見える君の顔

モジモジしながら私の名前を呼ぶ。

千咲(ちさき)

奏!

私は笑顔で手招きをする。

奏(かな)

……!!

奏(かな)

千咲ちゃん!

勢いよく私に飛びついてくる。

千咲(ちさき)

よしよし……。

奏(かな)

千咲ちゃん!このお花あげる!

千咲(ちさき)

今日も持ってきてくれたの!?

奏(かな)

えへへ〜

キミは照れ隠しがバレないように手を口元にあてる

バレバレだけど……。

千咲(ちさき)

花瓶にいれよ!

千咲(ちさき)

新しく買った花瓶があるんだ〜♪

奏(かな)

え!気になる!

千咲(ちさき)

えっとね〜………

と、ベッドから少し離れた棚に手を伸ばす

奏(かな)

千咲ちゃん危ないっ!!

私はバランスを崩し棚に激突しかけた……。

千咲(ちさき)

え、えへへ……

私は不慮の事故により下半身は全く動かない。

最初は信じられなかった。

部活では将来を期待されていたし

成績だって悪くはなかった。

あの日も…… いつも通り部活から家へと帰宅していた。

奏(かな)

千咲ちゃん?

千咲(ちさき)

あ、奏……えと、ごめんね?

私は無理やり笑顔を作る。

奏(かな)

無理して笑わなくていいよ。

奏(かな)

ビックリしたよ〜……。

奏(かな)

僕が居る時は頼って?

千咲(ちさき)

ごめんね………ありがとう。

奏は小さい頃からの幼馴染。

低身長、ショタボで有名とか噂されてたなぁ……。

奏(かな)

そう言えば新しい花瓶は棚の上に袋の中?

千咲(ちさき)

あ、うん!

奏(かな)

了解!

キミは椅子から立ち

袋を取り、新しい花瓶を見て__

奏(かな)

可愛い。

と、笑顔で言ってくれた。

千咲(ちさき)

でしょ?……ってお母さんにお願いしただけなんだけど

奏(かな)

千咲ちゃん暇じゃないの?

千咲(ちさき)

へ?

奏(かな)

ほら、ここ何もないじゃん?

千咲(ちさき)

奏がくれた花が沢山あるから退屈はしないかな

奏(かな)

そう言ってもらえて凄く嬉しい

千咲(ちさき)

奏は毎日大変じゃない?

奏(かな)

ううん。千咲ちゃんのこと考えてるとお花選びも楽しく感じちゃった

キミは笑いながら少し舌を出して

可愛らしく微笑んだ。

千咲(ちさき)

そっか………よかった。

奏(かな)

僕そろそろ帰らないと……。

千咲(ちさき)

弟くん達のお迎えか!

奏(かな)

あはは………ごめんね

千咲(ちさき)

ううん!またいつでも待ってるね。

奏(かな)

うん。千咲ちゃんまたね!

千咲(ちさき)

またね。

手を振り、キミがこの空間から居なくなるまで

笑顔で見送った。

愛おしい君との最後の会話。

涙は流さないって決めてたのになぁ

千咲(ちさき)

ウゥ………ヒック………

千咲(ちさき)

………ウゥ……………。

ごめんね……奏。

ありがとう。

看護師

千咲さん〜

看護師

ご飯ですよ〜

看護師さんが夜ご飯を届けに来た。

もう、

そのご飯も食べれないんだ………。

看護師

千咲さん?

看護師は千咲に近寄り

ナースコールを押す。

看護師

千咲ちゃんしっかりして!!

看護師

目を覚まして!

看護師

千咲ちゃん!!

千咲ちゃん!

キミが余命宣告されていたなんて知らなかった

下半身が全く動かないのは不慮の事故じゃないの?

病気のせいだなんて知らなかった………。

僕は………なにも気づけなかった……。

昨日、退屈しないって言ったのは

皆に手紙を書いていたから?

奏(かな)

千咲………ちゃん……。

奏へ

毎日、私の好きな花をくれてありがとう。

最初で最後のありがとう。

奏(かな)

千咲………

最初で最後に君に

伝えるよ

ありがとう。

大好きだよ。

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コメント

34

ユーザー

泣ける... そしてお久しぶり〜。 なっちゃん!

ユーザー

真顔なのに笑ってる( ˙-˙ ) ウケる( ˙-˙ )ww あれやね、君の名はやね。

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