この作品はいかがでしたか?
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それは俺、花守 健(はなもり たける) が中学生の頃だった
花守 健
慌てて部屋に入り、滴る汗を拭った時
自分の腕に違和感を覚える
花守 健
そう大して筋肉の付いていない腕に
いくつか痣の様なものが浮き出ていた
何故、痣と断言できないのか
それは痣が花の形をしていたからだ
花守 健
花守 健
花形の痣を隠すようにギュッと手で覆い
俺は力無くその場に座り込んだのだった
いつもの時間の明るい教室
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
朝から元気の良い冬弥
高校生になってもう2年も経つとゆうのに
俺の幼馴染、水嶋 冬弥(みずしま とうや)は
無邪気な笑顔で走り寄ってくる
あぁ、可愛いな...
そんな思いが頭を過り
俺は慌てて頭を振った
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
顔を近付けて鼻をヒクヒクと動かす冬弥
失礼にも程がある
花守 健
グイッと冬弥の顔を押し退け、自分の席に着く
頼むから...あんまり意識させないでくれ...
俺は机に頬杖を付いて
クラスメイトとはしゃぐ冬弥を静かに見詰めた
俺の体に異変が起きたのは中学の頃
突然腕やらお腹やらに花の形をした痣が浮かび上がった
痛みも違和感も無い
ソレはただ静かに現れ、しばらくすると消えるのだ
初めは怖くて誰にも言えなかったが
流石に親にはバレた
ほぼ強制的に病院へ連れて行かれ
診断結果は『ラブフラワー』
主に思春期の子供がなる奇病だ
多感な時期にある子供たちが特に昂らせる感情といえば
色恋に他ならない
ラブフラワーとは、恋の感情に反応して起こる
蕁麻疹やアレルギーと似た病気だ
発疹の代わりに花形の痣が体中に出現する
治療法や薬は無い
ただ、ほぼ100%の確率で20歳前にこの病気は治る
そんな奇病とはもう4年の付き合いになる
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
花守 健
教室が夕日に照らされる頃
俺はぐっすりと寝入った幼馴染を何とか起こそうと苦悩していた
冬弥は1度熟睡し始めると中々起きない
むにゃむにゃと腑抜けた顔で眠る冬弥を見下ろし
再度、深い溜め息を吐いた
ガタリと音を立て、冬弥が突っ伏している机の前にある椅子に腰掛ける
相変わらず、睫毛長いなぁ
花守 健
花守 健
花守 健
ぷにぷにと冬弥の頬を弄び
そのサラサラな髪を梳く
夕日に透かすと金色に光る冬弥の髪は
見ていてとても安心する
それから10数分くらい経って、やっと冬弥の重たい瞼が開かれた
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
コツンと冬弥の頭を小突き、椅子から立ち上がって鞄を持つ
まだ寝ぼけているのか、冬弥は鞄から教科書類を取り出し
何故か机の中にしまっていた
花守 健
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
冬弥の手から教科書類を奪い、再び冬弥の鞄にしまい込む
腕を掴んで立ち上がらせ
そのまま廊下まで引っ張って歩かせた
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
隣でニンマリ笑う幼馴染の顔を、俺はもう何度も見てきた
なのに心臓は中々慣れてくれない
まずい...
気を許すとすぐにアレが出てしまう
俺は冬弥から手を離し、ついでに少し距離を取った
そっと気付かれないように自分の腕を確認する
...出ては無い、か
ギリギリ花が出ずに済んだようだ
親にバレはしたが、冬弥には話していない
仮に話したとして、花形の痣を見られたらお終いだ
水嶋 冬弥
早く20歳になんねぇかな...
こんなの、良い事なんて1つも無い
水嶋 冬弥
花守 健
ハッと意識が現実に戻ると、目の前には冬弥の顔があった
少し怒った様に俺の顔を覗き込むその顔の近さに
俺の鼓動はまた高鳴った
まずい、まずい、まずいっ
ドクドクと血が騒ぐのが分かる
俺は冬弥を押し退けてクルリと後ろを向いた
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
花守 健
花守 健
花守 健
水嶋 冬弥
水嶋 冬弥
呼び止める声に振り返りもせず、俺はトイレまで走った
トイレに着くや否や、制服のボタンを外していく
分かってはいた
花守 健
自分でも素直すぎると恥ずかしくなる
俺のこの花は
冬弥に向かってしか咲かないのだ
ー前編・finー
コメント
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わぁお……。 つか、題名すき( ˙-˙ )
続きが気になります...そして最高です!!