桃赤
あったかい眼差し2
桃兄
その日
少し薄暗くなってから家に帰ると
母さんが夕飯のオムライスをテーブルに並べていた
桃母
桃兄
桃母
桃兄
桃母
桃兄
こりゃあ振られたか!?
嬉しいような悲しいような....
桃母
するとガチャっとリビングのドアが開いて
弟が死にそうな顔で入ってきた
桃兄
桃
桃兄
桃
無言でいつもの席に座る
俺は自分のオムライスに
ケチャップをかけると桃に渡した
桃兄
桃
桃は虚ろな目で俺からケチャップを受け取る
ほんとにどうした!?
お前いつも細かいとこでありがとうなんて言わねぇだろ!!
告白したのか!?
そんで振られたんか!?
聞こうか聞くまいか迷っていると
ケチャップがスープの中に入っていくのが見えた
桃兄
桃
ボトボト
見事にコンソメスープが
トマトスープになる
桃兄
桃
どうしたお前ほんとに!?
らしくねーぞ!?
母さんも心配そうに見ている
結局桃はその日、夕飯はあまり食べなかった
夕飯を食べ終わってから
俺は風呂に入った
上がってきて頭を拭きながら水を飲んでいると
リビングのソファでテレビを見ている桃が見えた
そうっと近づいてみる
よくよく観察すると
テレビの方向には視線がいっているのだが
まるで魂が抜けたように
ボッーとしている
試しに俺はチャンネルをくるくる変えてみたり
顔の目の前でブンブン手を上下させてみた
でも俺がいるのにもまるで気づかないように
反応無し。
どした?
これはさすがに心配になってきたぞ?
桃兄
横で声をかけると
桃が一瞬ビクッとし
こちらを向いた
桃
生返事で答えてフラフラと壁へ向かっていく
桃兄
桃
いつものあの余裕はどうしたぁぁあ!
桃は乾いた笑いを漏らすと
今度はちゃんと風呂場に向かって行った
まぁそんな事はとうに忘れて
俺は自分の部屋でゲームに勤しんでいた
桃兄
夜の10時を回ったところで
ゲームをやめてそろそろ課題やらなきゃやべえな
なんて思いながらコントローラーを片付けていると
弱々しくドアが開いたもんだから
俺はお化けかと思って悲鳴をあげた
桃兄
桃
部屋に入ってくるなりフラフラと俺のベットに座る
桃兄
すると弟は我慢できなくなったように
嗚咽をこぼした
桃
桃兄
桃
桃兄
俺が驚きの声をあげると
嫌われた嫌われたなんて連呼しながら
俺の布団に顔を埋めた
おっふ、例のあの子と喧嘩でもしちゃったかな
でも嫌われたってなんだよ
途切れ途切れに話を聞いていると
つまりこういう事らしい
最初はほんとにいい感じで
その子も楽しそうに笑っていたらしい
私服可愛いね、と言ったら
桃くんも私服かっこいいと返されて
嬉しすぎて死ぬかと思ったとか....
違う違うこの情報はいらん!!
そんで今日は遊園地に行って
その後に色々買い物をしたのだという
問題はここから
そろそろ帰ろうかという雰囲気になった時
この間少し絡まれた高校生の不良達に
またちょっかいかけられたらしい
せっかく楽しんでいたのに最後の最後に邪魔されて
キレた桃はその不良を
顔の形が変わるくらいに返り討ちにしてやったら
って、こわぁ....
俺も桃にちょっかいかけないようにしよ
まあ、後ろに真っ青な顔のその子がいる訳で
その後凄く素っ気なかったというか
目もろくに合わせてくれなくなったらしい
桃兄
桃
う〜ん....
それはやばいかもしれん
俺だったら、そんな奴近づきたくねぇ
桃
俺の顔に不安になったのか
桃はまた泣きまくる
俺のふとぉぉおんんん!!
汚れるとか今言ったら悲しみで殺されるな
桃兄
桃
毛布がちぎれそうなくらい握られてる
俺の毛布....無事でいろよ
桃兄
桃
桃
桃は自分の部屋からスマホを持ってくると
涙でぐちゃぐちゃの顔でかけはじめた
.......
.......
待機音が静かな部屋に鳴り響く
俺はごくんと唾を飲み込んで見守っていた
桃
夜遅いが、その子はでたようだ
両手でしっかりスマホを耳に当てる弟
しばらく観察していると
不安げだった桃の顔が一瞬でユルユルになった
桃
そして凄く幸せそうに相槌をうつ
桃
スマホを耳から離し電話を切る
桃兄
すると桃はふにゃりと笑った
桃
桃兄
桃
桃
桃
桃
桃
桃の周りはデレデレと花が咲きそうだ
桃兄
めちゃくちゃ 愛されてんじゃねーかぁぁ!!!
心配した俺って....
あぁ、また悲しくなってきた....
桃はさっきまで泣いていたのが
嘘のように
上機嫌で部屋に戻って行った
あああああああぁぁぁくそぉおおお!!
とりあえずイケメンタヒね
今度は俺が泣く番だった
でも桃をあんだけ惚れさせた奴って....
1回見てみたいなぁ....
その機会がすぐやってくるなんて
この時の俺は思ってもみなかった
なにこの茶番www 桃くんにお兄ちゃんがいたらこんな感じなんだろうなってw
コメント
35件
ブクマ失礼します!
後半の所めっちゃ笑いましたwwwwwブクマ失礼します!
ブクマ失礼します!