君になりたくて

森の中から光が全速力で出口へと向かってくる。

光は涙目になって息を整えていた。

森の中から優成が歩いてやってくる姿が見えた。

優成はどこか暗い表情でニコッと微笑んだ。

明里と光、雛は同じ部屋で布団を敷いて横になっていた。

明里は電気をカチッ…と消した。

布団の中に潜って目をつむる。

横から光の寝息が聞こえてきた。

雛が小さいボリュームで口を開ける。

明里は思わず大きな声を出してしまう。

すると雛はニコッと無邪気に微笑んだ。

2人はお互いに微笑みあった。

ー2日目 昼ー

バアンッ、バアンッ、バアンッ……

部員たちはサーブを打ち続けていた。

一颯のバアンッと勢いのあるサーブは相手コートに突き刺す。

明里は一颯にドリンクを手渡す。

すると凌がバレーボールを片手に一颯へ尋ねる。

一颯がそう言うと凌はキラキラと顔を輝かせた。

そう言い、凌はサーブ練に戻って行った。

優成は息を整えて腰を下ろして壁にもたれかかった。

光はタオルとドリンクを優成に手渡す。

優成はぷいっと光から目を逸らしてそれらを受け取る。

優成がおかしい！！

優成は3秒に1回は嫌味を挟んでくるのに……！

すると優成はその場に立ち上がり、光にドリンクを 無理やり渡した。

優成は何も言わず、立ち去ってしまった。