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すまない、寧々から連絡が来てね

寧々から?!

あぁ、少し話してきてもいいかな

はい、後で話聞かせてください

プルルルルルル

誰もいない屋上前の踊り場に、着信音が響いた

もしもし、寧々、大丈夫かい?

寧々

『…うん、』

それで、話したいこと、とは

寧々

『…わたしね』

寧々

『類と別れたいの』

………え

寧々

『急でごめん、じゃあ』

っ!待って、寧々!!

ツーツー…

…別れ、たい…?

‥どうして

彰人

『そんな少女漫画のキャラみたいな人と付き合ったら、恨まれるんですよ、ありえないくらい』

…寧々は、そのせいでいじめられた

はは、寧々の判断が正解だよ

僕と付き合っていても、辛いだけじゃないか

顔は笑っているはずなのに、目から涙が溢れる

これでもう、寧々がいじめられることもないんだ

喜ばないと…いけないのに

…なんで、こんな顔にッ…生まれて

一番大切な人を守れない顔なんて…欲しく、なかっ、た…

しばらく涙が止まらなかった

目元の赤が直ったのを確認し、再び屋上に入る

ガチャッ

彰人

っ!神代センパイ!

どうだったんだ、寧々は…

別れ話だったよ

……え?

顔が引き攣っているのも分かる

無理やり口角をあげ、話を続ける

寧々は僕と別れて正解だったと思うよ、僕は寧々に辛い思いしかさせなかった

寧々にはもっと、いい人が

馬鹿類!!!!

司くんに怒鳴られ、我に帰る

僕は、…何を言って

寧々が本当に類と別れたくて別れたとでも言うのか?!?!

…それは

そうですよ!草薙さんと神代先輩が付き合っていたの、私は知らなかったですけど

今思えば、神代先輩の話をしているとかの草薙さん、すごく幸せそうな顔してて

彰人

オレも、草薙は廊下とか、校庭とかで神代センパイ見つけたら、なんつーか…ふわっとするんすよ、表情とか

そうだ!寧々はちゃんと、類が好きだ!!

きっと寧々だって、こんな結果望んでなんか

…そうだね、でも

寧々は僕との別れを選んだんだよ

それは、変えようのない事実なんだ

…っ

…今日は、もう帰るよ

調子が出る気がしない

彰人

か、神代センパイ!

おい、類!!!!

神代先輩!

3人の声を無視して、僕は屋上を出た

……

別れる…か

寧々とは、どのくらい続いたのかな

1年くらい…か

いや、1年もないな、記念日は来週だ

…もう君と、祝うこともないけれど、ね

その時、視界に緑がかった灰色や髪が見えた

腰くらいまである、長い癖毛

まるでアメジストのような、美しい紫の瞳

僕の目の前に、草薙寧々がいた

…寧々?

寧々

…ごめん、類

目の周りが赤い

泣き腫らしたような、僕の好きな、君の顔

…いや、僕も悪かったよ

辛い思いをたくさんさせてしまった

寧々には、もっといい人が見つかるよ、きっと

それこそ、人魚姫が一目惚れした王子様のような

寧々

…悲しく、ないの?

寧々

わたしは悲しかった、類と別れて

…振っておいて、それはないんじゃないかい?

寧々

わたしの王子様は、今も昔も類だったよ

なんだ、それは

自分から別れを切り出しておいて

まだ僕に、希望を持たせるのか

‥どうして言ってくれなかったんだ

寧々

…なにが

いじめられているんだろう、寧々

寧々

白石さんか東雲くんにでも聞いた?

否定しないんだね

寧々

ぅ…

ミスった…とでも思ったような顔をした

1人で悩むなと言っただろう、寧々

少しくらい、頼ってくれたっていいじゃないか

寂しい、と思ってしまった

寧々は、僕に助けを求めなかった

それほど僕が、頼りなかったんだろうか

寧々

…類に、迷惑かけたくなくて

別れ話の方が迷惑だよ

寧々

類、誕生日おめでとう

それ、今言うのかい?

寧々

はい、これプレゼント

寧々

…これで最後になると思うから

…それは、どうい、う

寧々は背伸びをし、僕の唇にキスをした

寧々

さよなら、類

寂しくて、悲しくて、それでも顔だけは笑顔の彼女が、僕に背を向けて歩き出す

っ!待ってくれ、寧々!!

寧々

次はもうちょっと、不細工に生まれてきてよね

細い路地に入り、寧々を見失った

…寧々……

…プレゼント

寧々からもらったプレゼントのことを思い出し、手のひらサイズの小さな包を開ける

そこには、ラムネと小さな手紙が入っていた

類へ この手紙を読んでいるということは、わたしはもう類の前にはいないでしょう…なんちゃって 少し、遠くへ行きます。少しじゃ、ないかもしれないけど お母さんにも、似たような内容の手紙を渡してあります。できれば、半年くらいは探さないでもらえると嬉しいです。 大好きだよ、類 寧々

なんだよ…それ

そんなの、ずるいじゃないか…

細い路地に入り、類を撒く

手紙、読んでくれたかな

もうすでに、限界だった

ふと、自分の腕をみる、かさぶたとあざだらけのわたしの腕は、すごく、弱々しく見えた

ポケットに入っていた、クラスメイトからの悪口の書かれた紙を破いて捨てる

寧々

…なんかアニメみたい

現実離れしたような自分の行動に、まだふわふわしている

寧々

大丈夫だよ

寧々

類にはきっと、いい人がいる

寧々

えむとか、可愛いし

寧々

司とか、類の演出に答えてくれるし

寧々

…でも、わがまま言うなら

寧々

ずっとわたしだけ、好きでいて欲しいなあ…

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