昼休み、談笑しながら昼食をとる生徒が多い中、ある1人の生徒は不機嫌そうにメモ帳とにらめっこしていた
矢羽
(思いつかないな…)
完全に集中しきっているのか、まるで周りの声など聞こえないかのようにペンをゆらゆらさせている
矢羽
(昨日投稿したやつは15いいね、多分同じ人が数回いいね押しているんだろうな)
矢羽
(で、一昨日のやつはまだ8いいねから伸びてない…と)
矢羽
(何を書けばまた100いいねとかいけるんだろ)
素直に書きたいものをメモ帳に書き出してみるも、それはもうあまりにも擦られすぎたネタだった
メモ帳の中身が見えたのかはたまた気になって見ていたのか、後ろの席の生徒が矢羽の肩をたたいた
田中
矢羽ちゃんもう弁当食べたの?
矢羽
ああ、うん
少なかったからね
少なかったからね
集中していたときに話しかけられたせいか矢羽は機嫌を悪くしたが、必死に笑顔をつくった
だが、田中にはバレていた
田中
あっごめん、集中していたよね
矢羽
ま、まあ…うん
田中
頑張って…ね
矢羽
あ、ありがとう
教室の端の列のこのやり取りは2人以外誰も見ていなかった
……そのはずだった
これが矢羽の人生をねじ曲げたきっかけになるとは、まだ誰も知る由もない







