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コメント
4件
(*ノェノ)キャー
智矢の聞き間違い面白くて笑っちゃいました笑 続き楽しみに待ってます✨
もう、本出してください笑
何万分もの一の確率で
出会えたことに感謝するよ。
通り雨みたいに、一瞬にして
あたしは恋に堕ちてしまった。
……全部全部
運命だって思ってる。
◇
〜 電話ボックス 〜
◇
子供
子供
母親
母親
手を繋いで、閉店してしまっている
商店のさびれた屋根の下へ
走る様子。
女
男
ひとつのタオルを
二人で被るカップルはそのまま
アーケードの方へ走り去った。
周りが突然の雨に焦って
走り回る中、傘もささずに
一人で歩く。
こんなの…通り雨だし。
すぐ止むでしょ……
それに……あたしが濡れて
風邪をひいたからといって
心配する人なんて
いないんだから。
◇
石原 乃亜
あたしの予想は外れて
全然止む気配がない雨。
どうしよ……
今更どっか入っても
ずぶ濡れだし……
あぁ、何でこうなんだろ。
今日は本当に運が悪すぎる。
っていうか、あたしは何で…
何で恋に失敗すると
何もできなくなるの?
『もうお前飽きちゃった。
最近ヤらせてくんないし』
ほんの1時間前に
言われた言葉がこだまする。
何よ何よ何よ。
あたしはあんたの
欲求不満を解消するために
いるわけじゃないの!
そんなのこっちから
願い下げだから!
……何で言えなかったんだろ…
石原 乃亜
歩くたびに足元で水が跳ねる。
久しぶりのデートだから
新しい鞄買ったのに……
少し寒いけど
脚も出してみたのに……
雨に濡れてしまったら
そんな価値、どこにもなかった。
石原 乃亜
どーしよ、
本気で風邪ひいたかな……
……当たり前か。
こんな薄着で雨に打たれたら
よほどのバカじゃない限り
風邪ひくよ……
とりあえずどこか
人目につかないところで
雨宿りしようと思って
周りを見渡すと、一つの
電話ボックスが目に入った。
……電話ボックスなら、いっか。
この時代、公衆電話使う人なんて
そうそういないし。
__カタン。
雨音に消えるくらいの音量で
ドアが音をたてる。
中に入った瞬間、何故か
知らないけど安心して。
ひとり分しかない狭いスペースが
安心するのかもしれない。
ガラス貼りの箱の中から外を見る。
雨はまだ降り続いていて
歩く人は見つからない。
ここで良かったかも。
濡れないし、人目につかないし
泣いても外に音は漏れない。
石原 乃亜
涙が流れるたびに
頭が鈍く痛む。
思ったよりひどい熱かな……
はやく雨止まないかなぁ……
◇
ガラス越しに外を見ながら
いつの間にか眠りに落ちていた。
前田 智矢
前田 智矢
………ん…?
朦朧とした意識の中
男の声が聞こえた。
石原 乃亜
そうだ……
電話ボックスで寝ちゃったんだ。
今何時だろ……
そう思って周りを見渡して
電話ボックスにいるのが
あたしだけでないことに気付いた。
前田 智矢
前田 智矢
あたしが起きたことには
気づいてないみたい。
…寝たフリしとこっかな。
色々考えてるうちに
電話を切った男は
何もなかったように
受話器を置いた。
前田 智矢
…あたしの寝たフリを
見破りやがった。
っていうか、おねーさんって…
石原 乃亜
前田 智矢
前田 智矢
石原 乃亜
前田 智矢
そう言うと、じっと
あたしを見つめる男に
あたしは声をかけた。
石原 乃亜
前田 智矢
前田 智矢
前田 智矢
石原 乃亜
石原 乃亜
石原 乃亜
前田 智矢
前田 智矢
石原 乃亜
石原 乃亜
『昨日彼氏に会ったから』
続けられなかった。
こんな悲惨な女だって
思われたくないし。
前田 智矢
前田 智矢
石原 乃亜
前田 智矢
前田 智矢
前田 智矢
石原 乃亜
前田 智矢
前田 智矢
確かに言われてみれば
こんなびしょ濡れで
乗ろうとしたら
止められるに決まってる。
かと言って歩いて
帰れる距離ではなくて。
石原 乃亜
前田 智矢
前田 智矢
グイッと腕を引っ張られて
無理矢理立たされた。
長時間固いところで
寝ていたからか、身体中が痛い。
それを気にせずぐんぐんと
歩く男に声をかける。
石原 乃亜
前田 智矢
石原 乃亜
ペチッと肩を叩いて、歩き始めた。
◇
石原 乃亜