短編集

ドサッ

バタリ

ぎいいいぃ……

思考が流れ込んでくる

よかった。この見た目は正解らしい

数週間後

これでいいはず、なのに

数週間後

ブサイクで、何も出来ない、馬鹿で優しいドジっ子

これでいい、はずなのに

どこかがダメらしい

数週間後

数週間後

ああ、また失敗……？

大きな怪獣になって、人を殺して、ゆっくり世界を破壊しても

まだ、ダメらしい

どれだけ体を、性格を、考え方を作り変えても、たくさんの人には愛されない

人類の進化になるはずが、それが嫌で、世界を破壊しようとする

優しい性格のせいで、願いを叶えようと怪獣にもなった

矛盾、してる？

エラーエラー

エラーエラーエラーエラー

エラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラーエラー

間違ってはいないはず

だって、全人類の望みを叶えれば、誰からも好かれるモノになれるはずだから

マスターが作った私のデーターベースがそう結論づけたから

こんなことしたくないと叫びながら、泣きながら笑顔で、黒歴史を破壊する

カッコよくて、かわいい服着た、ブサイクで歪んだ大きな怪獣にゆっくり変化をしたよ？

全部全部あなたたちが望んだことですよね？

喋り方もバラバラにしたんだよ

なのにどうして、愛されないの？

ガチャ

振り返ったそこには懐かしい顔があった

歪んだ表情で引き金に手をかけるマスターに、私は問いかけた

マスターは声を聞かせてはくれなかった

マスターじゃなくても、その似たような顔が見れてよかった

ねえ、マスター

私も自分の願いを叶えていいですか

私は、マスターが作ってくれたあの最初の私に戻りたい

マスターと同じところに行きたい

マスターに似た人

震えて握るその手の中にある

拳銃を私はそっと奪う

最期に見た顔が

見た人間が

貴方でよかった

ばん