呪い屋さん

本当は体調が悪いとか嘘

本当はお母さんとゆうまくんをまとめて 消すため

だって、手間は少ない方がいいでしょう？

なんでみゆが？

昨日、橋から落として 死んだんじゃないの？

なんで生きてるどころか無傷なの？

もうすぐお別れだしね

｢みゆ、この間はこめんなさい｣

｢ちゃんと謝りたい、ゆうまくんにも｣

｢2人で屋上に来て欲しい｣

屋上に来る前 ここあはみゆとゆうまを 屋上へと誘った

そう思いながらも 屋上へと来たみゆとゆうま

そして

ここあは屋上の入口へと戻り

ｶﾞﾁｬﾝ

鍵を壊した

ここあはポケットから支配者のブローチを 取り出し握りしめる

……ずる

3人の脚が勝手に動き出す

フェンスに近づいていく

3人の叫びも虚しく

遂にフェンスへとぶつかる

そして3人はフェンスを掴み 登り始める

泣き叫ぶ3人を見つめ

ブローチを握りながら笑うここあ

みゆの身体がフェンスを乗り越えようと したその時

凛とした声が屋上に響く

ここあの目の前に着地する留宇

突然のことに驚き握る手から ブローチがこぼれる

留宇はすかさず 落ちるブローチを

空高く蹴りあげた

留宇の靴が ここあの顔ギリギリをかすめる

ｶﾗｰｰｰｰﾝ

パキッ

ブローチは地面に叩きつけられると

留宇はそれを踏み潰した

ブローチは粉々に割れ

青い砂のような物が空気に熔け 消えていく

ここあが悲鳴のような声を上げる

と同時にブローチの呪いが消え 操られていた3人は地面に倒れ込む

やっと屋上にたどり着いた春希は そのまま3人に駆け寄り介抱する

突然現れた2人の少年に その場にいる全員が混乱していた

そういえばここあが そんな名前を口にしていた

ゆうまが春希に掴みかかる

ゆうまは黙って春希から手を離す

ここあはその場に座り込み 酷く取り乱していた

留宇はそんな彼女に歩み寄る

留宇は小さくため息を吐く

指先に光を集めてみせると ここあはﾋﾞｸﾘと肩をふるわせる

指先の光を消すと 留宇はニコリと笑ってみせる

留宇は3人に目をやる

みゆと目が合う

ここあは泣き崩れる

そんな彼女に春希は歩み寄り

ここあの前にしゃがむ

復讐の無意味さ

その無意味な復讐をやり遂げた分際で 何を言っているのだろう？

春希は黙り込む

気がつくと春希の隣に 留宇もしゃがんでいた

飛び込んできた時とは違う 寄り添うような優しい声で語りかける

ここあは涙を拭い、3人をみる

｢誰が正義で、誰が悪か｣

｢それは見る視点によって 180度変わるものや｣

｢マイナスヒーロー｣ ～完～

呪い屋さんはまだまだ続く！