テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

回る炎の剣（チャットノベル版）

第3話 - 敵をあぶりだせ！

2023年08月21日

#ホラー

#ファンタジー

#一次創作

#テノコン2023夏

#ミステリー

重田💋（omoda）

午後の授業

御上玲司

ああ、今日は授業の途中で避難訓練がある。ベルがなったら速やかに下に降り、体育館に集合してくれ

生徒たち

避難訓練かぁ……

生徒たち

面倒くさいな……

光

（みんな不満そうだな……）

それも無理はないと思う

今は教師や生徒が次々と死ぬという異常事態が起きている

避難訓練どころではないというのが正直な気持ちだろう

ジリリリリリリリ……

御上玲司

ベルが鳴ったな。じゃあ行って来い

生徒たち

先生が誘導するんじゃないんですか？

御上玲司

俺はこの学校に来たばかりでな。君らの方が校舎について詳しいだろ？

生徒たち

えぇ……

御上玲司

ほらいったいった

生徒Ａ

あれ……？

生徒Ｂ

どうした？

生徒Ａ

いや、防火シャッターが降りてるんだよ

生徒Ｂ

避難訓練なんだから、シャッターくらい降りてるだろ

生徒Ａ

いや、それが、開かないんだよ、シャッターが

生徒Ｂ

えっ

生徒たち

なんだ、どうなってんだ！？

誘導の先生

なんだ、どうしたんだ？

生徒Ａ

先生、それがシャッターが開かなくて、通れないんです

生徒Ｂ

あっ、け、煙だ！

生徒たち

なんだこれ、訓練じゃないのか！？

誘導の先生

みんな落ち着け！とにかく外へ出ろ！！

生徒たち

外に出ろったって、どうやって……

生徒Ｂ

ゴホゴホ、うぅ……ん

生徒Ａ

倒れた！　おい、しっかりしろ！大丈夫か！？

生徒たち

なんだ、なんなんだ！

みんなが大混乱している

だけど大丈夫

これこそが、ゾンビをあぶりだす作戦として僕が先生に提案したものなのだ

ゾンビは眠らない

だったら、睡眠ガスをばらまいたあと、立っていられるのは

ゾンビと、あらかじめ準備していた僕達だけだ

普通ならこんなことをしたら大事件だけど

先生が属している組織は、こんな大規模な出来事でも隠蔽できるらしい

僕は、隠れて先生から渡されていたガスマスクをつけ、様子をうかがっていた

光

……よし、みんな眠ったな

ということは、少なくとも、この中にゾンビはいないわけだ

それを確認すると、僕は遠回りをして体育館を目指した

体育館に着くと、すでに何人かの人影があった

そこにいたのは、先生と外国人の講師、佐々木絵美、それにもう一人女子生徒

それにもう一人女子生徒がいた。確か彼女は、佐々木の友達で佐藤里香という名前だったはずだ

ロバート・ホフマン

佐藤さん、無事だったのデスね

佐藤里香

ええ。でも、私以外の人は皆倒れていて……

ロバート・ホフマン

そうデスね……。でもあなただけでも助かったのはよかったデス。さあ、早くこっちへ

ロバート・ホフマン

みなサン、よく聞いてくだサイ。今の状況はとても危険です。もし外に出るなら、必ず二人以上で行動してクダさい

佐藤里香

外に出なきゃだめですか？　私、怖くて動けなんですけど……

ロバート・ホフマン

なら、ここに残っていてもいいですよ。ただし、ここにいる限り安全だという保証はありませんけどネ

佐藤里香

そんな……

佐々木絵美

あの、先生。私もここに残ります

ロバート・ホフマン

そうですか……。では、お二人はここで仲良くしていてくだサイ

ロバート・ホフマン

なに、大丈夫デス。私達が安全を確認してきますカラ

ロバート・ホフマン

いいデスね。絶対に一人にならないように

光

分かっています

御上玲司

その前に確認しておきたいことがある

ロバート・ホフマン

Oh,　なんデスか？

御上玲司

俺は、みんなが倒れたのはあの煙が原因じゃないかと思っている

御上玲司

そこで聞いておきたい。あんたたちは、なぜ無事だった？

光

それは……

僕は先生と打ち合わせて、答えを用意していた

光

僕は、教室にスマホを忘れちゃって。途中で教室に引き返したんです

光

たぶん、それで煙を吸わずに済んだんじゃないかって

御上玲司

なるほどな……。確かに、そういうことなら納得できる

御上玲司

避難訓練中に勝手に引き返したのはちょっとどうかと思うがな

光

そういう先生こそ、どうして平気なんですか？

御上玲司

ああ……、実はな、俺は煙を見ておかしいと思って、下まで降りずに教室で職員室に電話していたんだ

御上玲司

今日の避難訓練で煙を使うなんて聞いていなかったからな。何か非常事態でもあったのか、確認したかったんだ

ここまでは先生との打ち合わせ通りだ。問題は、ここからだ

佐々木、佐藤、外国人講師……この三人の中に、ゾンビや黒魔術師が紛れ込んでいるのだろうか？

御上玲司

それで、佐々木、お前は？

佐々木絵美

私は……

佐々木絵美

私は、ベルが鳴ったとき、部室にいました

佐々木絵美

そこに、拓海のユニホームとか、置いてあるから……

御上玲司

加藤の？

佐々木絵美

はい。拓海はサッカー部に入っていて、練習着をいつもロッカーに入れてあったから

佐々木絵美

……授業さぼってごめんなさい

御上玲司

まあ、それはいい

御上玲司

次、ミスター・ロバートはどうなんだ

ロバート・ホフマン

ワタシは、非常勤ですから、避難訓練への参加義務はありません

ロバート・ホフマン

デモ、午後の授業があったから、学校に来ました

ロバート・ホフマン

もう避難訓練が終ったのかどうか、確認したくて、体育館を覗いたのデス

ロバート・ホフマン

その途中で、生徒タチの異常に気付いたのデス

御上玲司

ふむ……。佐藤はどうだ？

佐藤里香

私も……部室にいたわ。文芸部のね

御上玲司

本当か？

佐藤里香

うん。私、文芸部の部長だし。文化祭の準備で、部員の書いた原稿をまとめていたの

佐藤里香

だから、みんなと同じように体育館に行かなかったの

御上玲司

そうか……。分かった

僕は前日の先生とのやり取りを思い出していた

御上玲司

ただ、この作戦にはいくつか欠点がある

御上玲司

なるほど、睡眠ガスで人間は眠り、ゾンビは残る

御上玲司

だが、残ったものの中には、たまたまガスを吸わなかった人間も混ざっているかもしれない

御上玲司

それから、ゾンビはともかく、黒魔術師は姿を現すとは限らない

御上玲司

異変に気づいて、姿を隠して様子をうかがっているかもしれないからな

光

自分で提案しといてあれだけど、ゾンビが寝たふりする、ってことはないの？

御上玲司

おそらくそこまで高度な判断は出来ないだろう

御上玲司

黒魔術師が出てきて直接指示でもしない限りな

光

そうなると、姿を現すのは、

光

偶然助かった人間

光

ゾンビ

光

黒魔術師で

光

全員ゾンビの可能性も、逆に全員偶然助かった人間の可能性もある、ということだね

御上玲司

そうなるな

光

なら先生、学校に潜んでいるゾンビの総数は暴けるよね

光

少なくとも、寝なかった人間よりゾンビが多いことはないはずだ

御上玲司

そうだな

御上玲司

敵の総数が分るのは大きい。まあやってみる価値はあるだろう

そして今、先生と僕以外でこの場に現われたのは

佐々木絵美

佐藤里香

外国人講師のロバート・ホフマン

の3人だ。この中に黒魔術師はいるのだろうか？

普通に考えれば、一番怪しいのは外国人講師のロバート・ホフマン氏だ

先生の話からすると、黒魔術師は日本人じゃない可能性があるから

佐々木絵美や佐藤里香も怪しい

二人はたまたまガスに巻き込まれない場所にいたといった

そんな偶然、あるだろうか？

もし二人のうちどちらかが、あるいは両方がゾンビだとしたら……

もう少し情報が欲しい

光

ねえ、佐藤さんは文化祭の準備で、部員の書いた原稿をまとめていたって言ったよね

光

……いつも授業をさぼってそんなことしているの？

佐藤里香

な、何よ、急に。……文化祭のときだけよ

先生の前でさぼった話を深堀されて焦っている

その姿は演技には見えない

光

じゃあさ、そのまとめた原稿を見せてくれるかな？

佐藤里香

えっ！？……なんで私がそんなことしなくちゃいけないわけ？

光

いいじゃないか。見せてくれても減るもんじゃないだろう

佐藤里香

やだよ！どうしても見たいなら、勝手に見れば！

原稿を見れば、証言の証拠になる。逆に見せないのは怪しい

けれど、佐藤は自分が疑われているとは思っていない

そう考えると、これが自然な反応とも言える

光

勝手に見ていいんだね？

佐藤里香

もう、何よ、さっきから！

佐藤里香

どうせ文化祭で冊子を配るんだから、そのとき見ればいいじゃない！

光

確かにそうだ

ただ、それだと後から原稿を書くことも出来るから、「原稿を書いていた」という証言の証拠にはならない

とはいえ今はこれ以上探りを入れても無駄だろう。僕は質問する人を変えることにした

光

あのさ、佐々木さんの方は何か部活してるの？

佐々木絵美

ううん、私は何もやってないわ。運動も文化部も興味ないし……

光

そうなんだ。その……、サッカー部のマネージャーとかじゃないんだ？

サッカー部の話は拓海のことを思い出させるかもしれないから、できれば避けたい話題だった。でもいまは、そんなことを言っていられない

佐々木絵美

サッカーなんて興味ないわ。マネージャーなんか絶対イヤ

そうなのか。拓海の恋人だから、てっきりマネージャーでもしていると思っていたんだけど……

光

わかったよ。変なこと聞いてごめん

御上玲司

ミスター・ロバート、やはり女子生徒二人だけを残していくというのは、少し考え物です。この異常事態だ、警察や救急車を呼んで、我々はここで待っていましょう

ロバート・ホフマン

フム、まあそうですね。外に出ないですむなら、それがベストでしょう

先生が突然口を開いた。これは……もしかして先生には、誰が「敵」かわかった、ということなのだろうか？

先生はその場で通報して、しばらくすると警察やら救急隊員やらが押し寄せた。その混雑の中で、僕はそっと先生に聞いてみた

光

先生、わかったの？

御上玲司

ああ。少し確認してみたいこともあるが、だいたいな

続く

回る炎の剣（チャットノベル版）

作品ページ

次の話を読む

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

重田💋（omoda）

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

回る炎の剣（チャットノベル版）

第3話 - 敵をあぶりだせ！

作者の他の作品すべて見る

#ホラーの新着小説
一覧

関連するタグ

回る炎の剣（チャットノベル版）

第3話 - 敵をあぶりだせ！

作者の他の作品すべて見る

#ホラーの新着小説一覧

関連するタグ

#ホラーの新着小説
一覧