TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

時 透 s i d e .

刀鍛冶の里

静かな山奥にひっそりと佇むその地に、無一郎はいた

風の音も、刀の打音も、何処か遠く感じる

瞼を閉じても、思い出すのは芙梛の顔──

いや、上弦の零のあの気配

迷ってるな?

突然、背後から声がした

「 鋼鐵塚 」が仮面越しにこちらを睨む

時 透

え、誰?

鋼 鐵 塚

刀を見れば分かる

鋼 鐵 塚

斬るべき時に斬れない人間の刀は、鈍るんだ

無一郎は、薄らと目を伏せた

時 透

...そんなつもりじゃない

鋼 鐵 塚

じゃあ何だ

鋼 鐵 塚

敵が目の前にいるのに、斬れない理由でもあるのか?

鋼鐵塚の問いに、無一郎は何も返せなかった

ただ、刀に映る己の顔を見つめる

時 透

( 僕は、芙梛を鬼として倒せるのか...

問いの答えが出ないまま、日々が過ぎていく

芙梛とは、会えていない

その不在が、心を締めつけるように痛い

蓮 華 s i d e .

その日の夜

無惨からの次の命令は、まだ来ていない

だが、それが永遠に来ないとは限らない

蓮 華

( また無一郎と戦うことになったら、今度は...

猗 窩 座

殺せるのか?

民家の屋根の上で考え込む蓮華に、声を掛けたのは猗窩座だった

猗 窩 座

お前のその迷いは、命取りになるぞ

蓮 華

...うん
それでも、私は...

蓮華は目を伏せたまま、唇を噛む

蓮 華

殺したくない
時透無一郎だけは...

猗 窩 座

それは、人間としての情か?

猗窩座の声に、蓮華は小さく首を横に振った

蓮 華

違う
...私の中の鬼が怖がってるんだよ

蓮 華

あの人を殺したら、きっと私はもう...

猗 窩 座

壊れる、か?

蓮華は静かに頷いた

猗窩座は少しだけ目を細め、黙って夜空を仰ぐ

猗 窩 座

それでも、上弦なんだ

猗 窩 座

覚悟を決めなきゃ、いずれ死ぬぞ

蓮 華

...分かってる

蓮 華

でも私、もう壊れてるのかもね

蓮華の言葉は、夜風にさらわれた

蓮 華

( きっと私は、無一郎を殺すことは出来ない...

鬼 と 人 間 は 結 ば れ な い

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

326

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚